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プレスリリース

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オーストリア・フェスト社との技術提携拡大について

~耐指紋性電気亜鉛めっき鋼板の技術を供与~

2009年12月14日

株式会社神戸製鋼所

当社はこのほど、2002年より自動車用鋼板の分野で技術提携関係にあるオーストリアの高炉メーカー「フェストアルピーネ・シュタール社(以下:フェスト社)」に、家電製品など電機分野で使われる電気亜鉛めっき鋼板(*1)の特殊化成処理技術を供与しました。

供与したのは、当社が得意とする特殊化成処理皮膜(*2)の一つである『耐指紋性電気亜鉛めっき鋼板』(「指紋が付きにくい」もしくは「付いたとしても目立たなくする」などの特長に加え、耐食性等も有する)の皮膜製造技術です。技術供与によりフェスト社は、ポーランド、チェコ、スロバキアなど中欧の薄型テレビ市場(中欧に進出している日韓の薄型テレビメーカーが中心)などを対象に、『耐指紋性電気亜鉛めっき鋼板』を供給していく予定です。

当社の『耐指紋性電気亜鉛めっき鋼板』は独自開発の特殊化成処理鋼板で、既に中国や東南アジアを中心とするアジア地域において、主に電気製品に使用されており、日本の高炉メーカーが輸出する電気亜鉛めっき鋼板の内25%強のシェアを有しています。また、耐食性を高めるため、長きに渡り電気亜鉛めっき鋼板に適用されていたクロメート処理(*3)を、2005年に日系の鉄鋼メーカーとしては初めて全廃するなど、環境負荷低減の面でもリーディング・カンパニーとして積極的に取り組んできました。なおクロメート処理に関しては、2008年2月には電気亜鉛めっき鋼板以外も含めた全ての鋼材製品で全廃を達成しています。

当社とフェスト社とは2002年に、主に自動車用鋼板の技術に関する包括提携契約を結び、自動車業界向けの高張力鋼板(ハイテン)に関する技術やノウハウの相互移転、共同研究などを行なうことで、日系自動車メーカー向けハイテン材のグローバル供給体制を確立してきました。また2008年には、フェストアルピーネ・グループにおけるロールフォーム(*4)部門の中核会社である「フェストアルピーネ・クレムス社」との間でも、超ハイテンのロールフォーム技術に関する包括提携を結び、関係を深めてきました。このたびの電機分野での協力関係拡大を契機に、お互いの市場(アジア、欧州)でのプレゼンスの向上に努めていきます。また、自動車分野のみならず電機分野においても日系メーカーのグローバル展開を側面から支援していきます。
注釈
*1)電気亜鉛めっき鋼板:亜鉛を電気化学的に鋼板上にめっきした製品で、平滑美麗な外観を有する。

*2)特殊化成処理鋼板:単一では無く耐指紋性、耐食性、潤滑性、放熱性など多機能の皮膜特性を有する鋼板。その中でも耐指紋性鋼板は家電製品組み立て時に指紋が付着し、外観を損ねる問題を解決するために商品化されたもので、耐食性や導電性等も兼ね備えた商品。

*3)クロメート処理鋼板:空気中・水中でも酸化されにくく、また常温では極めて安定した「クロムの化合物」によって皮膜処理を施した鋼板であり、耐食性に優れる。但し、2003年の欧州での環境負荷物質制限・使用禁止令により、鋼板においても六価クロム不使用・非含有を意味するクロメートフリー化が求められるようになった。

*4)ロールフォーム:長い金属帯板を、直列タンデム上に並んだ数組の成形ロールに通し、ロールの開転移より帯板を前進させながら順次に曲げ加工を行い、目的の断面形状に成形する加工法。
フェストアルピーネ・グループの概要
本社 オーストリア・リンツ市
設立 1938年
代表者 ウォルフガング・エーダー(会長兼CEO)
売上高 11,625.3百万ユーロ(2009年3月期)
粗鋼生産量 681万トン(2009年3月期)