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プレスリリース

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鉄鋼スラグを用いた海洋環境修復に関する実証試験について

鉄分の供給による海藻の育成と漁場環境の改善を目指す

2010年4月22日

株式会社神戸製鋼所

当社と神鋼スラグ製品(株)(本社:神戸市中央区、代表者:伊藤良二)、神鋼建材工業(株)(本社:尼崎市、代表者:小南孝教)は、昨年7月から、従来の鋼製魚礁に、鉄鋼製造工程で副産物として生成する鉄鋼スラグを組み合わせた鋼製藻場魚礁を家島群島の西島(兵庫県姫路市家島町西島)近傍の海域に1箇所設置し、海藻の育成・漁場環境の改善を目的とした調査研究を開始しました。調査期間は2012年6月までの3ヵ年です。
この実証試験は始まったばかりですが、魚礁沈設後半年程度で藻類の繁茂や魚の回遊が見られ、鉄鋼スラグを利用した海洋環境修復への効果について期待が高まっています。

近年、森林の伐採やダム工事などの影響で河川から海への栄養分の供給が減り、昆布などの海藻が減る「磯焼け」と呼ばれる現象が全国各地で進行していると言われています。また、兵庫県が面している瀬戸内海では、昭和40年代に急速に悪化した水質が各種施策により一定の改善が見られたものの、生物・海藻等の生息環境の悪化や漁業生産量の減少などの問題が顕在化しており、環境改善や水産資源の回復への取り組みは急務の課題となっています。
鉄鋼スラグは主にセメント用原料や道路用路盤材等に利用されていますが、ここ数年で、その中に含まれる鉄分やミネラルなどの栄養分により海藻が繁茂する等、海洋環境の修復に効果があることが確認されています。
こうした状況から、兵庫県は、資源循環型社会の推進や産官学の協力・連携による調査研究並びに普及啓発等を行う「ひょうごエコタウン推進会議(会長 井戸敏三 知事)」の中に、環境保全・修復材料としての鉄鋼スラグを陸域及び海域で有効に活用するための方策を検討する「鉄鋼スラグの利用拡大研究会」を2008年に設置しました。実海域での実証試験等を通して、兵庫県における鉄鋼スラグを活用した環境改善モデルを推進しています。

この実証試験の一環として、当社グループは、昨年7月から、鉄鋼スラグを組み合わせた鋼製藻場魚礁を家島群島の西島近傍の海域に1箇所設置し、海藻の育成・漁場環境の改善を目的とした調査研究を開始しています。小型魚礁(寸法:縦4.4m×横3.0m×高さ2.0m)と大型魚礁(寸法:縦8.3m×横8.3m×高さ5m)の2種類の魚礁を水深5〜8mの海底に施工しました。現在までのところ、海藻の繁茂や魚の回遊が見られ、順調な経過となっています。3年間の実証試験終了後、成果について取り纏めを行います。
尚、この実証試験の場所は、海の環境学習の拠点である「兵庫県立いえしま自然体験センター」に隣接しており、同センターのご協力を得ています。


鉄鋼スラグを組み合わせた小型・大型藻場魚礁

小型藻場魚礁 大型藻場魚礁

藻場魚礁沈設後

 
(1)3ヵ月後の写真


(2)6ヶ月後の写真