「KOBELCOグループの製鉄工程におけるCO₂低減ソリューション」

~高炉工程でのCO2排出量を約20%削減できる技術の実証に成功~

2021年2月16日

株式会社神戸製鋼所

当社は、多様な事業を営む企業としての特徴を活かし、エンジニアリング事業のミドレックス技術※1と鉄鋼事業の高炉操業技術を融合し、高炉工程でのCO2排出量を大幅に削減できる技術の実証に成功致しました。

実証試験は、2020年10月に加古川製鉄所の大型高炉(4,844m3)で約1か月にわたり行っております。

実証試験では、高炉にMIDREX®プロセス※2のHBI(還元鉄※3)を多量に装入し、高炉からのCO2排出量を決定づける還元材比(高炉で使用する炭素燃料使用量※4)を518kg/t-溶銑から415kg/t-溶銑に安定的に低減(CO2排出量を従来比※5の約20%削減)できることを確認しました。

また世界最少水準のコークス比(239kg/t-溶銑)も同時に達成出来ており、現有する技術を用いたCO2低減策の中では、安価な追加コストでCO2を削減できるソリューションを提供できる目途が立ったと考えております。

今回の技術におけるCO2削減コスト

今回の技術におけるCO<sub>2</sub>削減コスト

なお、今回の成果に至ったキーテクノロジーは、次の通りです。

すべてKOBELCOグループ独自開発ですが、汎用性のある高炉向けソリューション技術です。

今後も引き続き、CO2排出量の更なる削減、ならびにCO2削減コストの低廉化など、低CO2排出高炉操業技術のブラッシュアップにチャレンジしていきます。自社のCO2削減のみならず、今回のソリューションをベースに、全世界の高炉でHBI装入によるCO2削減が加速されるよう貢献していきたいと考えております。

さらに、今回、実機での実証実験が成功したことから、低CO2高炉鋼材のお客様への提供に向けて大きく前進したものと考えております。サプライチェーン全体で環境問題へ取り組む中で、新たな価値を付加した低CO2高炉鋼材をお客様に速やかにご提供できるよう生産・販売体制の構築や販売条件の設定を進めてまいります。

政府が宣言した2050年カーボンニュートラルに向けたグリーン社会へ貢献するために、より多くのCO2を出来るだけ安価な手法で、しかも一日も早く低減する技術を開発・確立することがKOBELCOグループの使命です。

これまでもこれからもKOBELCOグループは、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界」を実現するために「個性と技術を活かし合い、社会課題の解決に挑みつづけ」ます。

  • ※1 米国のKOBELCOグループ100%子会社(Midrex Technologies, Inc.)が有する直接還元製鉄法に関する技術。

  • ※2 MIDREX®プロセスは、天然ガスを使った還元鉄製鉄法であり、世界の約80%(還元鉄全体では約60%)を占めるリーディングプロセス。本方式は、天然ガスを還元材として、鉄源は粉鉱石を加工したペレットを使用してシャフト炉によって還元鉄を製造。高炉法に比べ、製鉄工程でのCO2排出量を20~40%抑制できることなどが特長。世界で90基以上の納入実績がある。

  • ※3 Hot Briquetted Iron(熱間成形還元鉄)の略。還元鉄はそのままでは長距離輸送に適さないため、還元炉より排出された高温の還元鉄をある程度の大きさの塊(Briquette)に押し固めたもの。

  • ※4 還元材比=コークス比(高炉でのコークス使用量)+微粉炭比(高炉へ吹込む微粉炭量)
    コークス:石炭からつくられた炭素燃料、微粉炭:粉砕した石炭

  • ※5 CO2削減に関する国やKOBELCOグループの目標の基準年である2013年度と比較している。

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