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プレスリリース

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2010年 年頭の辞(要旨)

2010年1月5日

株式会社神戸製鋼所
代表取締役社長 佐藤廣士

1.経営環境の認識
世界経済は最悪期を脱したと言われているが、欧米の景気回復の足取りは重く、日本でも円高、株式市場の低迷、デフレ進行の懸念など、不安材料が台頭している。当社グループの経営環境も厳しい状況が続くと思われる。素材系事業では、需給バランスの乱れや主原料価格交渉の難航、資本提携や企業再編の動き、機械系事業では、民間設備投資の停滞などによる需要の低迷が懸念される。一方で、中国・インドをはじめとした新興経済国の需要の伸長が期待できる。また、温室効果ガスの排出削減に向けた世界的な趨勢は、バラエティに富む省エネルギー技術・製品を保有する当社グループにとって絶好の追い風になる。このように、外部環境には光と陰が交錯している。
2.利益・キャッシュフローの最大化に向けて
喫緊の課題は足下の業績の改善であり、今年度の赤字幅を縮小するよう全力を尽くす。そして、2010年度には黒字転換は勿論のこと、更なる利益の上積みを目指す。そのためには、夫々の職場における、最大受注・安定生産・コストダウンをはじめとする責務を全うする努力が必要である。
3.今後の方向性
今後の方向性を一言で表現すると、「高付加価値で利益の高いオンリーワン」を「適正なコストで安定的に生産」し、「グローバル化を進めて販売量を拡大」するために、「組織と人材の強化」を図り、「社会と共に持続的な成長」を実現するということ。この考えを基に、現在中長期ビジョンについての議論を重ねており、今後具体的なシナリオを描き、新しい「中期経営計画」として然るべき時期に発表する。その骨子は次のように考えている。
(1)「オンリーワン」の追求
私たちは数多くの特長ある技術・製品・サービスを持っている。アンテナを高く張って、刻々と変化する世の中のニーズを捉え、常に「新たな価値の創造」に邁進しなければならない。そのために、研究開発職だけでなく営業・商品技術・工場スタッフなど関係者全員が力を合わせる必要がある。
(2)「ものづくり力」の強化
「ものづくり力」の強化に関して、本社にプロジェクトチームを設置し、新たな活動を始めた。製造拠点のそれぞれの特徴や持ち味を、本社が客観的・定量的に把握・解析・評価して情報を発信することにより、グループ全体の「ものづくり力」の強化に繋げることが狙いである。
(3)グローバル展開を加速
国内市場の成長を望み難い一方、中国・インドといった新興経済国は目覚しい発展を遂げており、顧客の海外生産・現地調達も加速している。これに合わせ、タイミングを逃すことなく、スピード感をもってグローバル展開を進める。
(4)「組織力の向上」と「人材の育成」
当社グループの特色の一つは、事業と技術の多様性であり、これらを融合して組織力を高めれば、比類のない力を発揮できる。だからこそ組織・文化・意識の垣根を取り払う活動、即ち「バリアフリー」が重要である。情報を共有する意識を高めてもらいたい。
組織を支えるのは人である。従来にないスピードで変革を遂げている社会において、関心を持つべき事柄は無数にあるが、夫々が「魚の目」をもって潮の変化を読み、知識・技能のブラッシュアップを続けて欲しい。また会社としても、人材の強化を目指し、体系的な活動を開始する。
(5)「安全・防災」と「社会との共生」
「安全・防災」と「社会との共生」は事業活動の基盤である。コンプライアンスをはじめとした内部統制システムの確立・実践についても、昨年から開始した「新リスク管理活動」を軸として、経営幹部の率先の下、全員が「自らの」責務と捉え、参画することを求める。また、「環境への配慮」にも引き続き注力する。
4.むすび
社長に就任した昨年4月以来、国内外の約20箇所の事業所を訪問した。今年も各地を訪れ、皆さんとの対話を重ねるつもりである。2010年が会社と皆さんにとって、充実した年として将来に亘り記憶に残るよう、力を合わせて進んでいきたい。