1995年11月21日 水冷式スクリュ冷凍機のシリーズ完成について
当社はこの程、出力15kWの水冷式スクリュ冷凍機(コンデンシングユニット)
及び45kW、75kW、110kW、165kWの水冷式スクリュ冷凍機マルチユニッ
ト(*) のフルモデルチェンジを行い、『SH15F』、『SH45F』、『SH75F』、
『SH110F』『SH165F』として、12月1日より販売を開始します。
今回のフルモデルチェンジをもって、当社は、94年11月上市のSH22F、95年4
月上市のSH37F及びSH55Fを合わせ、最小機種のSH15Fから最大機種の
SH165Fまでの開発を終了し、スクリュ冷凍機のシリーズを完成させました。
このシリーズは「省エネ」「省力」「省スペース」はもちろんのこと、「クラス最
小レベルの低騒音」及び「簡単メンテナンス」を実現した水冷式スクリュ冷凍機で、
販売目標はシリーズ全体で年間900台です。
販売価格及び主な仕様はそれぞれ下記の通りです。
<標準仕様> ◎は今回のフルモデルチェンジの対象機種
型 式 | 唹・出力 | 販売価格 | ユニット形式 |
◎ SH 15F | 15kW | 350万円 | 2段形単機ユニット |
SH 22F | 22kW | 398万円 | 2段形単機ユニット |
SH 37F | 37kW | 608万円 | 2段形単機ユニット |
SH 55F | 55kW | 748万円 | 2段形単機ユニット |
◎ SH 45F | 22kW×2 | 820万円 | 22Fの2台・奏働・ |
◎ SH 75F | 37kW×2 | 1,253万円 | 37Fの2台・奏働・ |
◎ SH110F | 55kW×2 | 1,541万円 | 55Fの2台・奏働・ |
◎ SH165F | 55kW×3 | 2,356万円 | 55Fの3台・奏働・ |
(*)「マルチユニット」とは
2台または3台の圧縮機を搭載した冷凍機のこと。マルチユニット化することで
同クラス大型機1台を使用する場合に比べ、台数制御により大幅な省電力が可能
になり、またコンデンサ等の機器の共有化により一層コンパクトになる。その他
にも低騒音・低振動、異常時のバックアップなど多くのメリットがある。
冷凍機は、フロンやアンモニア等の冷媒を圧縮・膨張させることによって“冷却”
作業を行うもので、現在、冷蔵倉庫や冷凍加工工場など食品分野をはじめスキー場で
の人口造雪など、幅広く使用されております。
今後の冷凍機のマーケットを見ると、現在の円高によって食品加工工場は東南アジ
アを中心とした海外へ拠点を移しており、日本国内における冷蔵倉庫が益々増加して
いく傾向にあります。また堅実な伸びが続く冷凍食品業界とコールドチェーン業界の
中継地点としての、中小型物流センター用冷蔵倉庫向けへの需要増が期待できます。
このシリーズでは全機種にわたって、定評ある当社の機械研究所の音響工学研究を
もとにした「静音設計」、また、従来非常に手間のかかっていた整備作業を省力化し
「簡単メンテナンス」を実現しました。
当社は、1963年( 昭和38年) にスクリュ冷凍機の国産第1号を開発・販売したパ
イオニアとして、数々の高性能な商品をユーザーに提供し続けており、1983年には、
20%以上もの省エネを実現した画期的な圧縮用スクリュ・ロータである「スーパー
ロータ」を開発するなど、ユーザーニーズに対応した高性能冷凍機を間断なく商品
化しています。今後も業界のパイオニアとして、市場ニーズによりマッチした幅広
い商品メニューをユーザーに提供し、積極的に事業展開してゆきます。
今回、完成した水冷式スクリュ冷凍機シリーズの主な特長は以下の通りです。
1.「静音設計」(クラス最小レベルの低騒音を実現 )
当社の機械研究所の音響工学研究をもとに、ケーシング構造の最適シミュレーシ
ョン、音の伝播経路となる冷媒ガス通路の形状最適化、特殊サイレンサーの装着
による吐出ガス脈動音の消音などにより、防音カバーなしでクラス最小レベルの
低騒音を実現(前機種に比べ6~7%低下)。しかも、新たに音質改善技術を導
入し耳障りな 800~2,000Hz の音域をカットし、また、防振ゴムの最適使用など
により大幅な低振動化も実現するなど、作業環境の改善及び近隣地域の環境にも
配慮しました。
2.高い信頼性(無開放運転 24,000 時間を実現)
シンプルな新構造 "テフロンスリーブ" (※1) を装着して軸封部耐久性を向上さ
せ、水冷半密閉モータ採用によるシャフトシールレス (※2) で冷媒漏れ及び油漏
れを完全防止しました。また、腐食に強いステンレス製のエコノマイザ (※3) を
採用し、24,000時間(4年間) にわたる良好な無開放運転が可能になりました。
{前機種は20,000時間(3年間) }
3.簡単メンテナンス(メンテナンス時間約30%の削減を実現)
圧縮機自体の部品点数を抑え分解を容易にしたこと、配管と機器レイアウトの改
善により圧縮機・電動機を取り出しやすくしたことなどにより、オーバーホール
の作業時間が約30%の削減できます。また、日常点検は、油分離器に取り付け
た2ケ所の油面計、正面から目視確認できる各種スイッチおよび計器類、個別故
障表示機能の標準化、フィルタ類をはじめ内部機器の清掃・交換の簡略化を図り
ました。
4.クラストップの高効率運転
当社独自の高効率歯形スーパーロータ (※4) の採用とともに、ころがり軸受けの
全面採用による動力損失の減少を図りました。油ポンプ不要の差圧給油方式 (※5)
の採用、給油量を抑えた軸受給油方式の改善、冷凍効率の良い水冷半密閉モータ
(※6)の搭載など、運転効率を飛躍的に向上させました。
5.省スペース(設置面積大幅減少)
構造のシンプル化および内部レイアウト変更などによって、占有スペース、総重
量とも8機種平均で20%程度の低減を実現しました。これによって、設置場所
の選択幅が広がり、現有機とのリプレースも可能であり、また、低振動化と合わ
せて基礎工事が簡素化でき、非常に経済的です。
<水冷式スクリュ冷凍機シリーズの仕様>
項 目 | SH15F | SH22F | SH37F | SH55F |
電動機 公称出力 kW | 15 | 22 | 37 | 55 |
吸込圧力飽和温度 ℃ | ─30 ~ -60 |
外形寸法 |
長さ mm | 1298 | 1340 | 1460 | 1830 |
幅 mm | 846 | 846 | 1001 | 1118 |
高さ mm | 1288 | 1291 | 1500 | 1513 |
製品質量 kg | 640 | 723 | 1040 | 1430 |
騒音値 dB(A) | 70 | 72 | 75 | 76 |
項 目 | SH45F | SH75F | SH 110F | SH 165F |
電動機 公称出力 kW | 22×2 | 37×2 | 55×2 | 55×3 |
吸込圧力飽和温度 ℃ | ─30 ~ -60 |
外形寸法 |
長さ mm | 2760 | 2977 | 2947 | 3080 |
幅 mm | 1038 | 1156 | 1934 | 2089 |
高さ mm | 1518 | 1593 | 1759 | 1877 |
製品質量 kg | 1550 | 2210 | 3210 | 5150 |
騒音値 dB(A) | 75 | 78 | 79 | 81 |
(※1)テフロンスリーブ :
耐摩耗性を向上させる為、スクリューロータの吐出側軸封部に挿入したテフロン製スリーブ
(※2)シャフトシールレス:
半密閉モータを採用することにより、圧縮機とモータとの間のシールを不要とし
たもの
(※3)エコノマイザ:
冷凍能力を向上させる目的で設置する熱交換器
(※4)高効率歯形スーパーロータ:
圧縮装置の心臓部で当社が独自開発したスクリュロータ
(※5)差圧給油方式:
油ポンプを使用せず、圧縮機の吐出圧力を利用し、その差圧にて給油する方式
(※6)水冷半密閉モータ:
モータケーシングを水で冷却する半密閉式モータ