「AIPocket®」初号機の納入について

2017年9月28日

株式会社神戸製鋼所

当社は、PVD(Physical Vapor Deposition=物理蒸着)成膜手法の一種であるアークイオンプレーティング(Arc Ion Plating※1)方式の装置で、少量多品種生産に適したコンパクトかつリーズナブルなコーティング装置として「AIPocket®」を今年3月に上市し、この度、大手工具メーカー様向けに初号機を納入致しました。PVDは主に切削工具や小物部品などを合金系皮膜で成膜して性能や寿命を向上させるものです。今後は国内・海外のお客様向けに年間20台の受注を目指します。

AIPocket®は、海外新市場の開拓を目的として新しく設計したCEマーキング対応※2の戦略機です。当社は、1998年に汎用バッチ式となる「AIP®-S」シリーズを発売し、研究開発用から工業生産用まで対象・用途に応じてS20、S40、S70、S90の4タイプをラインアップしております。今回、「AIP®-S」モデルに「AIPocket®」を加えることで、幅広い層のお客様にお使い頂くことを目指します。

(AIPocket®特長)

  • ワンスペックの汎用モデル化により、リーズナブルな価格を実現すると共に在庫販売対応により短納期納入が可能です。一方で、当社の最新アーク蒸発源である“スーパーファインカソード(SFC)”や最新エッチング機構を標準搭載し、高性能な最新コーティングが可能な装置です。
  • ターゲット(成膜材料)の交換作業に配慮した設計により短時間で膜種の変更が可能であり、真空排気システムの最適化を行ったことで、代表サイクルタイムとして1バッチ3時間(弊社標準条件)という少量多品種生産において高い生産性を実現しました。
  • 当社システムに接続頂くことで遠隔でトラブルシューティングのサポートが可能です。
  • 全ての構成機器をワンフレーム内に納めたオールインワンパッケージにより、約2畳分という設置省スペース化を実現し、納入後2~3日程度の短期間での生産立ち上げが可能です。

真空成膜技術には、PVDおよびCVD成膜の2種類あります。当社は、1986年にPVDの一種であるアークイオンプレーティング方式の装置をAIP®という商標で販売開始して以降、同じくスパッタリング成膜やガスを主原料に使ったCVDの一種であるPECVD成膜※3の装置を開発しました。工具・金型・自動車部品・樹脂フィルム加工業界などに採用頂いており、累計600台以上の納入実績を持つ国内最大の真空成膜装置メーカーです。

また適用アイテムに応じてバッチ式、インライン式、ロールコータ式と多様な成膜装置を販売しており、30年以上に亘り、真空成膜業界をリードして参りました。引き続き、日本における真空成膜装置のパイオニアとして長年の開発で培ってきた優れた技術を応用し、新メニューの投入や海外を含む新市場開拓を行い、顧客ニーズに合った高機能商品を提供し続けることで、更なる事業拡大を図ってまいります。

  • ※1 Arc Ion Plating:
    真空アーク放電を利用して、固体蒸発源材料を瞬間的に蒸気化・イオン化させるイオンプレーティングの一種であり、これを基板上に堆積して皮膜を形成します。当社装置によるArc Ion Platingは、TiAlN(チタンアルミナイトライド)などに代表される合金系皮膜の成膜に優れており、また高成膜レートのため、高い生産性を誇り、対象物として工具・金型・自動車部品など幅広い分野で利用されています。

  • ※2 CEマーキング:
    CE(Communauté Européenne)マークは、製品をEU加盟国へ輸出する際に、安全基準条件(使用者・消費者の健康と安全および共通利益の確保を守るための条件)を満たすことを証明するマーク。

  • ※3 PECVD装置:
    Plasma-enhaunced Chemical Vapor Deposition。プラズマを援用する型式の化学気相成長(CVD)の一種。

主仕様

サイズ 装置サイズ 1.4×1.9×2.2m
有効処理空間 ⌀360×H300mm
装置重量 2.2t
生産性 搭載数量/⌀6×H70mm(軸物を仮定) 288個/1バッチ
代表サイクルタイム 3時間/1バッチ
ワークテーブル テーブル軸数 ⌀130mm×4軸
最大搭載重量 160kg
アーク蒸発源 Super Fine Cathode(SFC) 4発(2発×2面)
前処理方式 新型ガスエッチング、メタルボンバード
対応規格 CEマーキング対応

AIPocket<sup>&reg;</sup>外観

AIPocket®外観

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(注記)プレスリリースの内容は発表時のものです。販売がすでに終了している商品や、組織の変更など、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。

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