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商業第一号プラントでアイアン・ナゲットの生産に成功!

プレスリリース

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世界初!新製鉄法『ITmk3(アイティ・マークスリー)』
商業第一号プラントでアイアン・ナゲットの生産に成功!

2010年1月14日

株式会社神戸製鋼所

当社が開発した新製鉄法(以下:ITmk3)を採用した最初の商業プラントが、本年1月12日午後6時(現地時間)よりアイアン・ナゲットの生産を開始しました。
年産50万トンのアイアン・ナゲット生産能力を有する本プラントは、当社と、米国の大手電気炉メーカー「スチール・ダイナミックス社(以下:SDI社)」が共同で、米国・ミネソタ州Hoyt Lakes(ホイット・レイクス)市に建設したものです。今後は、操業条件を調整しつつ徐々に生産量を引き上げ、2010年年央を目処に年産50万トンレベルを達成する予定です。

ITmk3は、従来の高炉法とは全くコンセプトの異なる革新的な製鉄法で、1994年の現象発見以来様々な開発の段階を経て、このたび商業機による生産を開始しました。本プロセスは、(1) 高品位のアイアン・ナゲットを極めて短時間(約10分)で製造することが可能である、(2) 高炉法では使いにくかった安価な粉鉱石や一般炭を原料として利用することが可能である、(3) 高炉法による銑鉄製造に比べて、エネルギー効率が良く、CO2排出量を約20%削減できる、などの特長を有しています。

 商業第一号プラントの全景    回転炉床炉
商業第一号プラントの全景   回転炉床炉
     
 初生産のアイアン・ナゲット    
初生産のアイアン・ナゲット    

当社は、今回のITmk3商業機の操業開始を踏まえ、加速度的に世界市場に当プロセスの浸透・普及を進めていきます。加えて、この技術を活用する先駆者として、自ら参画するアイアン・ナゲット製造プロジェクトを北米、ベトナム、インド、ロシア、豪州等において、数百万トン規模で展開していく計画です。
ITmk3プロセスの概要と特長
1.ITmk3の製造プロセス
(1)粉鉱石、一般炭を造粒機で粒状に固める
(2)回転炉床炉に投入し加熱、約10分で還元・溶融・スラグ分離を行なう
(3)高品位のアイアン・ナゲットを生産

2.ITmk3の利点
(1)エネルギー効率が良く、CO2排出量を約20%削減(高炉法による銑鉄製造 VS ITmk3によるアイアン・ナゲット製造の比較)
(2)原料事前処理設備(コークス炉、焼結炉、ペレットプラント)が不要
(3)鉄鉱石の山元での立地メリット大、小規模鉱山でも採算が取れる
(4)操業が容易、生産量調整が容易。

3.ITmk3で製造されるアイアン・ナゲットの特長

(1)高炉銑鉄並みの高品質 金属鉄:96~97%、スラグフリー
(2)電気炉での生産性、エネルギー効率の向上(高炉銑鉄より優れた溶融性、連続投入が可能)
(3)輸送/ハンドリングが容易(高密度=再酸化なし、粉化なし)

世界の粗鋼生産量は中長期的に増加し続けていくものと予想され、それに伴い電炉メーカーを中心に、冷鉄源(高炉で生産される銑鉄や還元鉄、アイアン・ナゲットなどの清浄鉄源)の安定確保を求める声が一層高まりつつあります。この新規需要に対応する最も効率的なプロセスの一つとしてITmk3が挙げられます。

ITmk3プロセスは、CO2排出量と設備投資額を低く抑えられることから、特に新興国での環境に配慮した鉄鋼産業の育成に効果を発揮するものと考えられます。また、高炉法で使用することが難しかった、安価な低品位の鉄鉱石や石炭を活用できることから、導入する製鉄・鉱山会社にとって、相対的に原料コストを低く抑えることが出来るという利点があります。そして、それらのメリットを享受しつつ、製鋼過程において、高炉銑鉄より優れた溶融性を発揮する高品位のアイアン・ナゲットを生産できることにITmk3プロセスの真価があるといえます。
一方、鉱山会社にとっては、ITmk3プラントを自社鉱山に建設しアイアン・ナゲットを生産することによって、資源に付加価値を付けることができます。これにより、従来、高炉メーカーに限定されていた市場(需要家)を電気炉メーカーにまで拡大することが可能となります。

現在、世界の鉄鋼業界は、地球規模での環境問題への対応に加え、急激な鉄鋼生産の増大に伴う原料需給の逼迫とコスト上昇に直面しています。このような困難な状況の中でこそ、ITmk3プロセスは様々な解決策を提示出来ると考えています。当社は鉄鋼業界の一員として、また、ITmk3プロセスの他にも、世界の還元鉄生産の約60%を占める「MIDREXプロセス」や、製鉄所ダストの処理に威力を発揮する「FASTMETプロセス」など、多くの直接還元製鉄技術を保有する同分野のリーディングカンパニーとして、時代の要請に合致した革新的な製鉄技術を世に送り出し、企業価値の向上と社会貢献を実現していきたいと考えています。
【ご参考】第一号商業機稼動までの経緯と概要
当社は2004年7月にミネソタに建設したデモンストレーションプラントでの実験操業で本技術を確立した後、米国電気炉メーカー第2位のSDI社と合弁で、プラント運営会社「メサビナゲット・デラウェア社(以下:MND社)を設立し、2007年より、商業第一号機の建設を進めてきました。MND社では、ITmk3プロセスのプラント操業と管理、アイアン・ナゲットの販売を行います。当社は、本プロジェクトに対し、ITmk3プロセスのライセンスを供与し、エンジニアリングと主要な機器の供給、指導員の派遣等を行なっています。また、プラントの操業を通じて、設備及び操業技術のさらなる蓄積を目指します。また、SDI社と共同で、アイアン・ナゲットを利用した製鋼の最適化を図って行きます。
一方SDI社は、同プラントで生産されるアイアン・ナゲットを引き取り、自社の電気炉工場で鉄源として使用します。