当期のわが国経済は、金融システム不安は解消しつつあるものの、民間設備投資の大幅な落ち込みや長引く個人消費の低迷など民間需要が不振を極めたことから、かつてない厳しい状況で推移いたしました。
このような中で、当社は、中期経営計画「KOBELCO-21」に全社をあげて取り組み、総コストのさらなる削減を徹底するなど諸施策を鋭意推し進めるとともに、収益の確保に最大限の努力を払ってまいりました。
しかしながら、ますます深刻化する経済環境のもと、鉄鋼・溶接部門における販売量の減少や価格の低下をはじめ、各部門とも需要低迷の影響を受けたことから、当期の売上高は前期に比べ15.9%減の9,384億円となり、経常損益は98億円の損失を余儀なくされました。
また、固定資産売却益等の特別利益を計上する一方、出向者転籍制度の実施に伴う特別退職金や事業整理損失等の特別損失を計上いたしましたが、当期より税効果会計を適用した結果、税引き後の当期純損益は、233億円の損失となりました。
今後のわが国経済の見通しにつきましては、民間設備投資および個人消費等の民間需要の自立的回復は望み難く、依然として先行きに予断を許さない状況が続くものと懸念されます。さらに、グローバルスタンダードに基づいた指標により資本市場・金融市場において企業の評価・選別がなされていく傾向のなかで、企業の再編・淘汰が数多くみうけられるようになるなど、企業間の競争は激化する一方にあります。
このような状況のもと、当社といたしましては、社内カンパニー制および執行役員制をはじめとする新たな経営機構のもと、「KOBELCO-21」および「経営基盤強化策」に掲げた諸施策を着実に実施することにより安定的な収益の確保を図り、全社一丸となって、21世紀に向けての揺るぎない経営基盤を構築してまいります。とりわけ収益が見込まれる事業に対し重点的に経営資源を投入する一方で、資本効率の向上に向けた不採算事業の見極め・撤退など、事業の選択と集中を迅速かつ積極的に推し進め、戦略的・構造的な企業改革を果断に実行してまいりたいと存じます。 |