熊本 昌弘 新社長 就任
 去る6月28日の定時株主総会後の取締役会において、亀高社長の会長就任と、後任社長に熊本昌弘副社長の就任が決まりました。7月1日(月)午前10時より、熊本新社長は、従業員に対して社長就任の挨拶を行いました。新社長のプロフィールおよび挨拶の内容は以下の通りです。

〔熊本社長プロフィール〕         くま もと まさ ひろ 1 氏  名 : 熊 本  昌 弘 2 生年月日 : 1936年(昭和11年)12月16日 3 出身地  : 大阪府 4 現  職 : 代表取締役社長 5 学  歴 : 1960年3月 東北大学法学部卒 6 職  歴 : 1960年4月 入社         (昭和35年)          1982年1月 総務本部東京総務部長         (昭和57年)          1984年1月 秘書室長         (昭和59年)          1987年6月 取締役就任         (昭和62年)(秘書部の担当ならびに企画本部副本部長)          1989年6月 常務取締役就任         (平成元年)(企画本部長)          1991年6月 専務取締役就任         (平成3年)┌企画本部長、秘書部、総務本部の担当ならび┐               └に人事本部長              ┘          1993年6月 取締役副社長就任         (平成5年)┌社長補佐ならびに秘書、広報、総務、人事労┐               │政、総合企画、資金部門の総括、ならびに復│               └興推進本部副本部長           ┘          1996年6月 取締役社長就任         (平成8年)
全従業員の皆さんへ

社長 熊本 昌弘
 社員の皆さん、このたび私は取締役会の決議を受けまして、株式会社神戸製鋼所の第16代社長に就任致しました。その責務の重大さを考えますと、誠に身の引き締まる思いがいたします。
 私はこの時に当たり、まず初めに、大震災以降、心を一つにして業績回復に向け邁進してこられた社員の皆さん一人一人に、改めて深甚なる感謝と心からの敬意を表したいと思います。皆さんのご努力と、これまで培って来た複合経営の力により、昨年3月末時点で857 億円の計上を余儀なくされた繰越損失は、本年3月末決算において163 億円まで圧縮されました。私は、当社が一日も早く完全復興を果たし、将来に亘って強固な経営基盤を有する企業となるために、全身全霊を打ち込む決意であります。新しい経営体制の下、全役員一丸となって難局に立ち向かって参りますので、今後の経営方針に対し、社員の皆さんのご理解とご協力を是非ともお願いする次第です。
 具体的な事業運営の方針につきましては、後日改めて皆さんにお伝えすることといたしまして、ここでは私が企業経営にあたり重要と考えておりますことの一端を申し述べたいと思います。

 我が国は今、様々な分野で曲がり角にあります。世の中が予想をはるかに上回るスピードで変化していく中にあって、我が神戸製鋼所が未来へ存続していくための戦略と方策を考え、着実に実行していかなければなりません。そのためには、新たな価値を創造することが重要であります。例えば、的確な情報に基づき、皆の英知を結集し、時代の潮流を察知することにより、日々の生産・販売活動におけるコスト低減策を新たな視点から見直すことはもちろん、他社の追随を許さない新商品の開発といった価値を造りだしていくことが必要であります。また、グローバル戦略は当社にとって不可欠でありますが、海外展開においては単に進出するのではなく、その意義を明確にしつつ推進していくことが重要です。特に、21世紀はアジアの時代と言われております。これからは従来以上にアジアに目を向けていくことが肝要となります。
 これらの観点を十二分に踏まえ、『世界的な大競争時代』に打ち勝つべく、我が社の複合経営の事業構造・事業体質を時代に対応したものへと変革していかなければなりません。

 ただ、私は世の中が如何なる方向に進もうとも、企業経営において常に大切にすべきことが3点あると考えます。その一つは、社員とその家族一人一人の健康と幸福であります。言うまでもなく、これは人が企業で働くことのもっとも大きな目的であり、私達はその達成のため、共通の基盤を神戸製鋼所に置いております。残念ながら、現在我が社は復興途上にあり、社員の皆さんには特別施策にご協力いただいているところであります。この状況を出来るだけ早く解消し、全社員がより良い会社造りに向けて新たな気持ちで再出発することとしたいのであります。
 もう一つは、株主への還元であります。我が社は、93年度以降無配とせざるを得ない状況におかれています。全社を挙げた収益改善努力により、業績回復の目処が立ち始めた矢先、震災により1000億円を超える大きな損失を被ったことは誠に残念でありました。しかしながら、配当は株主各位に対する企業の基本的責務として全うすべきものであります。それ故、現在推進中の95-97経営計画を総力をもって成し遂げ、97年度復配の実現を図らねばなりません。
 最後の一つは、企業として社会的責任を果たすことであります。特に地域社会への貢献については、被災地に本拠を置く企業として、その復興事業に積極的に参画し地域の活性化に寄与していくことが、私達に与えられた重要な責務と考えます。また、省資源・省エネルギー対策、環境問題といった面での活動も継続しますが、一例としてアルミのリサイクルなどはこれまで以上に推進していく必要があります。
 以上述べました事柄は、何も私が新たに提起したものではなく、いずれも企業として、また株式会社として社会に存在する限り、その基本とも言うべきものであります。その実現のためには、企業は利益を生まなければなりません。まず、個々の事業部門がその収益力を上げて、経営を安定させることが不可欠であります。そして『良い競争と良い協調』をもって、今日まで築いて来た複合経営のシナジー効果を最大限に追求することであります。

 ここで私は、社員の皆さんの行動指針として『原点に還れ』という言葉を胸に刻んで欲しいと思います。あらゆる部門で業務内容が多様化・複雑化している現在、ややもすると本来の目標が見失われがちであります。個々の仕事の目的を原点に立ち還って再確認して下さい。仕事をもう一度見直すことにより、良いものは残し、無駄と思われること、過去からの慣習だけで意味のないことなどは徹底的に排除して頂きたいのです。
 さらに、もう一点『自由と規律』という言葉を伝えたいと思います。私は、当社の今後の発展にとってその中心となる組織単位は、部であると考えております。部長の強力なリーダシップの下で、個人の創造的な自由と集団としての規律が調和した時、その組織は最大の力を発揮するのです。そして、何にも増して重要なのは、責任と権限を明確にすることにより、部下に任せるべきものは大いに任せることであります。豊富な情報に裏打ちされた自由で質の高い議論を尽くし、一旦決すれば断乎として皆でこれを実行する。その様な信頼関係が社内の各段階で実践されてこそ、真に活力ある企業と呼ぶに相応しいのです。
 私は、神戸製鋼所を磐石の体質を有する企業とすべく、そのあるべき将来を、皆さんとともに考え、皆さんとともに造り上げていきたいのです。重ねて、社員各位のご理解とご協力をお願いし、私の挨拶といたします。


  ホームへ
     ひとつ上のページへ