ドイツthyssenkrupp社向け水素直接還元鉄プラントにおけるMIDREX Flex™の採用について

2023年3月14日

株式会社神戸製鋼所

当社100%子会社であるMidrex Technologies, Inc(以下ミドレックス社)のMIDREX FlexTM直接還元鉄プロセス(*1)が、thyssenkrupp Steel Europe AG(以下thyssenkrupp社)のデュイスブルグ製鉄所で建設予定の水素還元鉄プラント(以下本プラント)に世界で初めて採用されました。

本プラントでは、初期の段階では還元剤として天然ガスを利用しますが、thyssenkrupp社が十分な水素を調達できるようになる見込みの2027年以降、最大で水素100%への移行を計画しています。MIDREX FlexTMは天然ガスから水素へと柔軟に還元剤を転換できるプロセスで、トランジション期間(段階的な二酸化炭素排出量の削減)にも対応可能とすることでカーボンニュートラルの実現に大きく貢献します。
本プラントの生産能力は年産250万トンで、ドイツ最大の直接還元鉄プラントとして、2026年末のプラント立ち上げを予定しています。本プラントの設計、機器供給、建設については、ミドレックス社がPaul Wurth S.A.(以下PW社)と共に実施します。今回ミドレックス社が提供する直接還元技術とPW社の親会社であるSMS Groupの溶解炉により、thyssenkrupp社の既設高炉法と比較して年間350万トンの二酸化炭素(CO2)排出量の削減が可能となります。

MIDREX®プロセスは、世界の還元鉄生産量の約80%(天然ガスベースの直接還元鉄)を占める直接還元法のリーディングプロセスです。当社は、天然ガスを改質したガス(CO+H2)を還元剤とするMIDREX NGTM(*2)、100%水素を還元剤とするMIDREX H2TM(*3)、そして今回採用された天然ガスを水素に柔軟に置き換えることが出来るMIDREX Flex™という3つのプロセスを保有しており、当社及びミドレックス社はこれらプロセスの提供を通じ、世界の鉄鋼業界のカーボンニュートラルへの取り組みに貢献し、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。

当社グループは、今後も技術・製品・サービスの提供を通じた新たな価値創造による社会課題解決に貢献することで、お客さまや社会にとって“かけがえのない存在”としてあり続けるとともに、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」の実現を目指してまいります。

  • ※1 :今回採用されたMIDREX FlexTMは、MIDREX NGTMの技術をベースに、還元に利用する天然ガスを最大100%まで柔軟に水素に置き換えることができるプロセスで、MIDREX NGTM直接還元鉄プラントに比べ、更なるCO2排出量の削減が可能。

  • ※2 :従来の天然ガスベースのMIDREX NGTM直接還元鉄プラントは、世界で90基以上が稼働しており、天然ガスを改質した水素リッチガスを還元剤として用いることにより、従来の高炉法に比べ製鉄工程でのCO2排出量を最大40%削減することが可能。

  • ※3 :100%水素を還元剤としたMIDREX H2TMは、ほぼCO2排出量ゼロで還元鉄を生産することが可能。ミドレックス社はスウェーデンのH2グリーンスチール社向け世界初の100%水素直接還元鉄プラント商業機を2022年に受注しており、2025年の生産開始を予定している。

  • Midrex Technologies, Inc.概要
  • 設立
    1983年(買収)
    所在地
    米国 ノースカロライナ州 シャーロット市
    代表者
    社長・CEO Stephen Montague
  • Paul Wurth S.A.概要
  • 設立
    1870年
    所在地
    ルクセンブルク ルクセンブルク市
    代表者
    CEO André Schneider

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