当社PVDコーティング技術の岩木トライボコーティングネットワークアワード受賞について

2024年3月21日

株式会社神戸製鋼所

当社は、一般社団法人未来生産システム学協会が主催する岩木トライボコーティングネットワークアワード(以下、岩木賞)において事業賞※1を受賞いたしましたので、お知らせいたします。

岩木賞はトライボコーティング技術研究会(会長:大森整 理化学研究所 主任研究員)によって2008年度に創設され、表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故・岩木正哉博士(理化学研究所元主任研究員、トライボコーティング技術研究会前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野とその関連分野での著しい業績を顕彰するものです。この度、主に切削工具の表面処理において、寿命向上や難加工を可能とするコーティング技術の確立と新型装置の設計、販売実績が評価され事業賞の受賞に至りました。

KOBELCOグループは多様な事業・技術・人材のかけ算により、引き続き、切削工具をはじめ、金型、部品等における表面処理技術の発展に貢献し、お客様や社会にとってかけがえのない存在でありつづける企業グループを目指してまいります。

開発技術名

AIP法※2による高Al含有立方晶AlCrN皮膜および装置の開発

受賞者の貢献

コーティング技術の確立、新型装置の設計および販売

開発技術の概要

近年、工作機械の高性能化に伴う高速加工や、部品の小型・軽量化に伴う被削材の精密化など、より過酷かつ精密な加工条件への対応ニーズが増加しており、切削工具の性能向上が求められています。切削工具の代表的皮膜であるAlCrN(窒化アルミクロム)は、皮膜中のAl含有量が多いほど高温耐性に優れ、高速加工等の刃先温度が上昇する条件に効果的であることが知られています。

当社は従来上限とされてきたAl含有率65at%に対して、高硬度かつ良好な皮膜構造を維持した状態でAl含有率70at%以上という画期的な皮膜開発に成功しました。また、精密加工に有効な皮膜の表面粗度を大幅に改善する技術も確立し、2023年の春に新型PVD※3コーティング装置(製品名:AIP-iX(アイピックス))の販売を開始しました。

受賞者

機械事業部門 新事業推進本部 技術部高機能室

室長 黒川 好徳、久次米 進、竹井 良将、津村 英幸、藤田 潤樹、鈴木 啓佑、水鳥 雄斗

機械事業部門 新事業推進本部 営業部高機能室

廣田 悟史

機械事業部門 新事業推進本部 事業化推進室

高橋 哲也、国末 晃伸

受賞写真等

2024年2月22日に理化学研究所 和光本所で行われた授賞式の様子(株式会社メカニカル・テック社 提供)

(中央左:竹井 良将、中央右:久次米 進)

(中央左:竹井 良将、中央右:久次米 進)

AIP-iX外観

AIP-iX外観

※1:事業化技術または事業/ビジネスモデル、サービス等が当該業界において影響力を有し、当該業界の知名度を上げる、インフラの構築を行う、社会生活に恩恵をもたらす、等の効果を通して、活性化、発展に貢献を成し、波及効果を生む、等の活動の成果、努力が認められるもの(岩木賞ホームページより)。

※2、※3:PVDおよびAIP法について
PVD(Physical Vapor Deposition)は物理蒸着と呼ばれる薄膜形成技術の総称。
AIP(Arc Ion Plating)はPVDの一種で、真空中のアーク放電によって材料を蒸発・イオン化させて、母材に薄膜をコーティングする技術。耐摩耗性、低摩擦化等の特性を母材に付与することが可能で、工具や金型、機械部品などに用いられる。

関連リンク

(注記)プレスリリースの内容は発表時のものです。販売がすでに終了している商品や、組織の変更など、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。

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