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プレスリリース

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“世界初”プレート式熱交換器用チタン板新製品の開発・販売

~海洋温度差発電の実証事業に高伝熱チタン板を供給~

2013年6月12日

株式会社神戸製鋼所

当社は、純チタン薄板分野の主要用途であるプレート式熱交換器(PHE)向けの高伝熱チタン板(HEET™)を開発し、このほど、沖縄県久米島で行われている発電利用実証事業で使用される海洋温度差発電設備の熱交換器用として供給しました。

この高伝熱チタン板は、PHEの熱伝達性能を20%以上向上させると共に、環境・省資源に配慮した製品で、海洋温度差発電設備への採用は純チタン薄板においては世界初となります。これにより、再生可能エネルギーとして注目される海洋温度差発電の実用化へ向けた発電コストの低減の取組みが大きく前進するものと期待されています。

海洋温度差発電は、海洋深層水と表層水の温度差を利用してアンモニアなど低沸点の媒体を気化させ、その蒸気でタービンを回転させる仕組みで、海洋の熱エネルギーを有効活用する再生可能エネルギーとして注目されています。小規模ながら世界で初めて海洋温度差発電による電力を電力会社に供給する本実証事業では、本年の3月30日に発電に成功、4月より実証試験が開始され、熱サイクルの安定性・制御性の検証や熱交換器の性能試験が行われています。今後は、将来の海洋温度差発電の実用化に向けた、発電コストの低減や沖縄県海域での洋上型システム設置に関する検討が実施されます。

実証事業の概要

事業名:
平成24年度海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業
事業主:
沖縄県
事業受託:
IHIプラント建設株式会社(設備全体)
株式会社ゼネシス(発電ユニット、熱交換ユニット)
横河電機株式会社(発電ユニット監視制御システム、電気関係)
実施場所:
沖縄県海洋深層水研究所(沖縄県久米島町)
発電出力:
50kW

当社は、溶解から最終製品(展伸材)迄を手掛けるチタン総合一貫メーカーで、航空機やロケット部品向けの合金チタンから、エネルギー・化学・建材や民生用途向けの純チタンまで幅広い分野を手掛けております。

高伝熱チタン板(HEET™)

チタン薄板の表面に微細な突起を付与することで熱伝達を向上させることができる製品です。この高伝熱チタン板を、海洋温度差発電の熱交換器に使用することにより、熱交換器の設計を変更することなく沸騰熱伝達が20%以上向上することが確認されています。熱伝達効率が向上することで、より小さな温度差でも発電が可能となることから、発電が可能な地域が増えると考えられます。また、汲み上げる海水の量を減らしてプラント内で自己消費する電力を減らして実質発電出力を向上させると共に、熱交換器をコンパクトにすることで設備のコストを圧縮するなど発電コストの低減が可能となります。今後の実証事業のなかで、高伝熱チタン板による発電事業での経済的な効果が、海洋温度差発電システムの実用化検討に併せて具体的に評価されてゆく予定です。

当社は、海洋温度差発電の熱交換器を対象としたチタン板の研究を2000年に開始し、佐賀大学海洋エネルギー研究センターとも連携して、チタン材料の高度化を図ってきました。今後も、再生可能エネルギーの有効利用を通して持続可能な社会の実現に取り組むと共に、エネルギー・プラント・造船向けなど、あらゆる産業分野で利用される熱交換器の国内外の需要家向けに高伝熱チタン板を積極的に拡販して参ります。

沖縄県久米島の実証実験設備

高伝熱チタン板HEET™の構造