2025年2月26日
株式会社神戸製鋼所
この度、当社100%米国子会社であるミドレックス社が提供するMIDREX Flex™直接還元鉄プロセス※1(以下、MIDREX Flex™)が、TOSYALI SULB Steel Industries社(TOSYALI HoldingsとLibya United Steel Company for Iron and Steel Industry (SULB)により設立。以下、TOSYALI SULB社)がリビア・ベンガジ市近郊で建設する直接還元鉄プラントに採用される事が決定し、契約調印に至りました。
TOSYALI SULB社は同地域におけるMIDREX Flex™を前提とした還元鉄製造拠点建設の計画を公表しており、今回その最初のフェーズが開始されることになりました。今回受注したMIDREX Flex™は、還元剤を天然ガスから水素へと柔軟に転換できるプロセスのため、段階的なCO2排出量の削減が可能です。今回建設されるプラントは、ミドレックス社とPaul Wurth, a company of SMS group(以下、Paul Wurth)社により建設され、その生産能力は250万トン/年を計画しています。製造された還元鉄は同社により近隣の地域へ供給される予定です。
ミドレックス社は、TOSYALI Holdings傘下のTOSYALI Algerie社がアルジェリアのオラン市近郊で運営する一貫製鉄所向けに2基納入(1号基:2015年受注、2018年に生産開始。2号基:2022年受注、2024年12月より生産開始)しており、TOSYALI Holdings社向けでは今回3基目の受注となります。これまでの豊富な納入実績や技術的な信頼性が高く評価され今回の受注に至ったものと考えております。
ミドレックス社が持つMIDREX®プロセスは、世界の還元鉄生産量の約80%(天然ガスベースの直接還元鉄)を占める直接還元法のリーディングプロセスです。当社は、天然ガスを改質したガス(CO+H2)を還元剤とする従来のプロセス※1に加え、天然ガスを水素に柔軟に置き換えることが出来るMIDREX Flex™、100%水素を還元剤とするMIDREX H2™※2というプロセスを保有しています。当社及びミドレックス社はこれらプロセスの提供を通じて、世界の鉄鋼業界のカーボンニュートラルへの取り組みに貢献し、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
KOBELCOグループは今中期経営計画(2024~2026年度)において、「魅力ある企業への変革」を取り組むべき目標に掲げており、これを実現するための変革「KOBELCO-X※3」を推進しています。今回の取り組みは以下のGXの一例と考えています。
また、当社グループは、今中期経営計画(2024~2026年度)の最重要課題の一つに「カーボンニュートラル(CN)への挑戦)を掲げており、本件もこれに資するものと考えております。
今後も、KOBELCOならではの技術・製品・サービスのかけ算を通じて社会課題の解決に挑み続け、すべてのステークホルダーの皆さまにとって“魅力ある企業”へと変革をすすめ、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」の実現を目指してまいります。
TOSYALI Algerie(アルジェリア)製鉄所で操業中のMIDREX®プロセス(1号機)
※1:従来の天然ガスベースのMIDREX直接還元鉄プロセスは、世界で90基以上が稼働しており、天然ガスを改質した水素リッチガスを還元剤として用いることにより、従来の高炉法に比べ製鉄工程でのCO2排出量を最大40%削減することが可能。MIDREX Flex™は、従来の技術をベースに、還元に利用する天然ガスを柔軟に水素に置き換えることができるプロセスで、段階的なCO2排出量の削減が可能となる。
※2:100%水素を還元剤としたMIDREX H2™直接還元鉄プロセスは、ほぼCO2排出量ゼロで還元鉄を生産することが可能。ミドレックス社はスウェーデンのH2グリーンスチール社(2024年9月に社名をStegraに変更)向け世界初の100%水素直接還元鉄プラント商業機を2022年に受注し、現在プロジェクト遂行中です。
※3:KOBELCOグループが魅力ある企業へと変革していくために取り組むべき変革を総称して「KOBELCO-X」と名付け、具体的な7つのXを設定しています。
(注記)プレスリリースの内容は発表時のものです。販売がすでに終了している商品や、組織の変更など、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。