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プレスリリース
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電気・電子部品用銅合金のライセンス供与について
2012年11月5日
株式会社神戸製鋼所
当社は国内の大手伸銅メーカーであるJX日鉱日石金属(株)(以下JX金属)に、電気・電子部品用銅合金「SuperKFC®:スーパーKFC」の製造販売に関するライセンスを供与することを決定し、このほど同社とライセンス供与契約を締結しました。
「SuperKFC®」のライセンス供与は2009年4月のウィーランド社(独)向けに続き2社目となります。
今回のライセンス供与契約は、欧米およびアジアで複数のサプライヤーがあることがユーザーの合金採用の重要な条件の一つになってきており、「調達のマルチソース化」のユーザーニーズに対応するものです。
「SuperKFC®」は、高導電率であり且つ高強度であることから、主にIC向け半導体リードフレーム用の新合金として、次世代の世界標準の地位を確立すべく、当社が2006年に開発したオンリーワン製品です。
現在では、高導電率であり且つ高強度であるという特徴から、半導体リードフレーム用途だけでなく、端子コネクタ用、ばね材料など電気・電子部品用途での幅広い適用が見込まれている銅合金です。
IC向け半導体リードフレーム用途でもっとも多く使われている銅合金はCDA194ですが、鉄を相当量添加することによって強度を確保しているため、合金表面に粗大に析出した鉄が露出し表面品質に悪影響を与えるため、リードフレームを製造する際のエッチングやめっき工程での特別な前処理や洗浄が必要になっています。
「SuperKFC®」は、当社が1970年代に開発した高導電率銅合金「KFC®」をベースに開発した合金です。この「KFC®」は、現在ディスクリート向け分野で業界トップクラスの地位を確立しており、アジア地域では約25%(当社推定)のトップシェアを獲得しています。
「SuperKFC®」は、独自の合金設計により、添加元素の鉄およびリンを微量の「KFC®」のオーダーに抑えながら高強度化を達成しているため、リードフレーム製造時のエッチングやめっき工程における前処理や洗浄などが大変容易になること、また、リードフレームの不良率低減に寄与できます。この結果、大幅なコストダウンに加え、製品の信頼性向上を実現しています。
また、低ピンICやディスクリート向けといった比較的組立加工のし易い分野においては、ボンディング工程を適切な雰囲気下にすることで、リードフレームにめっきを施さなくても直接に金や銅のワイヤーがボンディングできます。安定したボンディング性を確保するために施される銀などのめっきそのものが省略できるため、更なるコストダウンが可能となります。
JX金属は、国内でも有力な伸銅メーカーの一社であり、同社は今回のライセンス供与契約により、十分な強度を備えた高導電材であるという特徴を活かして、端子コネクタ用途、ばね材料など、電気・電子部品用途での幅広い分野への適用を進めて参ります。
【JX日鉱日石金属株式会社の概要】
- 1.社名:
- JX日鉱日石金属株式会社
- 2.本社所在地:
- 東京都千代田区大手町2-6-3
- 3.設立:
- 1905年
- 4.代表者:
- 足立 吉正
- 5.資本金:
- 400億円(JXホールディングス(株)100%出資)
- 6.事業内容:
- 非鉄金属資源の開発・採掘
非鉄金属製品(銅・金・銀など)及び電材加工品の製造・販売
非鉄金属リサイクル及び産業廃棄物処理
<ご参考>
【主な電気・電子部品用途例】
・リードフレーム
・半導体パッケージング
・端子コネクタ ばね材料 など
【半導体製造工程の省略/簡素化】
図 プラスチックパッケージの代表的な組立工程
【神戸製鋼グループ 伸銅板条事業の概要】
長府製造所(山口県下関市)で伸銅板条を製造。半導体リードフレーム用及び自動車向けを中心とした端子・コネクタ用に特化しており、両分野共に国内トップレベルのシェアを確保している(当社推定)。伸銅板条の生産能力は5,500トン/月(2011年度)で、生産量の70%以上を自社開発合金が占める。また、半導体関連の製造拠点は、神鋼リードミック㈱(福岡県北九州市門司区)、Singapore Kobe Pte., Ltd(シンガポール)、蘇州神鋼電子材料有限公司(中国 江蘇省蘇州工業園区)、Kobe Electronics Material (Thailand) Co., Ltd(タイ アユタヤ県)など、グローバルに展開している。