再発防止策の進捗について

2021年5月11日
株式会社神戸製鋼所

当社が2017年10月に公表いたしました品質不適切行為につきましては、お客様の製品に係る安全性の検証、再発防止策の実行と進捗の公表、企業風土や組織運営体制の抜本的な改革、確かな品質の確立等、信頼の回復に向けて取り組んでまいりました。

再発防止策につきましては、2018年3月6日付「当社グループにおける不適切行為に関する報告書」にて、外部調査委員会の調査によって明らかになった事実関係とその原因分析に基づき、ガバナンス面、マネジメント面、プロセス面からの対策を公表いたしました。

再発防止策で挙げたそれぞれの施策を着実に実行していくために、社長をリーダーとする「信頼回復プロジェクト」を2018年4月に立ち上げ、再発防止策の実行部隊として各分科会及びタスクフォースを組成いたしました。加えて、取締役会の諮問機関である「外部品質監督委員会」を設置し、外部有識者からの品質保証への提言を再発防止策に反映してきました。2019年4月からは、「品質マネジメント委員会」として、客観的視点からのモニタリングと提言を継続しております。

このような体制下、具体的な活動を3年間推進し、この度、ガバナンス面、マネジメント面、プロセス面からそれぞれ計画した再発防止策を完了いたしました。その中で継続することが前提である策については継続実施いたします。

また、当社は2020年度より、不適切行為の風化防止を図るとともに、次のステージである持続的成長とグループ企業理念を具現化するためにTQM(統合的品質管理)活動を開始しました。その実行のために、2021年4月より「信頼回復プロジェクト」を再構築し、同様に社長をリーダーとする「信頼向上プロジェクト」を立ち上げました。「KOBELCO TQM推進会議」と「お客様信頼向上会議」から構成され、これまでと同様に「品質マネジメント委員会」でのモニタリングと提言を継続してまいります。

「KOBELCO TQM」の行動原則では、グループ企業理念の「KOBELCOの3つの約束」の価値観を踏まえ、「お客様視点」「全員参加」「たゆまぬ変革」を掲げております。

当社は、「ものづくりの原点」である確かな品質こそが「信頼」の核心であることを改めて心に刻み、「KOBELCO TQM」活動を通じて、各事業のマネジメントを強化し、品質の向上に引き続き注力いたします。 そして、お客様に喜ばれる製品やサービスを提供するために、お客様をはじめとするステークホルダーの視点で社会課題を抽出し、従業員全員で解決を図ることで、KOBELCOグループがお客様や社会等にとってかけがえのない存在となれるよう取り組んでまいります。

なお、今後の「信頼向上プロジェクト」の活動状況については、統合報告書等を通じてご報告させていただく予定です。

  • TQM:経営管理手法の一種で、Total Quality Managementの略

【再発防止策の進捗状況(概要):「別紙資料」で詳細説明しております。】
【2020年11月5日の公表時からの更新・進捗箇所については、下線を入れております。】

1.ガバナンス面-品質ガバナンス体制の構築

  1. 1グループ企業理念の浸透:社長による対話活動を2021年度も継続して実施中。これまでのべ79拠点、141回実施(2021年3月末時点)。「KOBELCOの3つの約束」「KOBELCOの6つの誓い」に「KOBELCOが実現したい未来」「KOBELCOの使命・存在意義」を加えた、新たなグループ企業理念を制定(2020年5月)。説明会、ポスター、説明動画等による周知活動を展開中。
  2. 2取締役会のあり方:2018年6月21日に開催された株主総会の決議を経て、当社全体のコーポレートガバナンス体制を変更。2021年度より取締役体制を見直し、モニタリングに重点を置く新たな経営体制に移行。
  3. 3リスク管理体制の見直し:コンプライアンス統括部を2018年4月1日に設置。更なるリスクマネジメント強化を目的に、リスク管理業務を経営企画部に移管(2019年4月~)。グループのリスク管理活動の実効性向上を図るため、2021年4月に経営審議会の補佐機関としてリスクマネジメント委員会を設置。また監査部・コンプライアンス統括部・経営企画部が個別に担ってきた「リスク管理、コンプライアンスを含む内部統制の整備・運用、評価・監査に関する業務」の一元化を目的として、内部統制・監査部を設置。リスクマネジメント委員会の事務局としてリスク管理活動の効率性と実効性向上を図る。また、「神戸製鋼グループ・コンプライアンスプログラム」を共通のフレームワークとしたコンプライアンス推進活動を、2020年度よりグループ内で順次開始。現状の取組みを5項目に整理し、強化すべき点を特定のうえ推進活動を計画・実行する(2020年4月~)。
  4. 4事業部門の組織再編:2020年4月1日に、「鉄鋼事業部門」と「アルミ・銅事業部門」の2事業部門を、「鉄鋼アルミ事業部門」と「素形材事業部門」に組織改編を実施。
  5. 5グループ会社の再編:グループガバナンス強化や事業強化を目的とした再編を実行中。
  6. 6事業部門間の人事ローテーションの実施:事業部門間の人事異動は個別単位で適宜実施済み。また人材育成、組織の活性化、相互連携の強化を目的としたローテーションのルールを策定済み(2019年1月)。2019年4月から運用開始。事業部門間をはじめ、職種間など、分野をまたぐローテーションを計画的に実行することで、人材の流動化を促進中。
  7. 7現場で生じる諸問題の掌握:社員意識調査をコンプライアンス意識調査と併せて、2018年度に開始し、2019年度からは国内グループ会社も含め、毎年7月に実施中。品質キャラバン隊による現場の困りごとを吸い上げる活動は、2019年度からの2年間で合計107拠点(2020年度は45拠点)の訪問を完了した。
  8. 8品質憲章の制定:2018年2月制定済み。
  9. 9品質保証体制の見直し:本社・事業部門・製造所/工場の各階層での品質保証体制の見直しは完了。今後、グループ会社へも展開。
  10. 10事業管理指標の見直し:経済性、お客様満足度、社員意識、安全、品質安定性、環境、法令・契約順守の観点での各事業指標の設定を完了。2019年4月から順次運用を開始。

2.マネジメント面-品質マネジメントの徹底

  1. 1品質マネジメントの対策:品質統括部を設置し、新たに「品質ガイドライン」を制定。2018年5月より運用を開始。グループ品質リーダー会議を日本・中国・東南アジア・米国でそれぞれ開催。2020年度はオンラインで12月に開催。海外も同様に開催。品質マネジメント委員会を設置(2019年4月)し、2019年度は東京本社と製造事業所にて計4回開催、2020年度も4回開催。取消/一時停止となった公的認証は19年度内に回復済み(需要動向等の理由により再取得の計画が無い1件を除く)。再発防止策を完遂し、品質事案の風化防止を図ると共に、次のステージである持続的成長と企業理念を具現化する為にTQMに取り組んでいく。2020年度は活動の準備期間と位置付け、役員・ユニット長・本部長等への教宣活動を実施し、一部の事業所で活動を開始した。
  2. 2品質保証担当人材のローテーションと育成:2019年度は品質教育の見直し・体系化に取組み。2019年度に開始した中国域内関係会社の品質保証担当者による品質交流会を2020年度は事業所で開催。改善活動の現場視察等、内容の充実も進めている。
  3. 3品質に係る社員教育:神戸製鋼所及び国内グループ会社のライン長(約600名)を対象に品質・コンプライアンス研修を実施完了。海外グループ会社でも展開を開始。TQM活動を推進するために、TQMに関する基礎研修とTQMマネジメント研修のグループ内展開を計画中。
  4. 4本社による品質監査:2019年度は現地監査81拠点の現地監査を実施。2020年度は、60拠点の現地監査を完遂。

3.プロセス面-品質管理プロセスの強化

以下の項目を推進すべく、当社グループの「品質ガイドライン」を制定し、運用を開始。【2018年5月1日】

  1. 1試験・検査データの不適切な取り扱い機会の排除及び出荷基準の一本化:計画した約1500件の自動化計画に対して、2018年以降取り組み、ほぼ計画通り完了。未完の2件は2021年度上期中に完了見込み。
  2. 2工程能力の把握と活用(素材系):求められる規格に対して製造プロセスの品質のばらつきの度合いを把握する。旧)アルミ・銅事業部門では検査データの可視化(グラフ化/指数化)を推進中。
  3. 3新規受注の際の承認プロセスの見直し:旧)アルミ・銅事業部門では2018年度下期から実行/試行を開始。
  4. 4製造プロセス変更時の承認プロセスの見直し
  5. 5設備投資における品質リスクアセスメントの推進:一部の事業所では、品質リスクを影響度、発生頻度、検出率等から定量的に評価し、品質関連設備投資の判断を開始。2019年度から重要な設備投資については、品質リスクアセスメントによる投資判断に活用。

各拠点の改善状況について今後継続的にモニタリングするとともに、品質監査を通じて運用状況の現地確認を行う。

再発防止策の進捗に関する過去の発表