2005~2025年度の歩み

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20212023年度

確立

― 新たなグループ企業理念のもと、サステナビリティ経営に邁進 ―

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「安定収益基盤の確立」と「CNへの挑戦」に向けた施策の展開

鋼材事業の収益基盤強化

長期的に内需減少が進むと想定される中、鋼材事業の収益基盤強化については、粗鋼生産630万t/年レベルで安定収益を出し、600万t/年でも黒字を確保できる体制の構築を目指した。当社は、独自の高付加価値製品の比率を高める品種構成改善や固定費・変動費の削減等で、量的拡大に依らない成長を図った。

品種構成の改善については、特長ある製品の比率を2023年度に50%まで引き上げることを目指していたが、48%にとどまった。ハイテンの主要なお客様である日系自動車メーカーの生産が伸び悩んだこと等が主要因であった。また、固定費・変動費の削減については、操業コストの引き下げを着実に進めたものの、人件費・諸資材高騰の影響を受けて未達となった。

一方、メタルスプレッド(鋼材出荷単価-製造主原料価格)改善が損益分岐点引き下げに大きく寄与した。コロナ禍からの経済回復や中国の鉄鋼増産によって2021年前半に鉄鉱石価格は1t当たり200ドルを超え、後半には原料炭価格が過去最高を更新した。これを受け、世界各地で鋼材市況が急騰し、当社を含む鉄鋼メーカーは価格改定に取り組んだ。一方、2021年半ばから中国政府が粗鋼生産抑制策に転じ、鋼材市況の上昇幅は資源価格の上昇幅を上回った。この結果、自動車向けで2021年度下期に1t当たり約2万円の大幅値上げが実現したケースもあり、メタルスプレッドは大きく改善された。

事業環境面での追い風もあり、鋼材事業の収益は大幅な改善を実現した。

新規電力プロジェクトの円滑な立上げと安定稼働

新規電力プロジェクトについては、神戸発電所3・4号機の営業運転開始により、既存の神戸発電所1・2号機及び真岡発電所1・2号機と合わせ、地域社会への電力安定供給に貢献するとともに、年間400億円程度の収益貢献を想定していた。2022年2月には、神戸発電所3号機が営業運転を開始した。神戸発電所1・2号機同様に石炭(微粉炭)を燃料とし、最新鋭の発電技術である超々臨界圧発電設備(Ultra Supercritical:USC)を導入したものである。超々臨界圧発電は、石炭の燃焼により発生した水蒸気を、超臨界圧発電よりさらに高温・高圧にしてタービンを回す効率を高めるもの。より少ない燃料で発電できるため、石炭火力の効率化及びCO₂排出量の削減に寄与する。

2023年2月には、神戸発電所4号機も営業運転を開始し、これによって、神戸・真岡を合わせた電力事業の収益は、計画どおり安定収益基盤の一角を担うに至った。

神戸発電所3・4号機(兵庫県神戸市)

素材系事業 戦略投資の収益貢献

安定収益基盤の確立に向けて、素材系事業における戦略投資を収益に結びつけていくことも課題となった。自動車軽量化素材の需要拡大時期の後ろ倒し、ものづくり力の課題等を抱えていたが、自動車の軽量化ニーズ拡大に伴う需要増に向けて、これまでに実施してきた以下の戦略投資案件について早期の収益貢献の実現を目指した(第5章参照)。

鋼材(ハイテン) PRO-TECにおける超ハイテン製造設備CGL(Continuous Galvanizing Line:連続溶融亜鉛めっき設備、50万ショートトン/年)新設
加古川製鉄所における超ハイテン製造設備第3CGL(24万t/年)新設
アルミパネル材 神鋼汽車鋁材(天津)有限公司(10万t/年)新設
Ulsan Aluminum, Ltd.(約10万t/年)合弁化
真岡製造所におけるアルミパネル材製造設備(約10万t/年)増強
アルミ押出 Kobelco Aluminum Products & Extrusions Inc.増強
アルミサスペンション Kobe Aluminum Automotive Products, LLC(KAAP、現Kobelco Aluminum Automotive Products, LLC)増強

これら拠点における、ものづくり力の面ではKAAPは生産性の目標未達となったものの、それ以外の拠点は2022年度には計画どおり量産体制を確立した。また、ハイテン2拠点については、自動車生産減少の影響を受けたものの、高騰したエネルギーコストや原材料価格の上昇分の販売価格への転嫁も順調に進んだ。一方で、アルミ系事業5拠点では、数量面で自動車生産減少に加え、アルミ適用拡大時期が想定より後ろ倒しとなった影響を受けただけでなく、エネルギーコストや原材料価格上昇分の販売価格への反映が遅れたことも重なり、収益は低下せざるを得なかった。

これに対し当社は、KAAPには2022年度から国内技術者の派遣を増やし、設備トラブルの低減やフロアマネジメント強化(日常管理の仕組づくり・実行定着化、欠員・トラブル対応強化)活動に取り組むことで、生産性改善に努めた。また、アルミ系事業全般で回復する自動車需要の取り込みとともに新規拡販にも力を入れた。また、価格改善については、副原料の値決めのフォーミュラ化(原材料の市場価格や為替に連動する部分を定式で自動決定し、価格交渉を簡便化)を実現し、エネルギーコストの転嫁やマージン改善に向けた交渉を行ったが、直ちに収益向上へ結びつけることはできなかった。

このほか、2024年1月には加古川製鉄所厚板工場において進めていた仕上げ圧延機のリフレッシュ工事(投資額約150億円)が完工し、営業運転を開始した。

不採算事業の再構築

採算面で厳しい状況が続き、2019年度に固定資産の減損を行った鋳鍛鋼、チタンに加え、赤字が継続していたクレーンの3事業については、各々の原因を踏まえた対応策によって事業再構築を進めた。

鋳鍛鋼事業は、国内造船需要の減少見通しに基づき、不採算品種からの撤退と大幅な要員削減を進めることで2022年度の黒字化を目指した。老朽船の代替需要や環境対応等もあって需要も2020年に下げ止まり、鋳鍛鋼事業は2022年度に黒字化を達成した。

チタン事業は、上工程固定費の削減を進めてコストダウンを図るとともに、コロナ禍から航空機関連がしばらく低迷する見通しのもと、品種構成の改善に向けた大型鍛造品の選別受注、NCチタンの量産化等で2021年度に黒字化を達成した。

クレーン事業は、東南アジアでの海外勢との競合激化等で赤字が続いていた。コロナ禍後も需要は増えない見通しに基づき事業規模を見直し、固定費を削減するなどスリム化を図ることで、2022年度に黒字へ転じた。

機械系事業 収益安定化と成長市場への対応

機械系事業は、機械・エンジニアリング・建設機械の3事業それぞれに収益安定化及び成長市場への対応に関する方針が定められた。機械・エンジニアリングの両分野では、コロナ禍による設備投資の減少と営業活動の停滞により2020年度の受注が低迷していたが、いずれもCO₂排出削減をはじめとする環境貢献メニューの拡充・充実によって巻き返しを図った。2021年11月の(株)神鋼環境ソリューション完全子会社化は、環境貢献メニューを多数保有する同社を含む当社グループとしてのシナジーの最大化と、新規事業創出及びカーボンニュートラル(CN)達成に向けた取組みの加速等を狙った施策であった。

機械事業では、汎用圧縮機で前中期経営計画期間に基本合意書を締結していた三浦工業(株)との資本業務提携を2022年1月に開始し、世界初の空気圧縮機・ヒートポンプとボイラを持つユーティリティプラットフォーマーとして省エネルギー・CO₂削減を総合的に解決できるシステム提供を推進した。また、後述する「ハイブリッド型水素ガス供給システム」等のエネルギー転換市場での環境貢献メニュー拡大に取り組んだ。

エンジニアリング事業では、天然ガスや水素で鉄鉱石を直接還元する製鉄プロセス「MIDREX™プロセス」ビジネスの拡大や、他事業及びグループ内連携によって、CO₂排出削減等、成長する環境関連市場の需要取り込みを図った(MIDREX™については本節の「技術・製品・サービスによるCO₂排出削減貢献―CNへの挑戦②」参照)。

(株)神鋼環境ソリューションも自治体のCO₂削減需要を取り込み、国内最大級の汚泥消化施設及び汚泥燃料化施設(兵庫東流域下水汚泥広域処理場汚泥処理施設改築工事等)を受注し、2021年10月に工事請負契約を締結した。また、日本で初めて下水処理場内にて産業廃棄物処分業の許可を取得し、下水汚泥と地域の食品工場から排出される食品廃棄物等の活用による消化ガス有効利用・発電を目指す「東灘処理場汚泥処理施設改築更新等事業」等を受注した。

両事業とも、地政学リスクやCN対応の加速化を背景に、エネルギー・化学分野、一般産業分野とも受注は堅調で、エネルギー転換市場も拡大する傾向が続き、収益拡大につなげた。

建設機械事業は、①中国市場依存からの脱却、②建設業界の働き方変革等のソリューションを提供する「コト」ビジネスの収益化、③現場設置ノウハウの提供等の周辺ビジネスの事業化を基本方針とした。②③は遠隔操作や自動運転への対応が軸となり、当社グループのDX推進の一角も担った。

油圧ショベルは変動費高騰や部品供給不足に加え、中国事業の低迷や米国でのエンジン認証問題等で収益低下に見舞われた。しかし、インド・東南アジア市場への注力で、中国市場への依存度が着実に低下し、杭州神鋼建設機械有限公司の神鋼建機(中国)有限公司への統合(2023年4月)や、インドKobelco Construction Equipment India Pvt. Ltd.の生産能力増強(2024年4月)、エンジン認証問題で稼働停止だったKobelco Construction Machinery U.S.A. Inc.の売却(2022年4月)と五日市工場への生産移管、大垣事業所の生産能力増強(2023年6月)と、地政学リスクを踏まえたグローバル生産体制の再編も進めた。

また、将来を見据えた構造改革の面では、建設業界の働き方変革へのソリューションとして、重機遠隔操作と人・重機の稼働データ見える化を実現するシステム「K-DIVE®」(2022年12月提供開始)、クレーン施工計画策定支援ソフト「K-D2 PLANNER®」(2023年4月発売)といった「コト・周辺ビジネス」も具体化した。

重機の遠隔操作システム「K-DIVE®」

生産プロセスにおけるCO₂削減――CNへの挑戦①

CNへの挑戦では、自社の生産プロセスにおけるCO₂排出削減を進めた。鉄鋼業は、日本のCO₂排出の約13%を占め、その80%が製鉄プロセスからとなっていた。

当社は、前述の2030年目標(2013年度比30~40%削減)・2050年ビジョン(CN達成)に向けて、高炉・電炉共通のベースとなる省エネ技術の追求、スクラップ活用拡大等を進めるとともに、①高炉でのCO₂排出削減(HBI〈Hot Briquetted Iron:熱間成形還元鉄〉装入技術・AI操炉®技術〈当社グループの製鉄工程におけるCO₂低減ソリューション〉、COURSE50、Super COURSE50※1)、②大型電炉での高級鋼製造、という複線アプローチを図り、高炉、電炉両方に共通して採用可能なMIDREX™プロセスによる鉄源の活用を進めた。

2020年10月に加古川製鉄所でミドレックスHBI製造技術と高炉操業技術をかけ合わせ、高炉工程でのCO₂排出量を大幅に低減する実証実験を成功させていた(第5章参照)が、さらに2023年10月には25%削減を実現したことを公表した。これらの高炉でのCO₂削減効果を商品化したのが後述する「Kobenable® Steel」である。

2022年1月には、グリーンイノベーション(GI)基金※2事業「製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト」が採択され、当社は電炉でのHBI多量溶解による高級鋼製造技術開発に着手した。

電力事業のCNについては、2030年目標「石炭火力高効率化USC以上」、2050年ビジョン「CNへの挑戦」に向けた取組みを進めていくこととした。神戸発電所の石炭火力発電では、発電所の蒸気活用による熱供給・水素供給等の地域全体でのエネルギー利用の効率化を図るとともに、(株)神鋼環境ソリューションと連携したバイオマス燃料(下水汚泥・食品残渣)混焼、アンモニア混焼等のCO₂削減の取組みを強化し、さらにアンモニア専焼等によりCNへ挑戦していくこととした。真岡発電所のガス火力発電では高効率ガスタービン・コンバインドサイクル(Gas Turbine Combined Cycle:GTCC)による安定操業を継続し、さらにはCN都市ガスの最大活用を検討することとした。

この中期経営計画においては、生産プロセス・電力におけるCNへのロードマップに沿った取組みを着実に推進した。2023年度の生産プロセスにおけるCO₂排出量は2013年度比20%削減となった。

  1. 「革新的製鉄プロセス技術開発」の愛称で、NEDOが当社を含む高炉3社と日鉄エンジニアリング(株)に委託し、PhaseⅠ(2008~2017年)に続き2018年からPhaseⅡが始まっていた。Super COURSE50は、COURSE50で培った水素還元技術を発展させ、製鉄所外から調達した水素の活用や直接還元鉄の利用を組み合わせることで、高炉からのCO₂排出量を極限まで低減することを目指す技術構想。水素還元や直接還元鉄活用に関する基礎研究は2010年代前半から進められており、これらを体系化したSuper COURSE50は、2018年以降のCOURSE50 PhaseⅡの中で本格的に位置付けられた。
  2. 2050年カーボンニュートラルに向け、2021年にNEDOに2兆円規模で造成された。その後、積み増しがなされ2兆7,564億円となった。社会実装まで長期間を要する重要プロジェクトを対象に、最長10年間、研究開発・実証から継続支援する。

技術・製品・サービスによるCO₂排出削減貢献――CNへの挑戦②

社会のCO₂排出削減に貢献する当社グループ独自の技術・製品・サービスの提供に関しても、様々な形で成果を上げた。

世界の鉄鋼業界への貢献では、MIDREX™プロセスの展開を進めた。水素の導入が段階的に進展するトランジション期間において、部分的な水素利用に対応したMIDREX Flex™、100%水素ベースのMIDREX H₂™により、地域やお客様の状況に応じた最適ソリューションを提供することができる特長を有していた。この期間においては以下の案件を受注した。

2021年7月 Paul Wurth S.A.とのコンソーシアムで、トルコTosyali Holdingよりアルジェリアで操業中のTosyali Algeria製鉄所向けMIDREX™プラントの2号機を受注
2021年10月 Primetals Technologies, Limitedとのコンソーシアムで、ロシアMetalloinvest MC LLCからLebedinsky GOK向けMIDREX™プラント受注
2022年10月 世界初の100%水素直接還元鉄プラント商業機として、スウェーデンH2GS ABよりMIDREX H₂™プラントをPaul Wurth S.A.とのコンソーシアムで受注
2023年3月 MIDREX Flex™がドイツthyssenkrupp Steel Europe AGの水素還元鉄プラントに世界で初めて採用

加えて、2023年4月には三井物産(株)との協業で、オマーン国行政機関(Public Authority for Special Economic Zones and Free Zones)と低炭素鉄源事業の推進に関する包括的覚書を締結するとともに、ドゥクム特別経済地区の港湾開発・管理を担う現地企業/Port of Duqm Company S.A.O.C.と同地区の土地予約契約を締結。同国の豊富な天然ガスを利用し、MIDREX™プロセスを活用した直接還元鉄HBIの製造・販売の事業化検討にあたり、同経済地区での事業用地確保と現地関係者の協力体制確立にめどを立てた。

また、2022年5月には国内初となる低CO₂高炉鋼材「Kobenable® Steel」を商品化した。高炉工程におけるCO₂削減量をマスバランス方式で任意の鋼材に割り当てることで、CO₂排出量を100%もしくは50%削減できる商品で、当社製造のすべての鋼材品種(薄板、厚板、線材・条鋼)で展開でき、性能は通常の製品と同等。販売開始以降、この期間において、高層ビルの鉄骨材や乗用車・トラック、船舶、橋梁等に続々と採用された。

2022年6月 トヨタ自動車(株) 競技車両「水素エンジンカローラ」サスペンションメンバー
2022年12月 日産自動車(株) 量産車への順次導入
2022年12月 (株)IHI・三菱地所(株)・鹿島建設(株) 「豊洲セイルパークビル」
2023年2月 今治造船(株) 18万t級バルクキャリア船
2023年7月 トヨタ自動車(株) カーボンニュートラル競技車両「GR86」エンジンボルト
2024年2月 国土交通省九州整備局発注 「新朝倉橋」
2024年2月 伯方造船(株) 1万9,800t級バルクキャリア船
2024年3月 (株)クロセ バイオマス発電用スパイラル熱交換器

Kobenable® Steelのロゴ

アルミ分野では、原材料であるアルミ地金の低CO₂化を最優先課題とし、グリーンアルミ地金の調達やクローズドループリサイクルの適用拡大を推進した。2024年1月には、当社、住友商事(株)、住商メタレックス(株)、大和製罐(株)、サントリーグループ5社共同で、グリーンアルミをマスバランス方式で割り当てた「ザ・プレミアム・モルツ(サステナブルアルミ)」を限定発売した。通常比でCO₂排出量を25%削減した。

エネルギー分野では、「ハイブリッド型水素ガス供給システム」(2023年3月に高砂製作所で実証実験開始、同年6月に試験用ボイラでの水素混焼試験開始)で、当社グループの持つ液体水素気化器・HHOG®(水電解式高純度水素発生装置、第7章参照)運転マネジメントシステムを組み合わせ、中小事業者でも水素を安定かつ安価に利用できるソリューション提供を目指した。機械事業及び素形材事業の製造拠点である高砂製作所において、ボイラや加熱炉での利用実証を通じて水素を「創る」「使う」という両側からの視点を活かした最適なソリューションの提供を目指した。

2023年度の技術・製品・サービスによるCO₂排出削減貢献量は6,118万tと、当初の2030年目標を上回る結果となった。

「ハイブリッド型水素ガス供給システム」の構成

事業ポートフォリオの見直し

事業ポートフォリオの最適化に向けて、以下のグループ会社再編等を行った。

2021年10月 神鋼リサーチ(株)、コベルコ・キャリア・ディベロップメント(株)、コベルコビジネスサポート(株)の3社を合併により経営統合し、コベルコビジネスパートナーズ(株)設立
2021年11月 神鋼環境ソリューション(株)を完全子会社化(本節の「機械系事業 収益安定化と成長市場への対応」参照)
2021年12月 神鋼建材工業(株)と日鉄建材(株)の事業統合により日鉄神鋼建材(株)設立(当社35%)
2022年1月 三浦工業(株)との資本業務提携開始(本節の「機械系事業 収益安定化と成長市場への対応」参照)
2022年3月 当社が保有していた(株)コベルコ マテリアル銅管の株式(55%)をエムキャップ七号(株)((株)丸の内キャピタルの特別目的会社)へ売却
2022年3月 当社が保有していた神鋼メタルプロダクツ(株)の株式(90%)をエムキャップ七号(株)((株)丸の内キャピタルの特別目的会社)へ売却
2022年4月 ベトナムに電子材料用銅板条のスリット加工・販売及び技術サービス会社/Kobelco Copper Alloy Vietnam Co., Ltd.設立
2022年11月 Millcon Steel Public Company Limitedとの折半出資であったKobelco Millcon Steelを連結子会社化
2023年9月 タイヤ試験機事業を(株)長浜製作所に移管
2023年10月 神鋼スラグ製品(株)を吸収合併

経営基盤強化――経営体制の見直し

2021年4月、コーポレートガバナンス強化、サステナビリティ経営推進を目的とした経営体制の見直しを行った。

持続的成長と企業価値向上に資する経営体制の実現に向けて、取締役会は経営の重要な方向性の決定とリスクマネジメントを含むモニタリングに重点を置いた体制へと移行した。取締役会付議基準を大幅に見直し、機動的な意思決定を目的として執行側への権限委譲を進めた。社内取締役は全社機能を総括する役員のみとし、事業担当役員は執行に専念するものとした。同時に取締役数を16人から13人(うち独立社外取締役6人)に減らし、監査等委員を含めた非業務執行取締役が過半数を占める体制(13人中8人が非業務執行取締役)とした。新たな取締役諮問機関として「コーポレートガバナンス委員会」、経営審議会の補佐機関として「リスクマネジメント委員会」「事業ポートフォリオ管理委員会」「設備投資・投融資委員会」を設けた。また、CSR委員会を「サステナビリティ推進委員会」へ、同じくIT戦略委員会を「DX戦略委員会」へそれぞれ改称・強化し、中期経営計画の戦略に沿った強化拡充を図った。

また、品質事案の再発防止策を完遂したことを受け、2018年に立ち上げた信頼回復プロジェクトを発展的に解消し、「信頼向上プロジェクト」に組織改編・再構築した。コーポレートガバナンス関連を「コーポレートガバナンス委員会」に移管し、KOBELCO TQM推進会議とお客様信頼向上会議の推進により、お客様からの更なる信頼回復と信頼向上、品質事案の風化防止を推進する体制とした。

経営基盤強化――ESGを中心とした取組みの推進

経営基盤の強化では、マテリアリティの指標・目標に基づいたESGを中心とした取組みにも力を入れた。5つのマテリアリティにそれぞれ指標・目標を設定のうえ、毎年実績をモニタリングし、統合報告書等での公表を行った。

2021年3月の「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」への参加は、人権の保護、不当労働の排除、環境への対応、腐敗の防止に関わる10原則に賛同し、実現に向けて努力を継続するものであり、当社のサステナビリティ経営や社会課題解決による価値創造という方針と合致するものとし、参加を決めた。

人材戦略も推進し、多様な人材の確保・定着に向けた施策として、企業CM放映(2023年7月)、阪神甲子園球場マウンド広告への初協賛(2024年3月)等、採用活動及び社員の誇り醸成を意識した広告宣伝活動の強化を開始するとともに、リファラル採用の新設や、社員一人ひとりの主体的な学びを支援する「自律・自走型学習」の推進(動画教材サービスの導入等)、「キャリアトライ制度(社内公募制度)」「KOBELCOファミリーシップ制度」の制度化等を行った。加えて、社内有志による「ダイバーシティネットワーク活動(2021年4月~)」や「ランチタイムセッション」等、社員の自発的活動も活発化した。働き方変革においても、テレワーク制度の拡充や「KOBELCOライフサポート休暇」新設等の取組みを推進した。

また、適切かつ積極的な情報開示も強化し、IR説明会(中期経営計画、同進捗、ESG等テーマ別)の大幅拡充や『KOBELCOグループ ESGデータブック』の創刊(2022年9月)、CDP(Carbon Disclosure Project)をはじめとするESG外部評価機関への対応も継続して行った。この結果、ESG投資の指標に「FTSE4Good Index Series」「FTSE Blossom Japan Index」(2021年7月)をはじめ順次選定され、2023年1月には世界最大規模の公的年金積立金管理・運用組織/GPIFが採用する国内株式のESG指数すべての構成銘柄に選定された(2025年現在も継続選定)。また、「ディスクロージャー優良企業」(2023年10月)にも選定された。グループ社員に向けても、「KOBELCOの約束 Next100プロジェクト」における「KOBELCOの集い(経営幹部によるオンラインでの大規模対話・説明会)」等の継続・強化を図った。これらは、当社ブランドを高めるだけでなく、資本コスト低減にも寄与するものであった。

阪神甲子園球場マウンド広告に当社が初協賛 ©阪神タイガース

伝統を受け継ぎ、地域とともに歩む、コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズは、1928年に当社のラグビー部として創部され、日本ラグビー界を代表するチームとして長い歴史を刻んできた。2028年には創部100年を迎える、NTTジャパンラグビー リーグワン所属最古のチームである。日本一を決する全国社会人大会で9回、日本ラグビーフットボール選手権で10回の優勝を誇り、1989年から1995年には7連覇という金字塔を打ち立てた。

2003年に創設されたジャパンラグビー トップリーグでは初代王者に輝き、2018-2019シーズンには15季ぶりの優勝を果たすとともに、18季ぶりの日本選手権制覇も果たした。2018-2019シーズン優勝の背景には、ニュージーランド代表だったダン・カーター選手らの加入に加え、ウェイン・スミス総監督のもとで進められた「レガシー活動」があった。「何のためにラグビーをしているのか」「神戸製鋼はなぜラグビー部を創設したのか」といった原点を問い直す取組みを通じ、チームの結束力や当社グループの一員としての一体感が大きく高められた。2018-2019シーズンの優勝は、当社グループの社員にとっても大きな誇りや希望をもたらす出来事となった。

2022年のNTTジャパンラグビー リーグワン発足に伴い、現在のチーム名へと改称し、新たな挑戦を開始した。神戸市及び兵庫県と連携し、ホストエリアを県全域へ拡大するとともに、ラグビー教室や学校訪問、地域イベントへの参加等、競技の枠を超えた社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。

2018-2019シーズンでの優勝(2018年12月)

2022年以降のチームのエンブレム

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