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プレスリリース

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自動車部品用途の超ハイテンのロールフォーム技術に関する包括提携について

~超ハイテンで自動車の軽量化を加速、構造部材等を15%程度軽量化~

2008年9月11日

株式会社神戸製鋼所
フェストアルピーネ・クレムス社

(株)神戸製鋼所(以下:神戸製鋼)とフェストアルピーネ・グループ(オーストリア)のロールフォーム部門の中核会社であるフェストアルピーネ・クレムス社 (*1以下:VAK社)はこのほど、自動車部品用途の超ハイテン(引張強度が1180〜1470MPa)のロールフォーム技術に関する包括技術契約を締結しました。本技術提携に基づき、神戸製鋼とVAK社は共同で自動車軽量化に貢献すべく、
1) 日系自動車メーカーに対し、超ハイテンのロールフォーム技術の優位性を示す構造提案を行い、2011年以降のモデルに向けて採用を働きかけ、普及・浸透活動を継続的に展開しながら、
2) 日本のロールフォーム加工を行うプレスメーカーに対する技術支援を行って参ります。
これにより、ハイテン素材の製造を得意とする神戸製鋼は、日本・アジア地域での生産車種に対する超ハイテン素材の供給拡大を、加工技術に優れるVAK社は、日系自動車メーカーの欧州・北米・南米地域での生産車種に対する超ハイテン・ロールフォーム部品の供給拡大を図っていくことになります。

CO2排ガス規制への対応として、近年、自動車の車体重量軽量化のニーズは益々高くなっており、車体構造部材への超ハイテン適用が急速に進んでいます。その中で現在使用されている車体構造部材で最高強度である引張強度980MPa級超ハイテン材の使用拡大とともに、更なる構造部材の強度向上が期待されています。神戸製鋼は自動車向け超ハイテン材のリーディングカンパニーとして、これまで加工性をさらに向上させた引張強度1470MPa級までの超ハイテン材の開発を完了させています。

一方、自動車の車体軽量化は、優れた特性を持つ材料と、最適な部品形状・構造、およびその形状・構造を実現できる加工方法・製造技術を組み合わせることによって初めて最大限の効果を引き出すことが出来ます。しかしながら、従来幅広く採用されてきた「冷間プレス工法」では、超ハイテン材を使用すると通常のプレス機では能力が足らず、大型部品の加工が困難な状況にあります。また、近年採用が進みつつある「ホットスタンプ工法(*2)」では、加工後の脆性(*3)や耐食性に課題があるとされていました。
これに対しロールフォーム工法は、
1) 他工法ではできない複雑な部品形状・構造が可能。
2) 比較的簡単な設備で製造することが可能。
3) 非熱処理のため超ハイテン材料の優れた特性(耐脆性、耐食性、等)をそのまま生かすことが出来る。
などの特長を有しており、従来の加工法の持つ課題を解決する切札となり得ます。

VAK社は、神戸製鋼が既に包括提携関係にあるフェストアルピーネ・シュタール社(グループの中の鉄鋼部門)と並ぶフェストアルピーネ・グループの中核企業であり、欧州のロールフォーム事業でトップシェアを誇る優れた製造技術を有しています。神戸製鋼とVAK社は超ハイテン材料とロールフォーム工法を組み合わせることに着目し、これまでに共同で引張強度980MPaを超える超高強度ハイテン材のロールフォーム技術の開発に取り組んできました。両社の技術提携により、超ハイテン材料技術、優れた部品製造技術および両社の部品構造設計技術を組み合わせ、自動車の車体軽量化に大きく貢献して参ります。

*1 VAK社について

図1 当社とフェストアルピーネクレムス社との関係
当社とフェストアルピーネクレムス社との関係
KVCA:Kobe Voestalpine Cooperative Agreement

【フェストアルピーネ・グループの概要】
本社: オーストリア リンツ市
設立: 1938年
代表者: Dr. Wolfgang Eder, CEO (ウォルフガング・エーダー会長)
従業員数: 41,490名(2008年3月末現在)
売上: 10,481.2百万ユーロ(2008年3月期)
粗鋼生産量: 760万トン(2008年3月期)

*2 ホットスタンプ工法
鋼板を高温に加熱することで変形しやすくし、金型で鋼板を成形と同時に急冷し、成形前よりも高い強度を得ることのできる工法である。高温で加熱するため、亜鉛などのめっきが蒸発し耐食性が低下する、非常に硬い組織へと変化することで脆くなる、などの課題あり。

*3 脆性
物質の脆さを表す言葉。破壊に要するエネルギーの小さいこと。