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当期のわが国経済は、上半期までの政府の大型経済対策の効果に加え、史上最低の金利水準や円高是正の定着もあり、景気は総じて緩やかな回復過程をたどったものの、本格的な回復には至りませんでした。 このような状況のなかで、当社は、最大販売量の確保に注力するとともに、阪神・淡路大震災からの早期復興を果たし、繰越損失の解消を最重要課題とした「'95〜'97経営計画」を総力をあげて推進してまいりました。 その結果、製造コストの削減、要員の合理化、総資産の圧縮など総コスト削減目標については、1年前倒しで目標を達成し、震災による多額の繰越損失を当期末において一掃することができました。 当期の売上高は、鋼管および工具事業の分社化などがあったものの、ほぼ前期並みの1兆1,419億円となり、経常利益は、機械・電子情報部門の採算低下などもあって、前期を下回る266億円となりました。 また、株価の下落に伴う有価証券評価損等の特別損失を計上する一方、保有資産の売却による特別利益を計上したことから、当期の税引後利益は216億円となりました。この結果、162億円の前期繰越損失を解消し、当期未処分利益は53億円となりました。 今後のわが国経済の見通しにつきましては、民間設備投資が堅調に推移するものと期待されますが、消費税率の引き上げと特別減税廃止による個人消費の低迷、公共投資の減少などが予想されることから、景気の本格的な回復には楽観を許さない状況が続くものと思われます。 さらに、世界的な視野のなかでは、東南アジア諸国・中国などが世界市場において台頭し、わが国のみならず欧米諸国を含めた熾烈な大競争時代が到来しております。加えて、国内では、価格競争の激化、産業の空洞化、規制緩和による市場の活性化など産業構造は加速度的に変化しつつあります。 このような事業環境の変化に対応すべく、当社は新中期経営計画「KOBELCO-21」('97〜'99アクションプラン)を本年4月に策定いたしました。本計画を通じて、既存事業のそれぞれについて、製品の独自性・優位性を追求するとともに、更なる総コストの削減、海外生産拠点も含めた最適生産体制の追求、物流の合理化等により、国際的な事業競争力を強化し、安定的な収益体質を確立いたします。また、得意分野への経営資源の効率的・重点的投入により、将来の柱となる事業分野を積極的に開発・育成してまいります。 当社は、この新中期経営計画を全社一丸となって着実に実行することにより、21世紀に向けての揺るぎない経営基盤の確立を目指して、取り組んでまいる所存でございます。
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利益配当につきましては、株主の皆様への利益還元を第一に考えるとともに、内部留保・業績動向を勘案し決定してまいりました。 当期の配当につきましては、多額の繰越損失を解消し、未処分利益を計上しえたものの、未だ配当を行なうに足る財務状況にないことから、誠に遺憾ながら引き続き無配として定時株主総会におはかりする予定であります。 当社といたしましては、今後も全社一丸となって早期の復配を目指して努力してまいる所存であります。
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