「KOBELCO グループの製鉄工程におけるCO₂低減ソリューション 第2弾」

~高炉工程において世界最高水準のCO₂排出削減効果25%の実機実証に成功~

2023年10月17日

株式会社神戸製鋼所

当社は、加古川製鉄所の大型高炉(4,844 m3)でCO2排出量を25%削減※1できる技術の実機実証に成功致しました。これは、2021年2月に当社が公表した「KOBELCOグループの製鉄工程におけるCO2低減ソリューション」※2での実証結果を大幅に上回る結果であり、高炉実機でのCO2削減手法としてこれまで公表されている中では、世界最高水準のCO2削減効果を有する極めて先進的な技術です。多様な事業を営む企業としての特長を活かし、エンジニアリング事業のミドレックス技術※3と鉄鋼事業の高炉操業技術がより一層、融合・深化した結果となっています。

当社グループは、今回の実機実証実験の成功も含めて、生産プロセスにおける2030年のCO2排出削減目標※4の実現に向けた取り組みを着実に進展させていきます。

また、このCO2削減効果を活用し、国内で初めて商品化した低CO2高炉鋼材“Kobenable🄬 Steel”※5の更なる社会・お客様への普及を図り、増産供給体制の構築を進めていきます。

実証試験は、2023年4月から6月にかけて加古川製鉄所の大型高炉(4,844 m3)で約2か月にわたり行っております。

実証試験では、高炉にMIDREX🄬プロセス※6のHBI(還元鉄※7)を多量に装入し、高炉からのCO2排出量を決定づける還元材比(高炉で使用する炭素燃料使用量※8)を386kg/t-溶銑に安定的に低減(CO2排出量を従来比※9の25%削減)できることを確認しました。

世界最少水準の還元材比(386kg/t-溶銑)およびコークス比(230kg/t-溶銑)も同時に達成出来ており、現有する技術を用いたCO2低減策の中では、実機の大型高炉で安定的かつ早期に多量のCO2を削減できるソリューションの提供が可能となりました。

なお、今回の成果に至ったキーテクノロジーは、次の通りです。

すべてKOBELCO グループ独自開発ですが、汎用性のある高炉向けソリューション技術です。

今後も引き続き、CO2排出量の更なる削減、ならびにCO2削減コストの低廉化など、低CO2排出高炉操業技術のブラッシュアップにチャレンジしていきます。また、自社のCO2削減のみならず、今回のソリューションをベースに、全世界の高炉でHBI 装入によるCO2削減が加速されるよう貢献していきたいと考えております。

政府が宣言した2050年カーボンニュートラルに向けたグリーン社会へ貢献するために、より多くのCO2を出来るだけ安価な手法で、しかも一日も早く低減する技術を開発・確立することがKOBELCOグループの使命です。

これまでもこれからもKOBELCOグループは、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」を実現するために技術と技術のかけ算によるKOBELCOならではのCO2削減に向けた取組みに挑みつづけます。

  • ※1 高炉単体、SCOPE1+2のCO2排出量削減

  • ※2 「KOBELCOグループの製鉄工程におけるCO2低減ソリューション」、HBIを高炉へ多量装入することで高炉工程でのCO2排出量約20%削減の実機実証に成功(還元材比を415kg/t-溶銑へ安定的に低減)

  • ※3 ミドレックス技術
    神戸製鋼所の100%子会社(Midrex Technologies, Inc.)が有する直接還元製鉄法に関する技術。

  • ※4 生産プロセスにおけるCO2排出量削減 2030年目標30~40%(2013年度比)、
    ※SCOPE1+2、加古川製鉄所・神戸線条工場・高砂製作所3事業所の合計値

  • ※5 実証試験におけるCO2削減効果について英国の認証サービス機関である“DNV BUSINESS ASSURANCE SERVICES UK LIMITED”(以下、DNV社)から第三者認証を取得しております。このCO2削減効果を「マスバランス方式※10」により特定の鋼材に割り当てることで低CO2高炉鋼材“Kobenable🄬 Steel”を販売いたします。

  • ※6 MIDREX🄬プロセス
    MIDREX🄬プロセスは、天然ガスを使った還元鉄製鉄法であり、世界の約80%(還元鉄全体では約60%)を占めるリーディングプロセス。本方式は、天然ガスを還元材として、鉄源は粉鉱石を加工したペレットを使用してシャフト炉によって還元鉄を製造。高炉法に比べ、製鉄工程でのCO2排出量を20~40%抑制できることなどが特長。世界で90基以上の納入実績がある。

  • ※7 HBI
    Hot Briquetted Iron(熱間成形還元鉄)の略。還元鉄はそのままでは長距離輸送に適さないため、還元炉より排出された高温の還元鉄をある程度の大きさの塊(Briquette)に押し固めたもの。

  • ※8 還元材比
    還元材比=コークス比(高炉でのコークス使用量)+微粉炭比(高炉へ吹込む微粉炭量)
    コークス:石炭からつくられた炭素燃料、微粉炭:粉砕した石炭

  • ※9 従来比
    CO2削減に関する国やKOBELCOグループの目標の基準年である2013年度と比較している。

  • ※10 マスバランス方式
    製品の製造工程において、ある特性(例:低CO2品)を持った原料とそうでない原料とが混在する場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性を割り当てる手法。再生プラスチック、バイオプラスチック、再エネ電力や、カカオやパーム油といった認証食料品など、製造工程やサプライチェーンの特徴により、製品特性の分離が困難な製品に用いられている。当社では、ISO 22095:2022 Chain of custody規格の5.4.2 Mass balance modelを参照し、鉄鋼の製造工程において、鉄鉱石の一部を既に還元済みの鉄鋼原料である「HBI」に置き換える事で使用するコークスを減らし、CO2排出量を削減させ、その削減効果を環境価値として、低CO2高炉鋼材に対して割り当てている。

関連リンク

(注記)プレスリリースの内容は発表時のものです。販売がすでに終了している商品や、組織の変更など、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。

ページトップへ