2017年3月29日
株式会社神戸製鋼所
当社は、従来にない抗菌技術として各種分野への適用を進めております高機能抗菌めっき技術「KENIFINE™(ケニファイン)」(以下、ケニファイン)を応用し、このたび、ケニファインの新たな利用技術として、透明性と抗菌性を兼備した透明性ケニファインの成膜技術を開発しました。
今回開発した成膜技術により、プラスチックフィルム、紙シート、フレキシブルガラス、布繊維、金属箔などのフィルム状の対象物の表面にケニファインの極薄膜を形成し、透明性と抗菌性を具備させることが可能となり、より幅広い用途への利用が想定されます。
今後、高砂製作所にあるロールコータのデモ設備で実証を重ね、フィルム状の対象物への抗菌性付与のビジネス展開を模索して参ります。
当社は2008年頃より、ケニファインの新たな利用技術として、近年ニーズが高まりつつある、透明性と抗菌性が求められるフィルム状の製品(薬品や食品包装用の材料、窓材、スマートフォンやパソコン用タッチパネルなどのフィルム状部材など)への適用技術の開発を行って参りました。
今回開発した成膜技術は、ロールツーロールスパッタリング※1によりケニファインを薄膜化してフィルム上に成膜する技術です。形成されるケニファイン薄膜の厚さはナノメーターレベルでありながら、従来のケニファインめっき処理と同等の抗菌効果を有しています(図1、図2参照)。
この技術により、成膜の対象となるフィルム状の製品に対して外観を損ねることなく、抗菌性を付与することが可能となり、ケニファインの適用分野が大きく広がります。今後、ユーザー評価を進めて、ロールコータ装置販売やライセンスなどのビジネス展開を見極めていきます。
※1 ロールツーロールスパッタリング
ターゲット材(基板に成膜したい物質を板状にしたもの)の表面に、アルゴンや窒素を衝突させて、成膜したい物質の粒子を空間中に取り出し、連続的に巻出し/巻取りされるフィルム状の基板の上に粒子を堆積させ、薄膜を形成すること。
【一般財団法人ボーケン品質評価機構 2016年9月26日発行 試験No.20216039462-1】
JIS Z 2801:2010 フィルム密着法
当社材料研究所が独自開発した高機能ニッケル系合金めっき技術で、めっきラインを有するメーカーへめっき技術を供与するビジネス形態をとっています。
1996年7月に大阪府堺市で発生した病原性大腸菌O157による大規模集団食中毒事件を機に、その対策技術として開発がスタートしました。2001年に開発を完了し、2002年よりライセンシーにて量産を開始しました。現在のライセンシーは12社にのぼります。
(注記)プレスリリースの内容は発表時のものです。販売がすでに終了している商品や、組織の変更など、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。