KOBELCO
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    当期の業績の概況

 当期のわが国経済は、国内需要が消費税率引き上げ等による個人消費の落ち込みや公共投資の減少により低迷し、輸出が総じて好調に推移したものの、一段と停滞色が強まりました。特に年度後半は、金融システム不安やアジア経済の混乱の影響が顕在化し、経済活動の一層の低下とデフレ圧力の高まりなどにより不振を極めました。

 このような状況のなかで、当社は、既存事業の収益力強化と21世紀に向けての新製品の開発および事業化を目的として、昨年4月に策定いたしました新中期経営計画「KOBELCO-21」に全力をあげて取り組み、収益の確保に最大限の努力を払ってまいりました。

 しかしながら、当期の売上高は、鉄鋼・溶接部門が好調な輸出に支えられ増加したものの、機械・電子情報部門で公共工事の減少等により建設機械を中心に落ち込んだことなどから、前期をやや下回る11,152億円となりました。経常利益は、金融収支の改善をはじめとした総コスト削減効果および鉄鋼・溶接部門の販売数量の増加による増益はあったものの、機械・電子情報部門における売上の減少にともなう減益により、前期を下回る252億円となりました。また、税引後の当期利益は、株価の下落にともなう有価証券評価損等の特別損失を計上したことから、74億円となりました。

 今後のわが国経済の見通しにつきましては、金融システム不安を引き金とした戦後最大の危機的状況のなかで、政府の総合経済対策の実施による景気浮揚効果は期待されるものの、個人消費や民間設備投資の早期回復は望み難く、加えて東南アジア・韓国の経済混乱の深刻化も懸念され、極めて厳しい状況が続くものと思われます。

 また、経済のグローバル化が定着し、規制緩和の流れがますます加速するなかで、わが国の経済・金融システムも構造的変革を迫られ、冷厳な優勝劣敗の原則が各産業・企業を支配することは避けられない情勢にあります。

 このような状況のもと、当社は、新中期経営計画「KOBELCO-21」を着実に実行していくなかで、将来の柱となる新製品・新技術の開発・育成を一層推し進めていくことにより、他社にさきがけて優位性を持った高度な先進技術を創出する技術立社を目指してまいります。加えて、事業環境の急激な変化に対しては迅速かつ柔軟な計画の見直しを行ない、一層堅固な収益基盤の構築を図ってまいりたいと存じます。特に機械・電子情報部門においては、より一層の個別事業戦略の明確化および各事業ユニットの再構築ならびに新製品・新事業の早期立ち上げを目指してまいります。

 以上のとおり、当社といたしましては、全社一丸となって収益の確保を目指していくと同時に、将来に向けての揺るぎない経営基盤の確立を図ってまいる所存でございます。



    配 当 政 策

 利益配当については、株主の皆様への利益還元を第一に考えるとともに、内部留保、業績動向を勘案して決定してまいりました。

 当社は、阪神・淡路大震災により甚大な損害を被ったこともあり、 過去4期に亘って無配の継続を余儀なくされ、株主の皆様には多大なご迷惑をおかけしてまいりました。この間、全社をあげて企業体力の回復に懸命の努力を重ねてまいりました結果、 128億円の当期未処分利益を確保することができました。

 当期の配当につきましては、当社は未だ決して十分といえる財務状況になく、先行きの経済環境も一層厳しさを増すものと懸念されることから、1株につき2円として復配する案を定時株主総会におはかりする予定であります。

 当社といたしましては、今後とも収益の確保に全力を注ぎ、株主の皆様のご期待に沿うべく努力をしてまいる所存であります。

 

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