2019年9月9日
株式会社神戸製鋼所
当社は、代替フロンよりも更に環境負荷の低い新冷媒であるグリーン冷媒(低GWP冷媒※1)を採用した高温ヒートポンプ「HEM-HR-GN/GLシリーズ」を開発しました。水冷式高温ヒートポンプにおいてグリーン冷媒を採用したのは初めてとなり、本シリーズは55・70・85・95℃の温水取出機をラインナップしています。
ヒートポンプは、飲料・食料品・化学・電子デバイスなどの工場において、材料の殺菌や洗浄向けに温水を、また冷却や冷房向けには冷水を同時に供給する装置であり、一般的に冷媒として代替フロンが広く使用されています。近年、地球温暖化からCO2排出量の削減が世界的な課題となっており、代替フロンも温室効果が高い事から、2016年に決定したモントリオール議定書キガリ改正により段階的に削減することが義務付けられました。また、同年から施行されたフロン排出抑制法により熱源機器に使用する冷媒のノンフロン化・低GWP化が求められ、環境負荷の低い冷媒への早期転換が求められています。
このような中、今回、当社は産業用冷却・加熱や業務用空調で広くご利用頂いているHRシリーズの環境対応モデルとして、低GWP冷媒を使用した地球環境への負荷が極めて低い製品を開発しました。効率面でも高効率を実現しており、環境性と高い省エネ性を両立した製品となっています。
1)55℃・70℃温水取出機
代表モデルの70℃温水取出機では、エネルギーの効率を表す指標である総合COP5.6※2と当社従来モデル(HEMⅡ-HR)比3%性能を向上させました。本年10月から販売を開始し、年間500台の販売を目指します。本モデルはノンフロン扱いとなるGWP1以下の冷媒を使用したGNと、GWPを従来の半分以下にしたGLがあり、お客様の長期的な環境計画に合わせた機種選択が可能です。
2)85℃温水取出機
従来のHEM-HR90の85℃までの領域をカバーする低GWPモデルで、基本試験を終了し、来年度販売開始予定です。
3)95℃温水取出機(木村化工機(株)共同開発品)
プラントエンジニアリングメーカーである木村化工機(株)と共同開発したモデルです。本モデルは、蒸留濃縮システムやアンモニア回収装置等のコンデンサーから60~75℃の排熱を回収し95℃の温水供給が可能で、加熱COP7.5※3を達成しました。システムの消費エネルギーの大幅な削減が可能であり、省CO2、省ランニングコストに寄与します。本年秋頃に蒸留濃縮システムのパイロットプラントでの検証試験を経て、来年度販売開始予定です。
※1:GWP
地球温暖化係数。CO2を1とした場合の温暖化影響の強さを表す値。
グリーン冷媒
明確な定義はありませんが、自然冷媒を含むノンフロン冷媒や低GWPのフロン類を指します。
※2:総合COP
加熱能力と冷却能力の合計能力を消費電力で除した値。投入した電力1kW当り、どの程度の冷熱エネルギーと温熱エネルギーが得られるかを表した指標。値が高い程、高効率となる。
※3:加熱COP
加熱能力を消費電力で除した値。総合COPと同様に値が高い程、高効率となる。
モデル | 冷媒 | GWP | 供給温度 | 代表性能※2 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
冷水(排温水) | 温水 | 加熱能力 | 冷却能力 | COP※1 | |||
55℃取出機 | R1234yf | 1以下 | 5~15℃ | 40~55℃ | 377.8 kW | 281.0 kW | 6.8 |
R513A | 631 | 416.0 kW | 312.0 kW | 6.9 | |||
70℃取出機 | R1234yf | 1以下 | 5~20℃ | 55~70℃ | 352.4 kW | 245.0 kW | 5.6 |
R513A | 631 | 356.0 kW | 249.0 kW | 5.6 | |||
85℃取出機 | R1234ze(E) | 1以下 | 5~30℃ | 75~85℃ | 265.0 kW | 159.0 kW | 4.0 |
95℃取出機 | R1224yd(Z) | 1以下 | 50~70℃ | 75~95℃ | 320.0 kW | - | 7.5 |
※1 95℃取出機は加熱COP、55℃・70℃・85℃取出機は総合COPを記載
※2 条件 55℃取出機:冷水12/7℃、温水45/50℃
70℃取出機:冷水17/7℃、温水60/70℃
85℃取出機:冷水17/7℃、温水70/80℃
95℃取出機:排温水73/68℃、温水90/95℃
(注記)プレスリリースの内容は発表時のものです。販売がすでに終了している商品や、組織の変更など、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。