神戸製鋼HOME > 技術・製品情報 > 原子力プラント・機器 > 地下環境 in-situ 分析システム

地下環境 in-situ 分析システム

地下の還元性環境を再現したままで分析できるin-situ分析システム

1. 概要

有害廃棄物は地中埋設処分されるため、その安全性の評価は地下の還元性環境を再現して実験することが求められております。また、この実験に用いる試料のうち、酸素(O2)に敏感な化合物の性状分析・構造解析等は還元性環境を維持したままでその場分析(in-situ分析)することが必要です。すなわち、地下環境を模擬した試験装置「雰囲気制御グローブボックス」に付属したin-situ分析システムが必要です。
ここでは以下のin-situ分析システムを一例としてご紹介します。

  1. レーザー利用分析(レーザーラマン分析、レーザー蛍光分析)
  2. イオンビーム利用分析

この他にX線利用分析、紫外線利用分析等の適用事例があります。

レーザーラマンin-situ分析システム

光ファイバ遠隔測定システム構成

光ファイバ遠隔測定システム構成

レーザーラマンin-situ分析システム外観

レーザーラマンin-situ分析システム外観

2. 特徴

  1. レーザー利用分析(レーザーラマン分析、レーザー蛍光分析)
    光ファイバ遠隔測定システムを用いたレーザー利用分析法により雰囲気制御したセル/ボックス内でレーザーラマン分析・レーザー蛍光分析を行うことにより、試料・試薬を酸化により変質させることなく表面性状分析、イオン同定・定量することができます。
    (レーザー蛍光分析の詳細は神戸製鋼技報を参照願います。)
  2. イオンビーム利用分析
    低酸素なHeガスを充填した大気圧測定チェンバー内でPIXE、RBS等のイオンマイクロブローブ分析を行うことにより、廃棄物固化体・金属・岩石等の試料を酸化により変質させることなく表面分析することができます。

3. 用途

  1. 地下の低酸素環境を模擬した条件下でO2に敏感な重金属・放射性核種の挙動データを精度良く取得できます。
  2. 上記により、地球の地下本来の還元性環境による有害物質の移行抑制能力を精度良く評価することができます。

4. 実施例

  1. 核燃料サイクル開発機構殿・地層処分基盤研究施設(ENTRY)向けEDAS-2設備 レーザーラマンin-situ分析システム(1995年)
  2. 核燃料サイクル開発機構殿・地層処分基盤研究施設(ENTRY)向けマイクロイオンビーム分析装置(MIB)(1997年)
  3. 核燃料サイクル開発機構殿・地層処分放射化学研究施設(QUALITY)向け、雰囲気制御下の分析装置(X線回折装置(XRD)、赤外線吸収分析装置(FT-IR))(1999年)
  4. (財)エネルギー総合工学研究所殿向け in situレーザ誘起蛍光分光法による高圧溶解度試験装置(2002年)

in situレーザ誘起蛍光分光法による高圧溶解度試験装置(2002年)

in situレーザ誘起蛍光分光法システム構成

in situレーザ誘起蛍光分光法システム構成

in situレーザ誘起蛍光分光法システム外観

in situレーザ誘起蛍光分光法システム外観

マイクロイオンビーム表面分析装置(MIB)(1997年)
(引用:核燃料サイクル開発機構殿パンフレット)

MIB装置全体構成

MIB装置全体構成

マイクロイオンビーム表面分析装置(MIB)(1997年)
(引用:核燃料サイクル開発機構殿パンフレット)

MIB装置外観(大気圧測定チェンバ付近)

MIB装置外観(大気圧測定チェンバ付近)
(引用:核燃料サイクル開発機構殿パンフレット)

注記)核燃料サイクル開発機構は、2005年10月に(独)日本原子力研究開発機構になりました。