2021年 年頭の辞(要旨)

2021年1月5日

株式会社神戸製鋼所
代表取締役社長 山口 貢

KOBELCOグループの皆さん、新年あけましておめでとうございます。

新しい年、2021年がスタートしました。昨年は、新型コロナウイルス感染症の猛威に世界中が苦しんだ一年でした。世界の主要国では「ロックダウン」による都市封鎖が行われ、日本でも4月に「緊急事態宣言」が出されました。「三密の回避」、「マスクの常時着用」、「時差出勤」、「在宅勤務」などの感染防止策の徹底を図ってきましたが、いまだに終息の目途は立たず、不自由な生活を強いられています。また、人々の移動が制限されたことにより、経済活動は停滞しました。夏場以降、徐々に経済活動再開の動きが広まってはいますが、コロナ禍以前の活動水準に戻るには時間を要すると思われます。ワクチンや治療薬の開発に期待するものの、当分の間、感染防止に努めながら、社会生活と経済活動の両立を図っていく、まさに“ウィズ・コロナ”の時代を私たちは生きていかなければならないことを覚悟する必要があります。私たちの事業は、素材系・機械系・電力のどれをとっても人々の生活に欠かせない社会基盤を支える基幹産業であり、安定生産・安定供給という社会的な使命を果たし続けなければなりません。そのため、このような状況であっても、出社が不可欠な職務、特に製造現場で業務に従事されている皆さんには深く感謝しています。

2020年度は2年連続の赤字を回避すべくスタートしました。しかし、新型コロナウイルスの影響で素材系事業を中心に需要が激減し、大幅な減産を余儀なくされ、8月には年度で600億円という経常損失の見通しを発表しました。過去に例のない大幅な収益悪化のため、緊急対策として、経費削減、設備投資や投融資の抑制、一時休業の実施などの施策を現在も実施中です。皆さんのご理解とご協力に改めて感謝します。幸いにも、皆さんの努力に加え、自動車産業を中心に需要が回復に向かってきたことにより、現時点での経常損失の見通しは250億円改善して350億円となっています。ただし、新型コロナウイルスの影響があったとはいえ、依然として過去最大の赤字見通しであることに変わりはなく、2年連続して経常損失の見通しです。今年度も残り3ヶ月ですが、2021年度の黒字化に繋げるためにも、この下期の黒字化は必須です。

さて、今年は次期中期経営計画を策定する年になります。新たな中期経営計画は、グループ企業理念に基づいた「①真に競争力のある製品・サービスへの特化」、そして、「②将来の成長分野・新規分野への取組み」を通じて中長期的な収益基盤の確立を目指すものです。先ずは2021年度の黒字化を何としてもやりきらなければなりません。そのため、厳しい施策を継続し、当面、収益力の回復に向けた取り組みを優先せざるを得ませんが、中長期的な収益基盤確立に向けての施策も検討し、実行していきます。私たちがグループ企業理念に掲げている“挑むべき社会課題”は年々変化し、多様化していますが、これは絶好のチャンスであると思っています。

当社グループには、これまで培ってきた技術・人材・市場・経験などの多様なビジネス上の資産があります。これらのビジネス資産を最大限に活用することで、社会課題を解決すると共に、既存事業における競争力の強化・拡大、そして新たな事業の創出も期待できます。今年は丑年です。丑年は、その黙々と草を食む姿からか、「黙々と目の前の仕事をこなすことによって将来の成功を導く年」、「結果に繋がる道をコツコツと作っていく年」、ひいては「発展の前触れの年」などと言われています。私は日頃から「目線は高く、ただし現実には謙虚に」と申し上げています。コロナ禍の中、俯きがちになりますが、目線を高くすることを忘れずに、しかし現実を真摯に受け止めて、日々の業務に取り組んでほしいと思います。

最後に、新型コロナウイルス感染症が一日も早く終息し、皆さんの生活が元に戻り、夢や希望が叶えられる世界が訪れますよう心からお祈り申し上げ、私の年頭の挨拶と致します。

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