神戸製鋼HOME > プレスリリース > 2010年 > 『船舶用高強度鋼板の開発』で市村産業賞を受賞

プレスリリース

*プレスリリースの内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

『船舶用高強度鋼板の開発』で市村産業賞を受賞

2010年4月30日

株式会社神戸製鋼所

当社はこの度船舶用高強度鋼板の開発で財団法人新技術開発財団から第42回市村産業賞※1貢献賞を受賞し、4月28日(水)に都内ホテルにて贈呈式が執り行われました。

【件名】 「高い船体安全性を備え地球温暖化防止に寄与する高強度鋼板の開発」

【賞名】 第42回市村産業賞「貢献賞」

【受賞技術の概要】

近年、地球規模での物流量の増大から船舶の大型化が進んでいますが、船体軽量化によるCO2低減のため、高強度鋼板の採用が広がっています。しかし一般的には、溶接施工性、高強度、高靱性の全てを満足するような鋼板を製造するためにはNi, Mo等のレアメタルの大量添加が不可欠とされていましたが、急激にコストが変動するリスクや入手が困難であることなどから、レアメタルに頼らない製造技術が強く求められていました。
本開発は、これらの課題を解決した最高強度クラスのYP47※2鋼板製造技術の確立を行なったものです。本鋼板の採用によって、軽量化に伴うCO2削減効果のみならず、レアメタルを添加していなことから (1)コストの低減 (2)大入熱溶接による溶接施工の効率化  (3)供給安定性やリサイクル性の向上といった多くのメリットが享受できます。それを可能にしたのが、以下の製造技術です。

  1) 多段冷却による温度制御と圧下率制御を可能とする圧延技術(プロメ技術)
  2) 均一強冷却ができるTMCP技術
  3) Ti窒化物の微細分散による溶接継手部の組織微細化技術

本鋼板は、(株)アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド殿と共同で実用化し、超大型コンテナ船へ採用されています。また、今治造船(株)殿と共同で自動車運搬船へ適用検討を進め、採用に至っており、今後さらに適用船や適用部位の拡大が検討されています。

『船舶用高強度鋼板の開発』で市村産業賞を受賞
左から、鉄鋼事業部門技術開発センター厚板開発部主任研究員 谷徳孝、同 金子雅人、鉄鋼事業部門厚板商品技術部課長 古川直宏

※1 市村産業賞
リコー三愛グループ各社を統轄した創業者、故市村清氏の昭和38年4月29日紺綬褒章受賞を記念して、市村賞を創設し、科学技術の普及啓発に資するとともに科学技術水準の向上に寄与することを目的としています。
本表彰は科学技術の進歩、産業の発展、文化の向上、その他国民の福祉・安全に関し、科学技術上貢献し、優秀な国産技術の開発に功績のあった技術開発者に対して行います。
(引用)財団法人新技術開発財団の第42回市村産業賞 募集要綱

※2 YP47(降伏点460N/mm2級鋼板)
従来の船級ルールで船体構造用に使用可能な最高強度であるYP40に比べて、さらに2ランク高強度の世界最高強度クラスの船体構造用鋼板(表1)。YP47を使用することにより、大幅な鋼材重量の削減が見込まれる。

表1 船級の規格体系