(一社)日本鉄鋼協会主催 2025年度 名誉会員推挙および一般表彰の受賞について
2026年03月12日
株式会社神戸製鋼所
(一社)日本鉄鋼協会主催の「2025年度 名誉会員および一般表彰」において、当社の以下6名が推挙ならびに受賞しました。
| 区分 | 氏名 |
|---|---|
| 名誉会員(鉄鋼産業への貢献) | 特任顧問 川崎 博也 |
| 受賞名 | 受賞者 |
|---|---|
| 香村賞 | 取締役執行役員 坂本 浩一 |
| 渡辺義介記念賞 | 鉄鋼アルミ事業部門 加古川製鉄所 技師長 野澤 健太郎 |
| 渡辺義介記念賞 | 鉄鋼アルミ事業部門 技術企画部 部長 山本 裕基 |
| 西山記念賞 | 技術開発本部 材料研究所 所長 村上 俊夫 |
| 西山記念賞 | 鉄鋼アルミ事業部門 鋼板開発部 薄板開発室 室長 二村 裕一 |
名誉会員および一般表彰の概要
日本鉄鋼協会では、鉄鋼に関する学術・技術の振興および研究者の育成を目的として、名誉会員の推挙および各種表彰制度を設けています。概要は以下の通りです。
| 名誉会員(鉄鋼産業への貢献) | わが国の鉄鋼業に関し功績名望ある者が推挙されます。 |
|---|---|
| 香村賞 | 鉄鋼の生産または理論に関する有益な発明、発見を行った会員に贈られます。 |
| 渡辺義介記念賞 | わが国鉄鋼業の進歩発展に多大の功績のあった会員に贈られます。 |
| 西山記念賞 | 鉄鋼に関する学術、技術の研究に多大の功績のあった会員に贈られます。 |
受賞内容
1.「名誉会員(鉄鋼産業への貢献)」特任顧問 川崎 博也
- 題目: わが国鉄鋼業の進歩発展、特に鉄鋼生産設備技術の進歩発展への貢献
製鉄設備の保全・診断技術の高度化を通じて、生産性向上と設備の長寿命化を両立する実践的な技術を創出しました。特に、高炉改修や鋼板製造工程の高度化など、製鉄所全体に関わる技術課題に対して、現場に根ざした改善を推進し、わが国鉄鋼業の進歩発展、技術革新に多大な功績を残しました。
主な業績として、製鉄所内の広範な設備保全に携わり、生産への影響を最小限に抑える短期補修工法の考案、設備の長寿命化技術の開発等、設備技術の進歩に寄与し、これらの技術は独立系発電事業(IPP)発電所建設にも応用され、国内初となる鉄鋼業からの大規模電力供給の具現化を実現しました。加古川製鉄所第2・3高炉の改修においては、炉容積の拡大に対応した炉体形状の最適化等、世界トップレベルの高微粉炭比操業技術の確立に貢献しました。また、加古川・神戸製鉄所の上工程集約を推進し、効率的な製鉄プロセスの構築に貢献しました。
厚鋼板の矯正工程においては、ロールたわみをダイナミックに補償する業界初の高機能強力レベラを導入し、残留応力制御型鋼板を実用化しました。また、薄鋼板の連続焼鈍工程において、複雑な冷却パターンを高精度で実現し、自動車の燃費改善と安全性能向上に必要な高強度薄鋼板の安定供給体制を構築しました。
2.「香村賞」取締役執行役員 坂本 浩一
- 題目: 鉄鋼の精錬プロセス・凝固制御技術に関する研究開発
精錬および凝固分野の技術開発に取り組み、鉄鋼の生産性・コスト競争力の向上に多大な功績を挙げました。
主な功績は以下の通りです。
- (1)溶鋼中の介在物制御技術の開発
熱力学平衡論にもとづく溶鋼中の介在物制御技術の開発に取り組み、線材・棒鋼の被削性改善と介在物形態制御の観点から系統的整理を行い、Pbフリー低炭素硫黄快削鋼を開発し、被削性改善と環境負荷低減の両立に大きく貢献しました。
- (2)製鋼反応の熱力学発展への貢献
熱力学平衡論分野に関する深い知見が評価され、日本学術振興会製鋼第19委員として製鋼反応の平衡推奨値改訂に大きな役割を果たしました。
- (3)凝固シミュレーション技術の高度化
大型鋳鍛鋼やチタン合金の鋳造欠陥低減や凝固組織・偏析の制御を目的として、数値解析による凝固シミュレーション技術の開発に取り組み、実機での鋳造プロセス適正化により、鋳鍛鋼製品やチタン合金の品質向上やコストダウンに大きく貢献しました。
3.「渡辺義介記念賞」鉄鋼アルミ事業部門 加古川製鉄所 技師長 野澤 健太郎
- 題目: 革新的高炉製銑法の研究開発
高炉レースウェイ(RW)プロセッシングという独自の視点を掲げ、独創的な研究成果と実績を通じて、革新的高炉製銑法の開発を推進し、鉄鋼業が直面する原料劣質化、CO2排出、コークス炉老朽化といった問題の抜本的な解決に多大な貢献を果たしました。
主な功績は以下の通りです。
- (1)“飛翔還元機構”の解明
良質鉱石の枯渇が進む中、高炉羽口から粉鉱石を直接吹込使用する技術開発において、RWでは粉鉱石表面の生成鉄がマランゴニー効果で常に溶融ウスタイト球殻に包含され、還元材との近接効果で超高速還元が可能となる“飛翔還元機構”を明らかにしました。本技術はRW境界(鳥の巣)通気改善を目的に近年戦力化された酸化鉄含有スラグ吹込技術の母体であり、思考の独創性、将来性が国際的に極めて高く評価されました。
- (2)“ガスコア”領域の定量化
RW空間内ではコークス充填密度が一定では無い事を熱間、冷間試験で明らかにし、羽口先“ガスコア”領域として初めて定量化するとともに、ガスコア端から軸心距離に応じて空隙率が直線的に低下する特性を明らかにしました。本成果により簡易な一次元数学モデルで微粉炭燃焼率を精度よく算出可能となり、高炉諸元設計の利便性・信頼性の向上に大きく貢献しました。更に、ガスコアを詳細解析する過程で、CD羽口(Convergent and Divergent Tuyere)の実用化に成功し、世界最高レベルの高微粉炭比操業を実現するに至りました。
4.「渡辺義介記念賞」鉄鋼アルミ事業部門 技術企画部 部長 山本 裕基
- 題目: 高炉一貫製鉄所の品質改善および生産性向上への貢献
スラブ連鋳機の品質改善と生産能力向上に携わり、高速鋳造と欠陥低減を両立する連鋳技術の確立に貢献しました。また、溶銑処理工場の建設に携わり、仕様検討と設備立上げ、操業技術確立を担当し、加古川製鉄所の主力製品である線条特殊鋼や薄板ハイテン鋼の生産力拡大と省資源化、省エネルギー化に貢献しました。
主な功績は以下の通りです。
- (1)スラブ連鋳機の生産能力の向上と品質改善
鋼の連鋳機は、引抜速度の高速化により生産性向上と能力拡大が可能ですが、高速化時に中心偏析や内部割れ、表面キズ等の欠陥が発生しやすくなるといった課題に対し、連鋳機の二次冷却帯の冷却水量配分の見直しと水質改善設備の導入・管理基準の厳格化、ロール面間管理精度の高度化に取り組み、能力拡大と欠陥低減の両立を達成しました。また、スラブ品質検査技術の改善に取り組み一級品採取率の向上とクレーム低減に貢献しました。
- (2)溶銑処理工場の建設
線条特殊鋼や薄板ハイテン鋼に必須となる低りん・低硫化を効率よく行うことができる溶銑処理工場の建設を企画し、建設プロジェクトを主導しました。仕様検討では、脱りん・脱硫設備の省スペース化とレイアウトの見直しを行うことで、製鉄所内の限られた敷地に必要能力を保有する設備を導入できる目処を得ました。操業技術確立では、脱りん・脱硫処理での溶銑の酸素濃度と塩基度、温度、攪拌条件を最適化することで、低りん・低硫銑を効率良く製造できる操業技術を確立し、業界トップレベルの歩留と品質を実現しました。
5.「西山記念賞」技術開発本部 材料研究所 所長 村上 俊夫
- 題目: 高強度鋼の高性能化に関する研究開発
高強度鋼の延性、靭性等の特性制御技術と、関連する組織形成過程の解明・モデル化に関する研究開発に貢献しました。
主な功績は以下の通りです。
- (1)自動車用高強度非調質鋼の靭性改善・傾斜機能化技術の開発
自動車足回り部品に用いられる高強度非調質鋼を対象に、高強度化と背反特性である靭性や加工性との両立に関する研究に取り組み、部品内の部位毎に高強度化と軟質化を兼ねそなえた傾斜機能化部品を実現する制御技術を構築するとともに、VC相界面析出の発現メカニズムの解明に取り組み、α/γ異相界面でのV偏析変化に伴う析出現象としてモデル化しました。
- (2)自動車車体用高強度鋼板の組織制御技術と利用技術の開発
自動車車体の軽量化と衝突安全性向上の実現に向け、超高強度鋼板の伸びや伸びフランジ性を改善するための組織制御技術の研究開発に取組み、強度1.5GPaと伸び20%を兼備する残留γ制御技術を構築するとともに、大学・国研と連携することで残留γの解析技術や超高強度・高延性鋼板の接合技術を構築しました。
6.「西山記念賞」鉄鋼アルミ事業部門 鋼板開発部 薄板開発室 室長 二村 裕一
- 題目: 自動車用高強度鋼板の研究開発
薄板ハイテンにおいて、成分、製造条件⇔ミクロ組織⇔特性での系統的な関係調査から、製品開発を通じ、ハイテンの高強度化・高加工性化、および組織の形成挙動の明確化に関する研究・開発に貢献しました。
主な功績は以下の通りです。
- (1)DP鋼:フェライト組織の複合化概念の創出
DP鋼では、焼鈍組織の造り込みにおいて、従来の冷却過程での相変態制御だけでなく昇温過程での再結晶挙動を制御し、フェライト組織の複合化(未再結晶フェライト活用)という新たな概念を創出しました。
- (2)TRIP鋼:組織設計指針と組織形成過程の明確化
TRIP鋼では、ベイナイト変態と残留γの形成挙動の制御に加え、ベイナイト組織についても高温と低温で生成する2種類を複合化し、両組織のメリットを生かした緻密な組織制御を提案するとともに、強度クラスや実現特性に応じた組織設計指針を明確にし、従来特性からのブレークスルーを実現しました。
上記では材料特性に影響する組織因子や材質予測に寄与する組織形成過程の明確化にも貢献しました。 - (3)超高強度ハイテンの適用検討
直近の超高強度ハイテンの適用検討では、お客様での適用課題に繋がる材料品質や利用技術(寸法精度、金型摩耗等)の構築にも一役を担い、自動車部材の高強度化に貢献しました。
当日の様子


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