1999年4月14日

 

200t吊り大型クローラクレーン

 『マスターテック7200』の開発・販売について 

 

当社はこのほど、全油圧式大型クローラクレーン『マスターテック7200』(最大つり上能力200t)を開発し、4月15日より販売を開始します。販売価格は1億9千500万円、販売目標台数は年間25台です。

 

昨今の工事の大型化は、クローラクレーンの代表的な用途であるビル建築などの建方作業や、プラント建設などでの重量物の据付け作業においても例外ではなく、必然的に使用されるクローラクレーンの大型化を促進させています。またコストダウンや工期の短縮、高所作業の削減による安全性の向上などを図り、単一吊上物が大型化する傾向にあることも、大型のクレーンを使用する要因の一つとなっています。その結果、同じ作業用途においても従来よりクラスの大きなクローラクレーンを用いる傾向が増えています。

 

しかしながら、過密化した都市部の狭隘な環境での工事に代表されるように、クレーンの設置スペースには面積や重量などのさまざまな制約があります。そのためクレーンには大きなつり上げ能力をコンパクトなサイズ・重量で実現することが求められています。さらに大型クローラクレーンの場合は、分解した上での輸送が必要となるため、時間やコストを削減するための分解~輸送~組立の効率の良さも重要な要素の一つとなっています。

 

当社はこうした市場の動向を踏まえ、クレーンとしての基本的性能はもちろん、安全性や分解・輸送性などに至るまで多くのユーザーニーズを吸収し、さまざまな新機構を採用したクローラクレーン『マスターテック7200』を完成させました。150tクラスの作業時質量に最大200tのつり上げ能力を備えたほか、シンプルで合理的なブーム構成、輸送時に幅広キャブを格納できるスイングキャブ、そしてフリーフォールレスで安全性を確保しつつ高速巻上/巻下を実現するウインチなど、さまざまな機能と性能を高いレベルで結集しています。

 

 今回の開発によって、35t吊りから800t吊りまで全13種類という当社のクローラクレーンのラインナップはより一層充実いたしました。当社は今後も「マーケットオリエンテッドの発想」をベースに、ますます多様化するユーザーニーズに対応した商品開発を積極的に進めていく考えです。なお、『マスターテック』とは、クレーンの進化を常に主導してきた当社が、その誇りに相応しい先進のクローラクレーンすべてに与えるべく用意した「称号」であり、当社のクローラクレーンの代名詞です。

 

『マスターテック7200』の主な特長は以下の通りです。

 

(1)クラス最大級の吊り上げ能力

 150トンクラスの作業時質量で最大つり上げ能力200t×4.5mを設定(ヘビイ仕様)。狭い現場でも余裕の作業を実現します。さらに最大つり上げ能力150t×6.0mのライト仕様、最大ブーム長さ88.4mのロング仕様、ふところの深い作業を可能にするラッフィングタワー仕様と、用途に合わせて多彩な仕様を設定。それぞれの能力はクラストップレベルを確保しています。

 

(2)シンプルなブーム構成(クラス初)

 クローラクレーンの中間ブーム~上部ブームとラッフィングタワー中間ジブ~上部ジブを共用可能にし、アタッチメントの合理化をこれまで以上に進めました。従来よりも少ないアタッチメントで各仕様の組合せが可能なため、保管・輸送コストを大幅に低減します。

 

(3)輸送幅を縮小するスイングキャブ(クラス初)

 分解輸送時にはキャブを本体前方へ軽く旋回・格納できるので、輸送姿勢の全幅を3.2mにおさめることができます。快適な操作空間を実現する幅広キャブと、効率的な分解・輸送を両立させるために採用した新機構です。

 

(4)安全性を重視した新型ウインチ(クラス初)

 巻上げブレーキの誤操作による吊り荷の落下事故を未然に防ぐ、フリーフォールレスの内蔵型ウインチを新たに採用しました。最高ロープ速度110m/min(1層目)を実現し、素早い巻上げ/巻下げを行えるため、高揚程の建方作業においても効率のよい作業を可能にします。またこのウインチには従来型のドラム式ブレーキが無いので、調整やライニング交換のテマと費用が節減できる上、アスベスト粉の飛散やブレーキの鳴きによる騒音なども発生しません。

 

(5)その他さまざまな配慮

 従来から過負荷防止装置に装備されている緩停止機能をタワー90°極限自動停止装置にも新たに採用し、さらなる安全性の向上を図っています。また、低騒音型建設機械の新基準値をクリアする105dBの達成、点検・整備が容易な横置きのエンジン(建設省指定の排出ガス対策型)レイアウトなど、さまざまな配慮を施しています。

 

〔語句説明〕

・ラッフィングタワー:

ジブだけでなく、タワーも自在に傾斜するタワークレーンのことで、従来の固定式タワーやジブ付クレーンに比べて飛躍的に作動範囲が広い。

『マスターテック 7200』の主要諸元

名称

マスターテック7200

型式名

7200

仕様

クローラクレーン

ラッフィングタワー

 

ヘビイ

ライト

最大つり上げ能力      t×m

200×4.5

150×6.0

25×14.0

ブーム(タワー)長さ          m

15.267.1

18.367.1

36.658.0

70.188.4(ロング)

27.448.8

最大タワー+タワージブ長さ      m

58.048.8

 

ロープ速度

 

 

主巻       m/min

1103

補巻       m/min

1103

タワージブ起伏   m/min

303

ブーム(タワー)    m/min

522

旋回速度         min-1 {rpm}

2.1 {2.1}

走行速度           km/h

1.1/0.7

作業時質量           t

197(102tウエイト)

162(67tウエイト)

162

172

接地圧        kPa{kgf/cm2}

110 {1.12} ()

90 {0.92} ()

90 {0.92}

96 {0.98}

定格ラインプル        kN{tf}

132 {13.5}

エンジン

 

名称

三菱6D24-TCE1

定格出力

kW/min-1 {PS/rpm}

220/2,000 {300/2,000}

 

ワイヤロープ

 

 

主巻        mm

φ28

補巻        mm

φ28

タワージブ起伏     mm

φ22

ブーム(タワー)      mm

φ22

各ロープ速度はドラム1層目での値です。

*印の速度は軽負荷の時の値であり、負荷により速度の変動があります。

単位は国際単位系のSI単位表示で、{ }内は従来表示です。

 

 

以上


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