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塩素系有機溶剤回収システムの開発・販売について
塩素系有機溶剤回収システムの開発・販売について 株式会社神戸製鋼所と株式会社東洋製作所は共同で、トリクロロエチレン(*1)等 の『塩素系有機溶剤回収システム』を開発し、このほど販売を開始しました。 トリクロロエチレンに代表される『塩素系有機溶剤』は、プレス加工品や各種金属 部品の脱脂洗浄用に広く使用されている溶剤の総称で、脱脂洗浄能力には優れている ものの、沸点が比較的高いため(トリクロロエチレンは87℃)洗浄物に付着しやすく、 洗浄終了後に乾燥・蒸発して大気中に拡散しやすい性質を持っています。近年、大気汚 染に繋がるこれら『塩素系有機溶材』の拡散は、環境保全の観点から世界的に規制が強 まってきており、日本国内でも、大気汚染防止法により排出規制が今後強化される見通 しです。 今回開発した回収システムは、(1)既設洗浄装置の密閉化、(2)洗浄ワ-クに 付着する溶剤の自動搬送乾燥装置、(3)排気ガスからの溶剤を液体で回収する装置 、(4)排水中に含有する有機溶剤を規制値以下にする排水処理装置、の4ポイント から構成されています。有機溶剤を回収する心臓部には神戸製鋼が開発したハニカム 活性炭を採用、回収システムの(1)・(2)部分を東洋製作所が、(3)・(4) 部分を神戸製鋼が設計・製造し、小型化・高効率回収を実現しました。その結果、世 界的に最も厳しい規制値である中国・大連市の規制値(総排出量2.5Kg/時間以内、作 業環境濃度5ppm以下、排水濃度0.3mmg/l 以下)をクリア-した製品となっています。 本システムの販売窓口は、神戸製鋼、東洋製作所の両社で、すでに中国大連市の日 系電気機器メ-カ-向けに5台の受注を獲得しています。今後も規制強化の流れの中 で拡大する需要を背景に、国内販売を初め東南アジアや中国向け輸出についても積極 的に販売していく考えです。 今回開発した『塩素系有機溶剤回収システム』の特徴は以下の通りです。 1.優れた洗浄・乾燥装置 ガス化した有機溶剤が大気中に拡散するのを防止するため、洗浄・乾燥装置の密閉 度を高めました。また、洗浄・乾燥装置に完全乾燥機能を追加することで、有機溶 剤を完全にガス化出来るようになりました。 2.高能率な溶剤回収装置 有機溶剤回収用に新開発のハニカム活性炭を採用し、98%以上の高効率回収(*2) を実現すると同時に大幅小型化(従来比60%減)で室内設置が可能になりました。 3.排水処理装置も装備 有機溶剤で汚染された排水についても、バッキ式小型排水処理装置(*3)によって 安全なレベルまで処理します。 (ご参考) 1.システムの概要 ↑排気浄化空気 │ ├─────────────┐ ┌─┴─────┐ ┌┴─────┐ ┌────┐ │溶剤濃縮装置 │ │溶剤回収装置│溶剤含有│バッキ │浄化 │活性炭ハニカム├─────→┤活性炭 ├───→┤ 処理炉├┐排 │ ロ-タ│溶剤濃縮空気│ ハニカム│ 排水 │ ││水 └─┬─────┘ └──┬───┘ └────┘└─ ↑溶剤含有空気 │ ┌────┐ │ └──────┤溶剤再生│ ├───────────────┐ 回収溶剤 │ 装置 │ │ │ └──┬─┘ ┌┴───────────┬───┴──┐ │回収溶剤 洗浄物品│超音波洗浄+溶剤蒸気洗浄│ 熱風乾燥 │ │ ─→─→┼─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌┼┐ ┌┼──→───┼─→洗浄物品 入口 ├┐│││││││││││││ ││ │ 出口 ││└┘│└┘│└┘│└┘│└────┘│ │ └┴──┴──┴──┴──┴──────┘ │ トリクロロエチレン ↑ 乾燥装置 │ 洗浄装置 │ │ └──────────────┘ 2.語句説明 *1:トリクロルエチレン 化学式→ Cl CH=CCl 2 トリクロロエタンの全廃(オゾン規制)の後の主力脱脂洗浄剤として多く使用さ れており、有害性の高い第一種有機溶剤に指定されている。 *2:98%の高効率回収 洗浄中や洗浄後の部品から大気中に放散されていた溶剤を98%の効率で液体とし て回収すること。 *3:バッキ式小型排水処理装置 溶剤が含まれた排水中に微細泡状に空気を送り、水分に溶け込んでいる溶剤を放 出させて排水の浄化を行う装置。 以上ホームへ
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