伯方造船(株)建造船における当社高延性鋼板の初採用について
2025年07月02日
株式会社神戸製鋼所
このたび、当社が提供する高延性鋼板が、伯方造船株式会社(以下、「伯方造船」)で建造される霧島汽船株式会社(以下「霧島汽船」)の新造オイルタンカー(約4,000G/T※1)の外板部分に初採用されました。本船はガソリン・ジェット燃料などのエネルギー輸送に使用される予定です。
高延性鋼板は、従来鋼と同等の強度と靱性を確保しつつ、延性を向上させた鋼材で、昨年9月に商品化されました。従来鋼と比較して衝撃エネルギー吸収性能が高く、船体構造に適用することで衝突や座礁といった非常時における船体損傷軽減が期待できます。また、延性の向上は、破孔の発生抑止にも効果的です。
本鋼板は、(一財)日本海事協会より、船体用圧延鋼板として、最大で従来規定値の1.5倍以上の延性向上を保証できる高延性鋼の製造法承認を取得しています。
近年、海上輸送における事故リスクの低減や燃料流出による環境被害の防止は、世界的な社会課題となっています。こうした課題を踏まえ、伯方造船および霧島汽船が掲げる、「海上での安全確保」と「海洋環境や財産の損害回避」という重要テーマに応えるため、当社は高延性鋼板を商品化しました。本鋼板は、これらの課題解決に寄与できる材料として評価されたことから 、今回の採用に至りました。

KOBELCOグループは今中期経営計画(2024~2026年度)において、「魅力ある企業への変革」を取り組むべき目標に掲げており、これを実現するための変革「KOBELCO-X※2」を推進しています。
この変革では、事業・技術・人材といった多様な経営資源を掛け合わせ、既存事業の深化と新たな事業機会の探索の両立を目指すことが重要です。 当社グループは、これまでも多様な製品・技術を造船業界へ提供してきましたが、今回、高延性鋼板を提供することにより、安全性と信頼性を備えた船舶建造を支援し、海上輸送における人命・環境・財産の保護に貢献していきます。
今後も、KOBELCOグループならではの多様な事業・技術・人材のかけ算を通じて、社会課題の解決に挑み、ステークホルダーの皆様にとって「魅力ある企業」への変革を進め、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」の実現を目指してまいります。
- ※1 G/T
「G/T」は船舶の総トン数(Gross Tonnage)を指し、船の大きさを示す指標です。この指標は、船の内部容積を基に計算されます。
- ※2 KOBELCOグループが魅力ある企業へと変革していくために取り組むべき変革を総称して「KOBELCO-X」と名付け、具体的な7つのXを設定しています。

- ※プレスリリースの内容は発表時のものです。販売がすでに終了している商品や、組織の変更など、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。