1999年10月20日

製砂設備における産業廃棄物リサイクル技術の開発および採用について

~環境に配慮した世界初の砕石汚泥固化設備『エコサンド リサイマー』1号機受注~

 当社はこのほど、製砂設備において発生する産業廃棄物を固化することによって砂やコンクリート原料などにリサイクルできる、砕石汚泥固化設備『エコサンド リサイマー』(商品名)を開発し、株式会社小西砕石工業所殿(本社:岐阜県加茂郡坂祝町、代表者:小西輝幸社長)より1号機を受注しました。今回受注した設備は、処理能力が50トン/日で、受注金額は約1.8億円です。
 当社は、処理能力10~100トン/日の固化設備を商品化しており、価格は、標準サイズの50トン/日で約1.8億円/基です。2000年度は年間10基の受注を目標にしています。

 岩石を砕いて砂を生成する製砂設備では、砕石汚泥(=濁水ケーキ)と呼ばれる、砂(75μm~5mm)よりも小さな微粒子(75μm以下)が発生します。この砕石汚泥は、国内で年間約500万トンと大量に発生しており、産業廃棄物に指定されているため、処分の際には「自社内投棄」「社外投棄」または「リサイクル」のいずれかの処置が行われます。
 しかし、これまでに有効な処理技術がなかったため、未処理のまま放置されることが多く、最も多い処置方法である「自社内投棄」は、埋め立て地が飽和状態になりつつあり、埋め立て地不足の問題が深刻化しており、また、「社外投棄」には埋め立て地不足のほか、輸送費や処分費などによるコストアップが課題となっています。
 さらに「リサイクル」については、薬剤を混合して造粒する加工方法(通称「安定化処理」)や1000℃以上の高温下で焼結する方法がありますが、加工後の製品品質、安定的な需要の確保、採算性などの問題を抱えており、結果として、国内のリサイクル率は10%以下という低い水準となっており、これらの問題を完全に解決できる技術開発が強く望まれてきました。

 このような砕石業界の永年のニーズに応えるべく当社では、1997年から調査・研究開発を開始し、当社が開発したリサイクル技術をベースに、このたび世界初の画期的な砕石汚泥固化設備『エコサンド リサイマー』を商品化しました。
 砕石汚泥固化設備では、①砕石汚泥に生石灰またはセメントを添加・混合し、②造粒(約4mm大のペレット状)またはブロック成形した後、③圧力容器内において「180~200℃、10~15気圧」の条件下で生石灰・二酸化ケイ素・水を化学反応させることによって、砕石汚泥を自然の石に近い強度に固化できます。生成された固化製品は、砂と同等の大きさのペレット状に造粒されるため、砂やコンクリート原料などの混合材として再利用できます。

 今回開発した設備は、砂をつくる製砂設備で発生した産業廃棄物を、再度、砂の原料などに完全にリサイクルできる、環境に配慮した砕石汚泥固化設備です。
 本設備の主な特長は以下の通りです。

 

<砕石汚泥固化設備『エコサンド リサイマー』の特長>

1)リサイクルによる処分コストの低減
 砕石汚泥を固化し、そのまま砂やコンクリート原料などの混合材としてリサイクルできるため、埋め立て処分する必要が無い。さらに、本設備での1トン当たりのリサイクル処理コストは2,000~3,000円/tであり、これは一般的な社外投棄費用の半額以下で済むことになるため、大幅な処理コストの低減が可能。
 更にこのリサイクル材を商品化すると、砂は約1,500円/t、ブロック材は約10,000円/tで販売できるため、設備の回収期間は砂のみを販売した場合に約3~4年、ブロック材では約2~3年と早期回収が実現でき、コストメリットが大きい。

2)高強度な固化処理による安定した製品需要
 従来のリサイクル材は、圧縮強度が数kg/cm2程度しかなかったので用途が限られていたが、当設備では200~500kg/cm2程度の高強度な固化が実現できるため、コンクリート用、土木工事の埋め戻し用およびゴルフ場用の砂など多目的な各分野に適用できる。また、任意の寸法・形状に加圧成形して、ブロック材を製造した場合、これは建材、舗道用、駐車場のストッパーなどの用途展開が可能であるため、様々な安定した製品需要が確保できる。

3)省エネルギーで安全な、環境に配慮したリサイクル技術
 比較的低温(約200℃程度)で処理できるので、1000℃以上の加熱が必要な焼結などの従来の固化方式に比べて約1/3~1/5と極めて低エネルギーコストでの処理が可能。さらに、添加剤は生石灰またはセメントだけなので、有害物質の混入など、安全性の問題は全くない。また、水に全く溶解せず、浸透水は殆ど中性であるため、周囲環境への影響もない。

4)建設汚泥・浚渫汚泥などの産業廃棄物にも適用可能
 砕石汚泥だけでなく、同様に産業廃棄物に指定されている建設汚泥(例えば高圧水による地盤掘削の際に発生する濁水を最終処理した汚泥)や浚渫汚泥(川、沼、ダムなどの水底を浚渫する際に発生する汚泥)に対しても様々な固化処理が可能。

 

 このような観点から、今回開発した固化設備は、従来の砕石汚泥処理問題の画期的な解決策として高く評価されており、既に数十件の引き合いが来ております。
 なお、この砕石汚泥固化処理技術については、現在特許申請中です。

 今回の1号機の受注は、各種建材など幅広い用途展開を可能にした当社のリサイクル技術と、本設備導入によって“砕石業から総合建材業への変革”を目指す株式会社小西砕石工業所殿の思想が合致したことによるものと考えます。

 当社はこれまでに、70年以上に亙って砕石業界のニーズに応えてきた技術とノウハウを蓄積しており、破砕機、粉砕機、選別機などの単体機械から砕石プラントの設計・製作などの幅広い需要に対応してきました。今後も砕石プラントのトップメーカーとして、労働環境・地球環境改善を目指した次世代プラントの開発に貢献していきます。

 

 

<リサイクルフロー概略図>

 

 

以上


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