新型PVDコーティング装置「AIP-iX」シリーズの来春からの販売開始について

2022年10月17日

株式会社神戸製鋼所

当社は、アークイオンプレーティング装置(AIP)において、従来品と比較し生成する皮膜の長寿命化を達成した「AIP-iX」シリーズを開発し、来春より販売開始します。

AIPとは、PVDコーティング技術※1の一種で金属やセラミックス製の切削工具、金型、機械部品などに硬質皮膜を施す表面処理技術であり、製品の寿命向上、機能性の付与、生産効率向上などに寄与します。特に切削工具においては、工作機械の高性能化に伴って難削材の高速加工など、より厳しい加工条件への対応ニーズが時代と共に増加してきており、工具のPVDコーティング皮膜に対しても性能全般の向上に対する要求が高まっています。

切削工具向けの代表的な皮膜であるAlCrN(窒化アルミクロム)は、コーティング皮膜中のAlの含有量が多いほど耐酸化性に優れ、高速切削や高切込みなどの難加工条件に適していますが、Alの含有量が多くなりすぎると(概ね65at%以上※2)、皮膜構造が高硬度な立方晶から六方晶へと変化し硬度が低下するという課題がありました。

この課題に対し「AIP-iX」では、新開発した装置や成膜プロセスにより、皮膜の金属元素のうちAl含有率が70at%以上であっても立方晶を維持し、硬質なAlCrN皮膜のコーティングが可能となり、性能に特化したハイエンド工具と比較して約1.5倍の寿命向上を確認しました。

AIPを含む当社のPVDコーティング装置は世界で600台以上の納入実績があります。また、日本の高砂製作所をマザー工場とし、ドイツのKCS Europe GmbH(KCS)とグローバル展開を進めて参りました。今回の「AIP-iX」を工具メーカー様に導入頂くことで世界中の切削工具の寿命向上ならびに機械加工の高速化へ貢献できるものと考えています。

なお、11/8(火)~13(日)に東京ビッグサイトで開催されるJIMTOF2022(第31回 日本国際工作機械見本市)にて、本製品についてのセミナーおよびブース出展(西館1階)いたします。

KOBELCOグループは、今後も「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」を実現するために、個性と技術を活かし合い、社会課題の解決に挑みつづけます。

「AIP-iX」外観

「AIP-iX」外観

  • ※1:PVDとAIPについて
    PVD(Physical Vapor Deposition)は物理蒸着と呼ばれる薄膜形成技術の総称。
    AIP(Arc Ion Plating)はPVDの一種で、真空中のアーク放電によって材料を蒸発・イオン化させて、母材に薄膜をコーティングする技術。耐摩耗性、低摩擦化等の特性を母材に付与することが可能で、工具や金型、機械部品などに用いられる。

  • ※2:at%(原子パーセント)
    物質に含まれる原子の数の比率。75at%は100個の原子があればそのうち75個を占めることを意味する。

【お問い合わせ先】

神戸製鋼所 機械事業部門 新事業推進本部 営業部 高機能室

電話:
03-5739-6761
メールアドレス:
kobelco-pvd-m@kobelco.com
KOBELCO PVD WEBサイト:
https://kobelco-coating.com/jp/

※AIP-iXの情報は11月中旬更新予定

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(注記)プレスリリースの内容は発表時のものです。販売がすでに終了している商品や、組織の変更など、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。

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