液化水素用オープンラック式気化器の実証試験を完了
2025年07月16日
株式会社神戸製鋼所
当社は、高砂製作所(兵庫県)において進めてきた、液化水素用オープンラック式気化器(Open Rack Vaporizer、以下ORV)※1の液化水素を用いた実証試験(以下、本実証※2)を実施し、2025年3月に完了しました。
本実証用に新たに製作した液化水素用ORVを用いて、目標とした所定の気化性能(気化ガス量、気化ガス温度)を連続運転でも安定して達成出来ることを確認しました。これにより、当社は液化水素気化器の製品ラインアップを以下3つのタイプへ拡充し、今後、様々な水素利活用ニーズに対応することで水素エネルギーの社会実装に貢献します。
- 1中間媒体式気化器(Intermediate Fluid Vaporizer、以下IFV)※3
液化水素による気化実証試験は2023年3月に完了。
- 2マイクロチャネル熱交換器(Diffusion-bonded Compact Heat Exchanger、以下DCHE)※4
液化水素による気化実証試験は2024年3月に完了。
- 3オープンラック式気化器(ORV)
液化水素による気化実証試験は2025年3月に完了。(本実証)
液化水素用ORVと水素の利活用
液化水素 (輸送・貯蔵) |
液化水素用ORV | 水素利活用先 |
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KOBELCOグループは今中期経営計画(2024~2026年度)において「稼ぐ力の強化と成長追求」および「カーボンニュートラルへの挑戦」を最重要課題に掲げ、これらを実現するための変革「KOBELCO-X※5」を推進しています。本実証で気化した水素ガスを高砂製作所内の加熱炉での燃焼実証等に使用しており、この取組みは工業炉の既存燃料を水素に転換し、燃焼時に発生するCO2を抑制するという点で以下のAX、GXの一例と考えています。今後も本実証設備を活用し、水素利活用とビジネス機会の探索を行って参ります。
- AX(Ambidexterity:両利きの経営/既存事業の深化×新規事業機会探索)
「水素をつくる」と「水素をつかう」の連携を実証し、新たなビジネスチャンスを獲得
- GX(Green Transformation)
液化水素気化器の提供により生産プロセスにおけるCO2排出を削減し脱炭素へ寄与
当社グループは水素供給に関する多様な技術(つくる)を開発しているだけでなく、大量の水素利活用ポテンシャルがある工場を保有し、燃料利用の実証(つかう)を進めています。今後も「つくる」と「つかう」両側の視点から検討した当社グループならではの最適なソリューションを創出していくことで、水素社会の構築に貢献するとともに、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」の実現を目指して参ります。
当社が提案する液化水素気化器の種類と用途別気化量
名称 | ①IFV (中間媒体式気化器) |
②DCHE (マイクロチャネル熱交換器) |
③ORV (オープンラック式気化器) |
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外観 | ![]() |
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特徴 |
材質:ステンレス鋼、チタン(海水系)
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材質:ステンレス鋼
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材質:アルミ合金+容射被膜
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実証時期 | 2023年3月(実証済み) | 2024年3月(実証済み) | 2025年3月(実証済み) |
用途別気化量


- ※1オープンラック式気化器
オープンラック式気化器(ORV)は、世界中のLNG受入基地において、海水を熱源とした主力のLNG気化器として使用されており、当社ORVは50年近くの実績と高い信頼性を有しています。これら気化器の設計や製造に関する知見を活かし、今般、多数の伝熱管を並べたパネルの外側に海水を流し、内部の液化水素を気化させる構造の液化水素用ORVを開発しました。
LNG用ORVイメージ- Base Structure
コンクリート架構
- Deck
足場
- Insulation
保冷
- Panel Block
パネルブロック(気化器)
)
- Panel Hanging Structure
天井架構
- Seawater Adjustment System
海水量調整機構
- Seawater Distribution Line
海水供給配管
- Trough
散水トラフ
- Wind Breaker
風防壁

- ※プレスリリースの内容は発表時のものです。販売がすでに終了している商品や、組織の変更など、最新の情報と異なる場合がございますので、ご了承ください。