Online edition:ISSN 2188-9013
Print edition:ISSN 0373-8868
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DXでめざすKOBELCOらしさ
当社グループは,前中期計画が始まった2021年度より,経営審議会の補佐機関であるIT戦略委員会をDX戦略委員会へ改編し,全社横断でDXを推進してきました。また,DX戦略の取り組み方針としては,STEP1~ 3 に分類し,「STEP1:積極的かつ勇猛果敢な“デジタル化”」「STEP2:“デジタル化”を基軸にしたKOBELCOの変革」「STEP3:DXによる“KOBELCOらしさ”の追求」として,DXに関わる環境整備からお客様や社会への新たな価値提供の試みまで様々な取り組みを進めています。本特集号では,当社グループの多様な事業領域や業務部門にまたがるDXの事例を解説するとともに,事例を通じて当社グループがDXを通じて実現したい「KOBELCOらしさ」について発信しています。
「DXでめざすKOBELCOらしさ」特集の発刊にあたって
P.01
宮岡伸司
【冒頭】
1 .これまでの当社グループのDXへの取り組み
当社グループは前中期経営計画が始まった2021年度に,経営審議会の補佐機関であるIT戦略委員会をDX戦略委員会へ改編し,従来から取り組んできた経営基盤領域の4 テーマ(既存システム再構築,人材育成,インフラ・セキュリティ,ITアーキテクチャ)を継続するとともに,新たに「ものづくりDX」,「お客様対応DX」,「働き方DX」の三つを価値創造領域におけるDX推進の重点3テーマとして定め,全社横断でDXを推進してきた。(続きは右下のダウンロード)
KOBELCOが考えるDX
P.03
難波信充
KOBELCO グループの特長・強みは,多様な事業を営むことで蓄積してきた多種多様な特長ある技術資産やビジネス資産を保有していること,また多様な需要分野におけるお客様との関わりや接点を有するとともに各業界の動向やお客様ニーズを把握していることである。KOBELCOが考えるDX(デジタルトランスフォーメーション)は,この特長のある資産にデジタル技術やデータを掛け合わせて,社会課題の解決や新たな価値を創造することであり,この考え方と取組方針について紹介する。
産業DXの動向と神戸製鋼所への期待
P.06
鷲尾 隆
産業・行政・社会のデジタル化(DX)が加速しており,㈱神戸製鋼所においても「KOBELCO DX戦略」の策定を踏まえてDX技術の利用が活発化している。本稿では,最初にDXを巡る神戸製鋼所の状況やスタンスを確認し,つぎに地球環境問題や先進国製造業の状況から,神戸製鋼所が経済社会システムに自らを組み込んで発展していくために主力事業をビジネスソリューション提供に転化していく必要があることを指摘する。さらに,急激な発展を遂げつつあるDX技術の動向を俯瞰(ふかん)し,とくにビジネスソリューションにおける従来型AIや生成AIを含むDX技術利用の重要性を述べる。最後に,神戸製鋼所発展の礎となるDX技術を生かしたビジネスソリューションの構築可能性や課題,期待について述べる。
業務効率化に寄与するデジタルツールを用いたEUCの推進
P.09
大山隆弘
長期的な労働者人口減少などに伴う業務効率化の要請に対し,当社では「働き方DX」の一環として,ユーザである全社員がデジタルツールを使いこなしてみずから業務変革を進めるEUC(End User Computing)の推進を試みた。本稿では,当社取り組みにおけるEUCの対象業務,取り組み方針やKPIを示すとともに,取り組みにおいて直面した課題やそれに対する対策,効果の測定方法と対策の結果を説明し,また,EUCの推進が業務効率化だけではなく自律的な変革風土へのきっかけとなりうる可能性を示す。
全社データ分析基盤DataLab®の構築と活用
P.13
南 和男・藤平雅信・逢坂武次
ものづくりにおけるデータ活用はますます重要性を増している。当社では,IoTやビッグデータの利用を早期に開始し,製品開発,サービス向上に貢献してきたが,データの全社的活用を効率的に進める統一プラットフォームが不足していた。本課題に対応するため,データ分析基盤DataLab®を構築した。この基盤は,大量データの効率的な収集・分析を可能にし,先進の分析ツールを活用して新しい洞察を提供する。DataLab®の目的は,データの一元管理,柔軟なインフラストラクチャ,高度な分析能力,厳格なセキュリティ,ユーザーフレンドリーな操作性を実現,提供することである。本稿では,材料開発と設備診断の事例を通じて,DataLab®の取り組みを紹介する。
加古川製鉄所第2分塊工場における設備状態監視・異常予兆検知システムの構築
P.17
萩原 尚・井上佳賢・森居数広・宇野久史・安東 努
加古川製鉄所第2分塊工場の安定稼働を目的として,データ収集装置を導入し,設備異常の予兆を検知するシステムを開発した。多様な操業条件およびパターンが存在する第2分塊工場において,異常の予兆を精度よく捉えるために,評価に適した区間のデータを抽出して学習,解析することでモデルの汎用性を高める手法を採用し,プログラミング不要でデータ事前処理からモデル製作まで行えるシステム(Mode Oriented Novel Anomaly Detector(MONAD))を開発した。モデル製作からMONADを活用した保全業務に至るまでのフローを標準化することで,機械学習の専門知識のない操業や保全の技術者,作業員でも運用可能な体制を整え,製造現場での運用を行いながらモデルの精度向上に取り組んでいる。
IoTプラットフォームを用いた機械加工工場の統合管理
P.22
浅井新輔・北 一貴・池田英生
多品種混流生産の加工工場において,一人の作業者が複数の工作機械を掛け持ちする体制を整えてきたが,従来の人に依存した管理方法では工場全体を効率よく稼働させることが困難な状況にある。このような課題に対してIoT技術を活用して,工作機械の状態を把握するIoTプラットフォームを構築し,工作機械から得られるプロセスデータを用いて,課題解決を試みた。解決事例として,工作機械から得られるプロセスデータをリアルタイムで分析し,異常を検知して機械停止指令まで自動化したシステム構築と工作機械への実装,作業者位置情報と機械稼働情報を組み合わせた分析と活用事例について詳細に紹介する。
熱画像解析による連続測温法を適用した高炉溶銑温度予測技術の開発
P.28
加茂和史・森居数広・桑名孝汰・楢崎博司・笠井昭人・原 大悟
高炉操業においては,目標温度範囲の溶銑(ようせん)を計画どおりに安定生産することが常に求められている。近年の主流である大型高炉では,炉の熱容量増大によって溶銑温度変化の時定数も大きくなる。炉熱の変化を見誤り熱調整アクションが遅延すれば重篤な炉況不調を招くこともあり,操炉には適切なタイミングで適正なアクションを行う高度な判断能力が要求される。
当社では,究極の安定操業(冷え込み・吹き抜けゼロ)実現を目的に,炉況(炉熱と炉内通気性)を予測し制御するAI 操炉®を開発中である。その基盤技術が溶銑温度の予測技術である。本稿では,従前の間欠的な熱電対,および熱画像解析により連続測温する新計測端の両結果を効果的に適用することで,溶銑温度予測の高精度化を達成した内容を報告する。
鋼板製造工場の冷却工程への深層ニューラルネットワークを用いた巻取温度制御技術の適用
P.33
佃 岳洋・原田 駿・樋口真之・長谷川裕之・逢坂武次・森居数広
熱間圧延の冷却工程における巻取温度は鋼板の機械的特性を決定する重要な要素であるため,非常に高い制御精度が要求されている。これを実現するためには,鋼板に注水する冷却水量を決定するための鋼板の温度予測モデルを高精度化することが不可欠であり,今回,AI手法の一つである深層ニューラルネットワークを用いた温度予測モデルを開発・導入した。その結果,ハイテン系の鋼板を中心に巻取温度の制御精度が大幅に向上した。さらには,操業部門において新しい予測モデルの効率的かつ柔軟な運用が定着化しており,スタッフや製造現場のオペレータの業務において大きな変革が起きている。
熱間鍛造品の形状計測技術による作業安全性・効率の改善
P.37
岡本 陽・滝下峰史・佐藤明宏・池上智紀・緒方啓丞
当社鍛圧工場で生産される大型鍛造品(船舶用クランク軸や推進軸などの丸棒素材,プラスチック射出成型用金型などの矩形(くけい)品など)は,自由鍛造プレスにより所定の形状に鍛造される。鍛造工程における熱間鍛造品の寸法確認は,作業者が熱間物に近づきパス測定により行われるが,酷暑作業であることに加え重篤な火傷のリスクがあり,また,立入許容限界内で行う『特別管理作業』の一つである。そこで,パス測定頻度の高い丸棒の直径,矩形品の高さ,段付き丸棒の軸長さについて,画像処理により非接触で高精度に測定できる計測装置を開発し,実用化した。これにより熱間物に近づく作業が大幅に低減し,作業者の安全確保につながり,業務プロセス改善(測定作業の技能レス化)にも役立った。
廃棄物処理プラント向けクレーン自動運転技術
P.42
森田 啓・清水克哉・尾﨑圭太・福川宙季
廃棄物処理プラントでは焼却炉の安定操業のため,ごみクレーンを用いて搬入ごみの運搬攪拌(かくはん)作業を行っている。今回,ピット内にたまったごみの高さを計測する距離センサとごみ面の画像を取得するためのカメラの情報を基にごみピット内の状況を認識する技術(①ごみ高さ計測技術,②ごみ攪拌状態認識技術),クレーンの動作を決定する技術(③運転員操作を再現するクレーン動作計画技術),および決定された動作に従いクレーンを制御する制御技術(④3D計測情報と動作計画に基づいたクレーン制御技術)の四つの要素技術を開発した。これにより運転員の高度な認知・判断・操作スキルを代替する自動運転技術を開発したのでシステムの全体概要について紹介する。
アジャイルの原則を適用した生産管理の業務変革
P.46
福田啓一・井本考亮
神戸発電所における燃料需給計画シミュレータの開発
P.51
梅田豊裕・藤井優貴・瀧澤勇介・瀧 秀行・濱野貴央・平出洋太郎
火力発電用燃料の荷揚げからボイラまでの物流計画を対象に,物流モデルと人間判断を双方向で利用して動作する新コンセプトのシミュレーションシステムを実用化した。本システムは配船,サイロ在庫,発電量,燃料成分,プロセスデータなど多様な実績・計画情報をもとに,船からサイロへの貯蔵,サイロからボイラへの搬送,およびサイロ間での循環の物流を時系列で計算するシミュレータをコアとし,シミュレーション中の物流切り替えに人の判断を反映できる機能を持つ。また,実行後に任意の時刻に遡り,切り替えの判断を変更または追加して再シミュレーションできる。これらにより,データとモデルに基づく標準条件での物流計画をベースとしながら,モデル化困難なイレギュラーな操業をシームレスに織り込むことを可能とした。
材料開発および利用におけるMI技術
P.57
和田 尭・井元雅弘・中山啓太・倉 千晴・小林拓史
効率的に新材料開発を進めていく手法としてMaterials Informatics/Materials Integration(MI)技術が注目されている。当社が扱う幅広い金属材料の材料開発および利用技術の開発においてもAIやシミュレーションに代表されるMI技術の活用を進めている。その中での代表的な事例として,溶接材料と薄鋼板を対象に実験データを基にAIで材料特性を予測し,化学成分や熱処理条件を探索して目標特性を達成する材料を見出した事例や,MIを活用して少ない実施例で材料特許を取得した事例を解説する。また厚鋼板,銅合金を対象に原子レベル,材料組織・特性,部品への加工性を評価するシミュレーションを構築して机上で開発を行った事例も解説する。最後にMIを有効に広く活用していくための展望について述べる。
アルミ押出形材断面設計へのベイズ最適化の適用と有効性検証
P.63
伊原涼平・鎮西将太・山川大貴
地球環境保護を背景にした車体軽量化に加え,衝突安全性能の両立が車体部品に求められている。その手段として,効率的な断面形状を設計可能なアルミ押出形材の適用は有効であるが,軽量化を目指す上では素材の性能を最大限活かす設計技術も求められ,その際には最適化技術が有用である。最適化では多くの繰返し評価が必要であることから,より効率的な手法が望ましい。本検討では,アルミ押出形材の断面設計を対象に,効率的な探索が可能であるベイズ最適化を適用し,その有効性を検証した。曲げ性能と軽量化を両立可能な多目的最適化問題として実施した結果,同等の断面設計レベルを確保しつつ,従来法比較で最適化実行回数を大幅に削減可能であることを示した。
プロセスシミュレータによる設計および開発プロセス変革への取り組み
P.68
四木悠貴・植田 達・森田 啓
当社は,流体を扱う圧縮機のプロセス解析のためにシミュレータを開発した。シミュレータの適用により過渡状態における制御システムの応答を設計初期段階から検証することが可能となる。また,当社のシミュレータは実機の制御プログラムと接続するHILS(Hardware-in-the-Loop Simulation)機能も有しており,機械に搭載される制御プログラムの妥当性も検証することが可能である。本稿では複雑な圧縮機プロセスの設計検証に適用できるシミュレーションツールの紹介,およびモデルベース開発を基にした開発工数短縮への展望を述べる。
デジタルツインを用いたDX化による建機開発プロセス改善
P.72
山手真治・平賀智徳
デジタルツインソリューションを導入して生産準備業務の効率化を行った。組立検証では部品取り付け軌跡を再現する機能を活用して,ワークと搭載物の干渉を高精度に判別でき,試作機組立時の不具合による手戻りを防止できるようになった。設備適合性検証では,複雑な関節をもつナットランナーの挙動を簡単かつ正確に再現する機能により,可動域を考慮した締結部への到達性確認,アームやヘッドとワークの干渉判定などが可能となった。さらに,試作前の事前検証で使用した部品割付データを量産モデルへ流用することにより,設計段階から部品払出情報や作業指示書の作成に着手できるようになり,生産準備のコンカレント化と開発リードタイム短縮につなげることができた。
ロボット溶接のさらなる自動化に貢献するDX技術
P.77
木村雄士・日高一輝・東良敬矢・澤川史明・新井敦士・小向航平
情報通信技術やDX技術が発展する中,これらの技術を用いて生産現場の自動化・省人化の加速が期待されている。当社では,溶接業務の自動化を目指し,溶接ロボットをはじめとする多くの機能開発に注力してきた。しかし,溶接ロボットシステムの導入に伴い,教示作業やメンテナンスなど人手を要する作業が新たに生じている。この課題に対し,DX技術を用いてこれらの人手作業を削減することで,溶接ロボットシステムの導入効果を今まで以上に高め,お客様の生産性向上に貢献する。当社では,ARCMAN™ Offline Teaching SystemとDX技術を連係させることで,人手作業である教示作業を削減する溶接プログラム自動生成機能やケーブルシミュレーション機能を開発した。さらに,ロボットシステムへレーザセンサ,パス間温度センサ,ARCMAN™ Viewと連携したカメラを接続することで,溶接に必要となる測定の自動化を実現した。
バーチャルトレーニングシステムによる溶接の技能伝承
P.82
青山雄一郎
サービス業務DXによる「持続可能なKOBELCOらしいアフターサービス体制」の実現
P.86
宗 陽一郎
当社ではカスタムメイドな非汎用産業機械や設備プラントを設計・製造し,販売している。一般に25~50年の間,お客様のものづくり現場で使い続けられる製品であり,販売後も設備点検や部品交換などのメンテナンスからオーバーホールまで幅広く,お客様のものづくり全般における様々な技術的相談や協力支援にアフターサービスという形で応え続けてきた。本稿では,お客様やビジネスパートナーを含めた「当社産業機械群のアフターサービス業務における関係者間コミュニケーションやコラボレーション」の変革を狙いとした,サービス業務DXを通じて「持続可能なKOBELCOらしいアフターサービス体制」の再構築に関する取り組みを紹介する。
利用者の声をもとに開発 クレーン施工計画支援ソフトウェアK-D2PLANNER®
P.90
岡本真典・岡田 哲・高松伸広・多々川都央
2023年4月,国土交通省からBIMの適用方針が示され,ゼネコンなどでは設計,施工,維持管理の全てのプロセスをつなぎ,効率化のための取り組みが加速している。コベルコ建機㈱は,設計,施工のプロセスをつなぐ施工計画プロセスに焦点を当て,その課題解決を目指すクレーン施工計画支援ソフトウェアK-D2PLANNER®を利用者の声をもとに開発した。施工プロセスにおけるクレーンと構造物の干渉や,必要なクレーン能力・接地圧の確認,施工手順の共有化により現場の手戻りを防止し,工期の遅延や追加コスト発生を抑制する効果が期待できる。また,モデル作成の効率化による施工計画コスト,最適クレーン選定による施工コスト削減など,生産性向上に寄与するとの評価をいただいた。
マテリアルDXに向けたマテリアルズ・インフォマティクスの紹介
P.96
古賀健治・狩野恒一・大政和之・加々尾慎哉
マテリアルDXは,研究者やエンジニアが材料の性質や挙動を理解し,最適な設計を行うための包括的なプラットフォームとして注目を浴びている。このプラットフォームは,様々な材料の特性を予測し,製造プロセスにおける影響をシミュレートすることで,高度な材料設計を支援している。
本稿では,金属3D積層造形の中でも非常に高い自由度を持ち,異なる材料を同一試料内で組み合わせ可能なDirect Energy Deposition(DED)方式を用いた実験技術と量子シミュレーション(第一原理計算)技術をもとに,Fe-Co-Ni系の軟磁性材料の材料探索を行った事例について紹介する。
触媒粒子形状を考慮した固定層触媒反応器のモデリング
P.102
高岸洋一・松岡寛和・馬場亮平・山下岳史
2030年ネットゼロ達成へ向けて,CO₂を再利用可能な燃料物質へと変換する固定層触媒反応器の高効率化が求められている。これまで,触媒層を均質体とみなした化学反応・流体・温度を考慮した数値シミュレーションが活用され,ガス温度や流量が反応効率に与える影響が考察されてきた。これに対し,近年ペレットサイズ,形状に対する感度解析や最適化を目的として,それに必要なペレット触媒の3次元充填構造を考慮した連成モデルを提案している。本稿では,メタノール合成およびメタン合成を対象としたシミュレーションモデルの構築および圧力損失・反応効率を両立する多目的最適化の事例を紹介する。
お客様情報共有基盤の構築と今後の情報活用の展望
P.107
菅野翔太・佐藤拓也・加藤 拓
当社では,多種多様な事業分野のお客様から得た情報を,事業を横断して共有し,利活用することで,当社の総合力を活かしたソリューションの提供を目指している。しかしながら,情報を共有する仕組みが構築されていないため,2023年1月にお客様対応変革プロジェクトを立ち上げ,お客様から得られた情報を全社で共有/蓄積するシステムの構築を検討してきた。当プロジェクトでは,事業部門を巻き込み議論を重ねて業務・システム要件を整理することに加え,システムの定着,利活用を促進する活動を検討し,2024年4月からシステムの利用を開始した。本稿では,基盤構築の目的と経緯,プロジェクト推進の課題とその対応を解説し, 最後にシステムを活用した将来の展望について述べる。
KOBELCO未来協働研究所が目指すもの
P.114
友近信行
KOBELCOが有する多種多様なものづくりの経験と,大阪大学の先端技術・科学力との掛け合わせによる新規事業創出を目的に設立したKOBELCO未来協働研究所について概説した。本研究所は,産学連携の大学組織でありながら,設立当初からソリューション事業の創出を目指している点が特徴であり,KOBELCOのマテリアリティやDX戦略,大阪大学の中長期的な経営ビジョンとも整合している。最初のプロジェクトとして,切削加工とプレス成形加工の2分野での事業開発とソリューション開発に着手しているが,その理由や共創プロセスについても触れた。また,KOBELCOの既存事業のビジネスモデル変革やDX推進への相乗効果を期待として述べた。
P.119
神戸製鋼技報掲載 DXでめざすKOBELCOらしさ関連文献一覧表
(Vol.63, No. 1 ~Vol.72, No. 2)
P.122
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