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チタン滑雪建材

滑雪建材としての熱的特性

チタンは原子番号22番の金属で、アルミ、鉄、マグネシウム等とは全く異なる金属です。
それ故チタンの熱的特性は他の金属と異なり、優れた滑雪特性もこの熱的特性から得られています。

  1. 低熱容量※1
    チタンの熱容量はカラー鉄板(塗装鋼板)の69%、ステンレス鋼の62%と非常に小さい。 それ故、わずかな熱量で温度が上がりますので、雪との接触面では他の金属に比べて流体潤滑※2になり易く、 雪が滑り易くなります。
  2. 低熱伝導度※3
    チタンの熱伝導度はカラー鋼板の28%と小さく、熱が伝わり難い金属です。
    それ故、一度境界面でできた流体(雪が溶けたもの)はチタンに熱をとられ難く(再度凍りにくく)流体潤滑となって滑り易くなります。

1、2の理由より、熱伝導度に関してはステンレス鋼と同等ですが、 熱容量を加味するとチタン建材は他の金属建材と比較すべくもなく、雪の滑り易い特性を備えています。

※1 低熱容量 (cal/cm3・℃)=比熱(cal/g・℃) × 比重(g/cm3
比熱は単位重さの物を単位温度上昇させるための必要熱量ですが、チタンのように軽い金属を実際に使う場合は、 重さで評価しても意味が無く、熱容量で評価します。

※2 流体潤滑
物体が滑るとき、固体と固体が直接接触して滑るのが境界潤滑で、一番滑り難い条件です。 間に液体を介して滑るのが流体潤滑で一番滑り易い条件です(中間は混合潤滑)。 雪が積もっていて滑り出す条件としては、雪と土台との間で混合潤滑(僅かに境界で雪が溶けている)となるか、流体潤滑になると滑り出します。 特に傾斜に対して雪が重くなり過ぎて滑り出しますと雪と屋根との間の摩擦熱ですぐに混合潤滑→流体潤滑となりますが、 チタンの場合は他の金属よりも早くこの現象に移行できます。

※3 熱伝導度
物体内部での熱の移動(高温から低温へ移動)のし易さを示す物質固有の定数です。

各種金属建材の比較

比熱
(cal/g・℃)
比重
(g/cm3
熱容量
(cal/cm3
熱伝導度
(cal/cm3・sec・℃・cm)
耐候性
ステンレス鋼板
カラー塗装
フッ素樹脂塗装
0.12 8.03 0.96 0.039 塗装がはげた部分、溶接部からの腐食が生じる。塗装の寿命は短い。
カラー塗装
(ポリエステル樹脂塗装)
0.11 7.86 0.86 0.145 塗装がはげた部分、溶接部、板切断面からの腐食が生じる。塗装の寿命は短い。
建材用チタン
(AP肌)
0.13 4.51 0.59 0.041 素材そのものが耐食性に優れるため、半永久的に錆びない。

滑雪性のよい表面状態

物体を滑らせる場合、滑る面が粗い程滑り難く、表面が滑らかな程滑り易くなります。
これは境界潤滑でも混合潤滑でも流体潤滑でもいえることです。
チタンは海水環境を含め自然環境においては完全な耐食性があり、表面が錆びてザラついたり、腐食することもありません。それ故、初期の表面の粗さの変化は他の金属と比べても非常に少なく、半永久的に、雪の滑り易さを維持します。
表面が滑らかということは素材として「濡れ性」が良いということになりますが、チタンの熱的特性で流体潤滑に写る際、チタンだからこそ、わずかの水分でも広い面積に行きわたり(ぬれて)流体潤滑に移り易いということもいえます。
神戸製鋼は酸洗い肌から鏡面までの各種粗度の表面仕上げを準備しております。

表面が錆びたり、粗くならないということは表面に付着した氷の剥離性にも効果があります。
チタンは氷の剥離性が良いということにも特長があります。

滑雪パネルの施工例

(北海道・芦別 星の降る里大橋)

北海道・芦別 星の降る里大橋

塔頂部

塔頂部

中間梁部

中間梁部

斜材ケーブルの定着

斜材ケーブルの定着

滑雪パネルの施工例

(北海道・河西郡芽室町 士狩大橋)

北海道・河西郡芽室町 士狩大橋

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