神戸製鋼HOME > プレスリリース > 2012年 > 2012年 年頭の辞(要旨)

プレスリリース

*プレスリリースの内容は発表時のものです。販売が既に終了している商品や、組織の変更等、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

2012年 年頭の辞(要旨)

2012年1月5日

株式会社神戸製鋼所
代表取締役社長 佐藤廣士

1. 経営環境の認識

当社グループを取り巻く環境には様々な変化が生じている。内需の長期停滞、欧州の財政危機・金融不安、リーマンショック以降の世界景気をリードしてきた中国・インドなどの新興国経済の変調、更には歴史的な円高など、経営のリスク要因が増している。このような中、まずは今年度の残り3ヵ月、最大限の利益を確保するよう、グループ全員がスクラムを組んで邁進することを要請したい。
一方、中長期的な視点では、新興国を中心に世界経済の成長は続き、ビジネスチャンスは拡大するはず。我々は「KOBELCO VISION “G”」に沿って、時代や状況の変化を読み取りながら、たゆまぬ変革と挑戦を繰り返し、地に足をつけながらも縮小均衡に陥ることなく、将来の夢を見据えて今年も歩んでいこう。

2. 「KOBELCO VISION “G”」達成に向けた進捗

オンリーワン製品を旗印とした「成長市場への進出深化」については、鉄鋼事業における米国での自動車用冷延ハイテン設備新設や中国での冷延ハイテン合弁事業の検討開始、チタン関連では航空機用大型鍛造部品の合弁会社「日本エアロフォージ(株)」の立ち上げ、溶接事業での世界各地の能力増強、アルミ事業における中国での鍛造工場建設やアルミ板合弁事業の検討開始、圧縮機や建設機械の中国やインドでの生産・販売拠点拡充などの諸施策を、着実に推し進めてきたと評価している。
メーカーとしての競争力の源泉である「ものづくり力の強化」については、グループ約30社が参加した「第1回 KOBELCO QCサークル大会」の開催を通じ、各職場で創意工夫に溢れた改善活動が進んでいることが確認できた。また、グループ横断的な活動も深まり、当社グループの幅広い技術と知識の融合が進展するなど、確かな手応えを感じている。
また、昨年はコーポレートガバナンス(企業統治)や組織の危機管理の在り方が世の中で大きく問われた年でもあった。コンプライアンスをはじめとした内部統制システムの確立や実践は、経営の最重要課題の一つ。安全・防災・環境管理も含め、リスク管理活動を自らの問題として捉え、自発的かつ継続的に取り組んでもらいたい。

3. 重要課題

最大かつ緊急の課題は、「既存事業の収益力強化とキャッシュフローの最大化」であり、その実現に向けて、生産性向上やコストダウン、販売価格の改善や拡販、投融資等、あまねく知恵を出し、早期に実行していく。例えば、鉄鋼事業では、加古川・神戸の両製鉄所の上工程を中心とした設備投資の実施や、高止まりする原料価格に対応して資源権益の確保や低品位原料の使用拡大を進めることにより、大幅なコストダウンとオンリーワン製品の拡販を図る。また、超円高への対応も不可欠で、オンリーワン製品の拡充による差別化や海外調達・生産の拡大によるコストダウンなど、あらゆる手段を講じて、収益の確保を目指す。
二つ目の課題は、「KOBELCO VISION “G”」で掲げた「新しい価値の創造とグローバルな成長」を実現し、激しさを増す企業間競争を勝ち抜くための具体的な実行計画を描くことだ。「KOBELCO VISION “G”」が道標であることに変わりはない。すなわち、「高付加価値で利益の高いオンリーワン製品」を「適正なコストで安定的に生産」し、「グローバル化を進めて販売量を拡大」するために、「組織と人材の強化」を図り、「社会と共に持続的な成長」を追求するということ。研究開発・生産・営業の夫々の部門が責務を果し、本社スタッフがその活動を横から支援すれば、必ず成果はあがる。
一方で、外部環境と前提条件の変化を踏まえ、「KOBELCO VISION “G”」を再点検し、必要があれば一部で軌道修正を図り、実行計画の中に補強策を組み入れる。

4. 結びに

私は昨年も国内外の多くのグループ拠点を訪れ、「バリアフリー」の精神の下、中長期ビジョンの浸透と共有に努めてきた。今年も皆さんとの絆を大切にして、相互理解を深めていきたいと思っている。
神戸製鋼グループのアイデンティティは、製品・技術・サービスの提供を通して、社会のニーズに応えること。「KOBELCO」のブランドが高い信頼の証として広く認知されるよう、そして各人の人生が充実するよう、日々新たな気持ちで業務に取り組んで欲しい。客観情勢は楽観を許さず、今年も心して掛かる必要があるが、共に手を携えて明るい未来を切り拓いていこう。