株式会社商船三井と共同で「舶用バイナリー発電システム」の長期実船運用試験を開始

~未利用エネルギーの有効活用により、CO2排出量を低減~

2020年12月17日

株式会社神戸製鋼所

当社が開発中の「舶用バイナリー発電システム※1」について、株式会社商船三井と共同で春山海運株式会社のばら積み貨物船(今治造船株式会社建造、215千トン、本年10月竣工)に搭載し、約3年間の実船運用に関する共同研究を行います。今回初めてケープサイズ※2の貨物船に本装置を搭載し、実際の運用条件における本装置の性能や耐久性の確認を行います。

搭載した舶用バイナリー発電システムは、従来、大部分が廃棄されていた船舶の主エンジンの掃気冷却に伴う廃熱を熱源に、最大約100kWの発電が可能です。発電した電力は船舶における動力の補助電源などに有効活用する事で、発電機エンジンのCO2排出量及び燃料の削減に貢献します。

舶用業界では、国際海事機関(IMO)※3によってCO2排出制限について、船舶に対し2008年比で2030年までに40%減、更に2050年までに70%減との目標が設けられ、対応が急務とされています。当社は、2011年に陸上用のバイナリー発電システム「マイクロバイナリー」を開発、販売開始し、工場排熱、地熱などを熱源とした分野に多くの納入実績があります。こうした知見をもとに、船舶における廃熱に着目し2014年から舶用のバイナリー発電システムの開発を開始、2016年にプロトタイプでの海上試験※4を完了し、商品化を進めています。また、本システムは、日本海事協会(日本)、Lloyd(イギリス)、DNV・GL(ノルウェー)及びABS(米国)の認証機関の基本承認を取得しています。

KOBELCOグループは、CO2削減の取り組みは経営上の最重要課題の一つであると認識しており、今後も本技術をグローバルに展開し、舶用業界における環境負荷低減に貢献してまいります。

  • ※1 バイナリー発電とは、温水、低圧蒸気等の低位の熱源により沸点の低い作動媒体を加熱、蒸発させてその蒸気でタービンを回し発電する方式です。

    ※2 ケープサイズ
    貨物船における積載可能量に応じた大きさの分類の事で、ケープサイズは最大のもの。

    ※3 国際海事機関(International Maritime Organization:IMO)
    海上の安全、船舶からの海洋汚染防止等、海事分野の諸問題についての政府間の協力を推進するために1958年に設立された国連の専門機関です。

    ※4 本研究開発は、国土交通省の「次世代海洋環境関連技術開発支援事業」及びNKの共同研究テーマに採択され、ご協力を頂きながら実施しました。

舶用バイナリー発電システムの特長

搭載船写真

搭載船写真

搭載システムの系統イメージ図

搭載システムの系統イメージ図

関連リンク

(注記)プレスリリースの内容は発表時のものです。販売がすでに終了している商品や、組織の変更など、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。

ページトップへ