

文・若狹 早 絵・ながおか えつこ
ぽつり ぽつぽつ
空から雨つぶがやってきました。
サーサー ザーザー
ここは、雨がよくふる森「あめあめの森」です。
お水をたっぷりのんで、
ブナの木がうれしそうにしています。
ブナの木は、
「夏緑じゅ」と言います。
きせつによって、すがたをかえる木です。
春、うす緑色のはっぱが生えると、
そこに雨つぶをのせて、
ブナの木は音を楽しみます。
ポロン ポロンロン
夕方になりました。
あめあめの森には、べつの音もひびきます。
クルリ クルリ
フィルルルルル
とてもきれいな歌声が聞こえます。
シカでしょうか?
いいえ、この声のもちぬしは……
カジカガエルのカジカジです!
カジカジは、雨がだいすき。
今日も、しっとりぬれて、
ごきげんに歌っています。
クルリ クルリ
フィルルルルル
夏、ブナの木はまぶしい緑色です。
カジカジの歌声に合わせ、
はっぱをゆらして夏をまんきつします。
クルリ クルリ
フィルルルルル
サワッ サワサワ
心地よい音がひびく、あめあめの森。
ですが、
こまっていることも……。
それは、夏から秋にかけての強い雨です。
サーサー ザーザー
から、
ザザザザー ゴゴゴゴー!
耳をふさぎたくなる、はげしい音。
むかしは、こんなにひどくなかったのですが……。
ブナの木は、カジカジの歌声にはげまされて、
強い雨をなんとかのり切りました。
カジカジもブナの木がそこにいるだけで、
歌うゆう気をもらっていました。
「やわらかい雨がふるといいね。」
おたがいのことをおもって、そうねがいました。
秋、ブナの木は
緑色から黄金色にそまります。
らくようがはじまり、あめあめの森は、
こうばしいにおいがします。
カサカサ カサカサ
はっぱは、
どんどんかさなっていきました。
ぽつぽつ サーサー
ブナの木とカジカジのねがいどおり、
やわらかい雨もふっています。
冬、とうみんのきせつです。
ねむたそうなカジカジに、ブナの木は、
さいごのはっぱをプレゼントしました。
「はっぱのおふとんで、ぐっすりおやすみ。」
「ありがとう。
おやすみなさい。」
ふかふかのねどこから、
クークー スースー
しずかなねいきが聞こえてきました。
やさしい音を聞いているうちに、
ブナの木もあくびをひとつ。
「ぼくもねよう。
おやすみなさい。」
クークー スースー
あめあめの森は、
春をまっています。


文・藤谷 慶次 絵・さとう めぐみ
今日は、大きな大きな森の
400さいのたんじょうびです。
森にすんでいる、
いろいろないきものたちが集まって、
たんじょうび会を開きます。
「森ももう400さいか。
わしが来たころは、木も動物もいない、
石ころしかない場所じゃったな。」
と、この森をずっと見守ってきた
精霊のコケじいが言いました。
コケじいのなつかしい話をはじめに、
みんなはもり上がり、
昔のことを語り始めました。
「コケじいとぼくたちは、
石ころしかない場所を
ふかふかな土にしたんだよ!」
と、小さな小さなび生物たちが
わいわいと言いました。
「そうだったのね。
わたしたちススキや、カタバミ、
シダが来たのは
その次かしら。」
と、ススキがぽつりとつぶやきました。
「ふふっ、
わたしたちのおかげで木が育ったのよ。
感しゃしなさい。」
と、カタバミが自まんげに話しました。
「ありがとうね、カタバミさん。
あなたたちは、ぼくらの家を
雨から守ってくれたんだ。」
と、ねずみたちが感しゃをこめて言いました。
「おれたちヤマツツジは、
チョウやミツバチにみつをあげるかわりに、
花ふんを運んでもらったな。
あの時は、ありがとうな!」
と、ヤマツツジがはきはきと言いました。
ヤマツツジの言葉に、
チョウが笑顔を返しました。
「そのころはにぎやかになって、
わしはとってもうれしかった。」
と、コケじいがにこにこと言いました。
「ぼくがこの森に来たのは、そのあとですね。
どんぐりをリスさんにうめてもらえて、
そのおかげで仲間がふえました。
ありがとうございます。」
と、シイの木のお兄さんが言いました。
「いやいや、わたしもシイさんのおかげで
ごはんが食べられます。
ありがとう。」
と、リスが言いました。
「そのころにあった火さいは
とても大変でしたが、
森のみんながあきらめず、
最後まで水をかけてくれたおかげで
火を消すことができました。
もう一度、感しゃをのべたいです。
ありがとうございます。」
と、森消ぼう隊のシカが言いました。
「みんな、これまで助け合ってがんばってきた。
それは、すばらしいことだ。
森もよろこんでいるよ。」
と、コケじいが言いました。
「コケじいじ。」
と、だれかのかわいらしい声がしました。
声の主は、コケの赤ちゃんでした。
森は、今も大きくなっています。
コケじいはなぜか、
今日は森がおどっているように感じました。
まるで……
森が、「ありがとう」と言っているように。
今日は楽しい楽しい
森の400さいのたんじょうび。
みんなで祝いましょう。
楽しみましょう。
あなたも森のたんじょうびを祝いませんか?

