2019年 年頭の辞（要旨）

はじめに

新年あけましておめでとうございます。年頭にあたり私の所信も含めご挨拶を申し上げます。

まず、2018年について振り返ると、経済環境は2017年に引き続き活況を呈し、東京オリンピック・パラリンピックの開催準備や各企業の積極投資なども相まって比較的堅調に推移しました。一方、世界各国における保護貿易的な傾向が顕著になるなど先行きに懸念も生じています。また、国内においては地震や台風・豪雨など自然災害が頻発しました。被災された方々の一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

信頼回復をはじめとする諸課題

当社グループにおいては、品質不適切行為により失った信頼を回復すべく、意識・業務の変革や再発防止策などに取り組んだ一年でした。検査の自動化や仕組みの構築、品質確認、お客様対応など、信頼回復に向けたプロセスを着実に実行しなければなりません。

また、安全について改めて申し上げます。昨年7月にコベルコ建機のテストヤードで重大災害が発生し、2名の尊い命が失われました。安全が絶対であり、安全は全てに優先し、安全に勝るものはありません。これは製造現場で働いている方だけの問題ではなく、全従業員が安全について意識を高め、当たり前の安全確認を当たり前に行い、決められたルールや手続きを守ることを徹底しなければなりません。ルール違反の「動機」や「機会」を「無くす」「与えない」ことはマネジメント層の責務ですが、皆さんも今一度ルールや手続きなどの確認を行って下さい。

次に業績見通しですが、2018年度は、素材系事業における設備トラブルや再発防止策に伴う生産効率の低下、度重なる自然災害が影響し、当初予想を下方修正せざるを得ませんでした。好調な需要を着実に受注に繋げ、業績に反映させていくためにも、生産トラブルを起こさず、自然災害や環境の変化に振り回されない事業体制の確立や、安定収益構造への変革に向け、再度立て直しを図っていかなければなりません。

以上のように、課題が残る一年でしたが、確実に前進している部分も少なくありません。神戸発電所では、建設工事に必要な法的手続きを全て完了し、3,4号機の建設に着手しました。真岡発電所も2019年後半の稼働に向けて工事が順調に進捗しています。また、再発防止策の活動も着実に進めています。「品質キャラバン隊の事業所訪問活動」「品質統括部による品質監査活動」「経営幹部によるNext100プロジェクト対話」など、上下左右のコミュニケーションを積み重ねています。私自身、昨年4月の社長就任以来、「各事業所の部長との対話」を行ってきました。更に、11月からは「現場係長・職長の皆さんとの対話」も開始しました。各職場の方々から力強い発言と数多くの有益なご意見を頂いています。これからも、各職場に足を運び、実態を知り、皆さんの声に耳を傾けていきます。対話の場で得た情報や事情を考慮した施策を検討、実行し、効果を確認するという、コミュニケーションのPDCAを回すのが経営者の最大の使命であると改めて認識しました。

当社グループが2019年に目指す方向

2019年度は現行中期経営計画の4年目となります。計画当初から環境が変化している部分もありますが、「素材系事業」「機械系事業」「電力事業」を3本柱とする盤石な事業体の確立については変更することなく推進します。素材系事業では、収益力向上と共に「輸送機軽量化への取り組み」を一層強化します。機械系事業では、「エネルギー・インフラ分野への取り組み」を一層強化すると共に収益力を更に向上させます。電力事業では、安定収益源としての位置付けを確固たるものにすべく、発電所の建設作業を着実に進めます。加えて、「コーポレートガバナンスの強化」「人材確保・育成」「技術開発力・ものづくり力の強化」を確実に行い、経営基盤の強化を図ります。その上で、多様な事業を組み合わせたシナジー効果をこれまで以上に追求し、当社グループならではの付加価値を創出し、お客様延いては社会への貢献を目指します。

但し、整然としたものづくりに向けた「安定稼働対策」と「安全面への対策」は勿論の事、「投資案件の効果創出」「信頼回復活動の徹底と深化」など、解決しなければならない課題も多くあります。現在行っている中期経営計画のローリングの中でこれらの課題を整理し、一つひとつ確実に解決します。

新たな一歩を踏み出そう

品質に関する不適切行為を発表して以降、 従業員の皆さんのご家族をはじめ多くの関係者の方々にご心配をおかけしていると思います。私をはじめ経営陣は、一刻も早く「安心して働ける会社へ 」「働き甲斐のある会社へ」「社会に誇れる会社へ」戻すべく、労苦を厭わず、施策を講じていきます。2019年は、お客様をはじめ、世の中全ての皆様からの信頼回復に向けて、再発防止策の遂行はもとより、従業員の皆さんの意識や企業風土の改革をより進める一年にします。事業でも、中期計画のローリングを踏まえ、当社グループの持続的成長に向けて新たな一歩を踏み出す、そんな一年にします。

昨年、コベルコスティーラーズは悲願の日本一奪還を成し遂げました。彼らのラグビーに取り組む姿勢、活躍する姿に大変な勇気と元気を貰いました。本業においても、彼ら同様、前向きにそして一生懸命に取り組んでいきます。

結びに、この一年がお客様や協力会社様も含め、当社グループに関係する多くの皆様、そしてグループ従業員の皆さんとそのご家族の方々にとって、実り多く希望に満ちた一年となりますよう心からお祈り申し上げます。