「第57回 田宮賞」の表彰について

2016年4月20日

株式会社神戸製鋼所

当社は、下記の案件を「第57回 田宮賞」の各賞受賞案件に選定し、昨日授賞式を執り行いました。
 「田宮賞」は、当社の第5代社長 田宮嘉右衛門(注1)の遺徳と事蹟を永く記念するため、当社およびグループ会員各社の中から会社の業績や社会的に大きく貢献したものについて、1960年以来表彰してきており、今年で57回目を迎えました。
今年は、当社およびグループ会員各社から9件(昨年は7件)の推薦があり、これらの候補案件について審査委員会での審査結果を3月7日開催の理事会(理事長 川崎博也社長)で審議の結果、それぞれ下記の賞に決定致しました。
当社は、田宮賞の表彰などを通じ、今後とも神鋼グループ一丸となって事業基盤の強化、社会への貢献を果たしていく所存です。

1. 金賞:
コベルコ建機(株)
テーマ:「開発プロセスの変革~リードタイム半減へのチャレンジ!~」
ショベル事業は新興国の需要が増え、現地生産にも対応する必要がある。そのためグローバルエンジニアリングセンター(GEC)を設立し、開発初期から量産立上げまでの全開発プロセスを再構築した。特に、3次元CADを活用したフロントローディング、「仮想組立検証」などのコンカレントエンジニアリング、操作性評価技術(HILS)を用いた評価など試験プロセス変革、の3つの切り口での活動で、開発リードタイムを従来比半減できる開発プロセスを構築した。これにより、新たなエリア専用モデルの開発や将来に繋がる要素技術の開発も行なえるなどの効果もだすことができた。
2-1. 銀賞:
(株)コベルコ科研
テーマ:「次世代自動車技術に関する総合的アプローチ」
コベルコ科研は試験研究ビジネスにおいて他社の追従が激しい状況のなか、商品価値の向上を図る必要があった。そこで、わが国最大の産業である自動車分野に狙いを定め、マーケティング機能を強化し、神戸製鋼グループとして蓄積された特長ある技術を融合・発展させ、加えて先進的なオリジナル技術の開発を推進した。その結果、次世代自動車開発に資するソリューション中心のビジネスに変革し、顧客から開発・設計パートナーとしての期待がよせられるようになり、高収益事業を構築することができた。
2-2. 銀賞:
銀賞:(株)神戸製鋼所 アルミ・銅事業部門
テーマ:「サスペンション事業の三極体制の確立」
自動車のサスペンションは鉄製が主流であったが、軽量で形状の自由度が高いアルミ鍛造部品に着目し、1985年の参入以来、中大型部材で国内No.1の地位を築いた。2005年には北米にKAAPを、2011年には中国にKAAP-Cを設立し、各拠点で安定生産を実現する技術開発や人材育成を進め、日・米・中三極体制を確立した。これにより中大型部材で世界最大規模のアルミ鍛造サスペンションメーカーに成長した。
2-3. 銀賞:
(株)神戸製鋼所 エンジニアリング事業部門
(株)神鋼環境ソリューション

テーマ:「福島復興事業での取り組み(仮設焼却施設の建設、運営プロジェクトの推進)」
東日本大震災に起因する福島第1原発事故により、放射性物質を含む廃棄物が多量に発生した。エンジニアリング事業部門が保有する原子力関連技術と、神鋼環境ソリューションが保有する廃棄物の処理技術を融合して、震災直後から他社に先立ち放射能汚染された廃棄物処理を提案し、他社に先立ち3件の処理施設の建設・運営事業を環境省より受注した。当社グループの総合力で施設を短納期で建設し、安定運転による廃棄物の減容化処理を実施して福島の復興に貢献している。
3-1. 銅賞:
(株)神戸製鋼所 鉄鋼事業部門
テーマ:「高機能セグレスの開発と拡販」
鉄鋼事業部門では、強度向上を目的に添加する黒鉛粉等を鉄粉と偏析なく混合した黒鉛偏析防止鉄粉(商品名:セグレス)の製造販売を行なっている。自動車向け焼結部品の高度化要求に応じた新商品として、高機能の潤滑剤添加で成形体密度を向上させたKPセグレスなどの「高機能セグレス」を開発・商品化した。ユーザから高い評価を受け、生産能力の増強も行い、当社の国内焼結部品用鉄粉シェアは43%まで拡大し、鉄粉本部の黒字化に寄与した。
3-2. 銅賞:
シンフォ二アテクノロジー(株)
テーマ:「シンフォ二アの振動搬送機器ビジネス」
1949年日本で初めての事業を開始して以来、社会の変化にそった製品を投入する「時機を見た商品戦略」で用途を拡大してきた。共振利用、応力分散、防振技術と言う根幹技術とうねり制御や高度な調整技術による長尺搬送技術は他社の追随を許していない。また。客先の生産現場に入り込んだ活動でプロセス技術向上にも取り組んでいる。これらの活動にて、幅広い産業界に貢献し、全社売上げの約12%、経常利益の33%の事業に成長させた。
3-3. 銅賞:
(株)神戸製鋼所 機械事業部門
テーマ:「PP/PE用循環圧縮機DH:オープンインペラ開発と大容量化対応」
ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)の生産に使用される圧縮機(型式DH)は、パウダー堆積問題で一度は市場から撤退せざるを得ない状況にあったが、PP/PEプラント用循環圧縮機に特化したオープンインペラを開発し、当社主力機種となった。更に、大型化が進むプラント仕様に合わせて高比速度斜流オープンインペラを開発し、ターボの主力機種として将来を見据えた事業展開を行なっている。
4-1. 奨励賞:
コベルコ鋼管(株)
テーマ:「OA機器用ステンレス超薄肉管の開発」
ステンレス鋼管の新たなシーズ探索で複写機の定着ロールの薄肉金属化に着目し、当社製造可能肉厚1.0mmよりはるかに薄い0.037mmの超薄肉管を開発した。必要な加工技術開発とその設備開発のみならず、熱処理、洗浄、定尺切断、真円度・真直度検査などの独自技術を開発して実用化した。品質改善や生産性改善の活動も奏効し、2013年度からは安定収益を確保するメニューに育て上げた。
4-2. 奨励賞:
コベルコクレーン(株)
テーマ:「移動式クレーンマーケットイン生産(受注生産)への変革」
減産下でも利益を確保する仕組みとして、従来の見込み生産と在庫引き当てから脱却し、顧客の要求するタイミングで商品の提供を可能とするマーケットイン生産(受注生産)への変革をおこなった。受注から出荷までのリードタイムの決定や、営業と工場が互いの状況を理解した上で行動する製販の仕組みづくりなどを実施した。この結果、想定外の受注・増産にも混乱無く対応でき、売上高、経常利益、経常利益率ともに大きく伸ばすことができた。

注1)田宮嘉右衛門(明治8年生~昭和34年没)について
神戸製鋼の生みの親にあたる合名会社鈴木商店に入社し、同社が1905年に小林製鋼所を買収し「神戸製鋼所」に改めた際に、支配人に就任した。その後、1911年に(株)神戸製鋼所が発足した時、常務取締役に就任し、1934年から1945年まで第五代目の社長を務めた当社育ての親である。

第57回田宮賞授賞式 金賞

川崎理事長 祝辞

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