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プレスリリース

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2011年 年頭の辞(要旨)

2011年1月5日

株式会社神戸製鋼所
代表取締役社長 佐藤廣士

1. 経営環境の認識

世界経済は新興国が成長を続ける一方で、日本を含む先進諸国は緩やかな回復に留まり、今年についても停滞感や不透明感の漂う状況が続くと予想している。当社グループの経営環境も、素材系事業では東アジアの国々での設備増強に伴う競争激化や資源価格高止まり等の影響が不可避であり、機械系事業では国内における民間設備投資の停滞や円高による輸出採算の悪化が収益を圧迫している。一方、コベルコ建機は中国の旺盛な需要を捉え、しっかりと成長路線を歩んでいる。このように経営環境は光と陰が入り交じっているが、マクロでは世界経済は拡大を続けており、ビジネスチャンスは広がっている。

2. 「KOBELCO VISION “G”」達成に向けた進捗

当社グループは、2010年4月に策定した中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION “G”」で掲げた方針に則り、着実に進化を遂げている。
例えば「成長市場への進出」に関しては、中国での油圧ショベルと汎用圧縮機の増産投資や、クレーン事業の中国・インドへの進出、アルミ鍛造事業の中国展開、米国における自動車用冷延ハイテン設備の新設などを意思決定した。ITmk3®は商業一号機の稼動を受け、ベトナム・インド等、各国から引き合いが相次いでいる。
「ものづくり力の強化」についても、各部門における日々の活動に加え、本社に設置した「ものづくり推進部」が窓口となり、グループ内の先進的な取り組み事例を他の部門に紹介する等、総合力の発揮に向けた横断的な活動を展開している。このような「グループ内バリアフリー」を通じて、当社グループの多様性に富んだ技術と知識の融合が進んでおり、ものづくり力の底上げが図られていることは頼もしく感じている。

3. 中期経営計画の編成

2010-2012年度の3ヵ年を「KOBELCO VISION “G”」達成に向けての第一期間と位置付け、11年度と12年度の業績を含めた「2010-2012年度中期経営計画」を策定する。中長期的に「KOBELCO VISION “G”」が指針であることに変わりはないが、売上高3兆円、経常利益2,000億円以上という目標に到達するための、具体的な計画を練り上げていく。今後とも「高付加価値で利益の高いオンリーワン」を「適正なコストで安定的に生産」し、「グローバル化を進めて販売量を拡大」するために、「組織と人材の強化」を図り、「社会と共に持続的な成長」を目指していくため、三つの重要課題を以下に述べる。

(1)収益の最大化

既存事業の収益力強化とキャッシュフローの最大化に向けて、生産性の向上やコストダウン、販売価格の改善や拡販、投融資等、あらゆる知恵を出し、早期に実行していく。

(2)成長投資の実行

多くの部門が立案している成長戦略を遂行するためには、新たな投資が必要であり、タイミングを逸することなく、意思決定していきたい。一方で、投資は財務体質の改善とのバランスを見極めながら実行していかねばならず、繰り返しになるが、収益・キャッシュフローを足下から最大化し、自ら資金を捻出する努力も肝要となる。

(3)係数「S」の重要性

「利益の方程式」(P=(@-c)×d×S)※1における係数「S」は、Safety(安全・防災体制の確立)やSocial Responsibility(コンプライアンスの徹底や環境への配慮を含む、社会との共生)等を表しており、事業活動の基盤を成すものと認識している。社員一人一人が自らの問題として捉え、安全と環境に配慮し、遵法精神に富む会社へと進化させなければならない。また、Serviceという観点では、市場ニーズに対応した製品の開発やお客さまの満足度向上も、相手の立場に立って物事を考えるというサービス精神から生み出されるものである。的確なサービスの拡充は、激しさを増すグローバル競争の中で勝ち抜いていくための大きな要素であり、収益源にもなり得ると認識してほしい。

4. 結びに

昨年、私は国内外の多くの事業所を訪れ、「KOBELCO VISION “G”」の浸透と共有に努めてきた。今年も皆さんとの対話を通じ相互理解を深めていきたいと思っている。2011年が会社と皆さんの成長に向けた着実なステップの期間となるよう、手を携えて進んでいこう。

補足

※1 「利益の方程式」(P=(@-c)×d×S)とは

  • P=利益
  • @=販売単価
  • c=製造コスト
  • d=数量
  • S=Safety、Social Responsibility、Serviceなど様々な付加価値

を表わす。