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プレスリリース

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世界初の高強度材の認証取得について

~高疲労強度クランク軸と舵用鋳鍛鋼部材~

2014年7月15日

株式会社神戸製鋼所

当社はこの度、昨年開発を完了した船舶ディーゼルエンジン用組立型クランクシャフトの「型入れ鍛造法」に関して、日本海事協会殿より「設計疲労強度向上」の認証を世界で初めて取得しました。
これにより、「当社の型入れ鍛造法を採用することによりクランクスローの疲労強度が向上する」ことが公的機関から承認されたことになります(※)。

現在、船舶に関しては関係規制強化の問題や、船舶燃料価格高騰に端を発する燃費改善要求の高まりから、所謂「エコシップ」のニーズが高まっております。このエコシップの開発には、抵抗を減らす「船型開発」や排出ガス量および燃費を改善する「エンジン開発」などが重要になってきます。
特に「エンジン開発」については、スクリュープロペラの大径化とエンジンの低速回転化の流れにあり、低速回転域で高出力が得られるエンジンが求められています。これを満足させる為、エンジンは益々ロングストローク化の傾向にあることから、クランク軸のスローは従来に比べ長く・重いものとなり、負荷応力や軸受荷重が増大する傾向にあります。

これを受けて今回当社が開発し日本海事協会殿より設計疲労強度係数の認証を受けた「型入れ鍛造法」は、製鋼からの一貫鍛鋼メーカーであるという当社の特長を生かした鋼の清浄化との組み合わせによって、クランクスロー素材の疲労強度を従来の折り曲げ製法のものと比べて、実質20%程度向上することを実験にて確認できております。
これによって、ロングストローク化したクランクスローの信頼性向上に加え、クランクスローを軽量化することが可能となります。

加えて今回当社は舵用鋳鍛鋼部材における高強度化を進め、従来品より60%の設計強度向上を実現しました。これにより舵用部材を小型薄肉化することが出来る為、船速や燃費向上が可能となります。尚、この高強度化部材は既に各国の船級の承認を取得しております。

当社は、この「型入れ鍛造法」「舵用鋳鍛鋼部材の高強度化」だけでなく、素材面で舵用部品の高級化に資する技術シーズ・研究開発体制を備えており、如何なる顧客ニーズにも真摯に対応していくことで、海運・造船業界の発展に貢献してまいります。

(※)具体的には、国際船級協会連合(IACS)のクランク軸設計規則に従い、型入れ鍛造法によるクランクについては、設計疲労強度計算式における製造係数(K-factor)について、5%のマージンに相当する「K=1.05」の認証を与えられております。