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高温・高圧利用技術 冷間等方圧加圧法

冷間等方圧加圧法(CIP)とは

「CIP」とは英語のCold Isostatic Pressing(冷間等方圧加工法)の頭文を取ったもので、材料の加工方法のひとつです。

「密閉された流体の一部に加えられた圧力は、その強さを変えることなく、流体の各部に伝達される。」というフランスの化学者Blaise Pascalの提案したパスカルの原理を応用したものです。粉末材料をゴム袋のような変形抵抗の少ない成形モールドの中に密封して液圧を加えると、成形体表面は一様にその液圧に等しい加圧力を受けて、方向性なく圧縮成形されます。

CIPに近い方法として金型プレスがあります。金型プレスでは、粉末は下図に示すように、金型と下パンチとにより構成される空間に充填された後、上/下パンチの間隔を狭めることにより加圧圧縮成形します。

工業的に利用されている金型プレス装置は、粉末充填から成形体取出しまでの一連の工程が自動化されています。下パンチを固定した状態で圧縮成形する方式が下図の単動式プレスであり、金型やパンチと粉体との摩擦および粉体粒子間の摩擦によって成形体の下部が上部より低密度に成形されます。

冷間等方圧加圧法(CIP)とは

金型プレス

CIPと金型プレスの違い

CIPと金型プレスの密度分布

冷間等方圧加圧法(CIP)とは

出典: 河合伸泰:第1回最新の粉末冶金技術講座テキスト(1983)

原理的には圧力の加え方が異なります。CIPは液圧を利用して被処理体に等方圧を加えます。これに対して金属プレスは基本的に一軸方向からのみの加圧となります。金属との摩擦がなく、かつ等方的に圧力が作用する為に密度が均一で方向性の少ない成形体が得られます。右図にCIPと金型プレスの密度分布を示します。

CIP処理の種類

CIP成形法は、粉体が充填される成形モールドと圧力を伝達する圧力媒体との関係により、湿式法(wet bag process)と乾式法(dry bag process)との2種類に分けられます。

湿式法

湿式法は、下図に示すように高圧容器外で成形モールドに粉体を充填して密封した後、高圧容器内の圧力媒体中に直接浸漬し、成形モールドの外面に一様な等方圧を作用させて成形する方法で、複雑形状や大形製品の多品種少量生産や試作研究に適しています。

機構的には、下図(左)に示すように昇圧装置を高圧容器とは独立して設け、高圧容器内に外部から圧力媒体を押込んで圧縮加圧する外部昇圧式と、下図(右)に示すように上蓋の代わりにピストンを設け、高圧容器内に密封された圧力媒体をピストンにより直接圧縮加圧するピストン直圧式とがあります。

外部昇圧式

外部昇圧式

ピストン直圧式

ピストン直圧式

乾式法

乾式法は下図に示すように高圧容器内部に圧力媒体をシールするために組み込まれた加圧ゴム型を介して圧力を伝達し、成形ゴム型内部に充填された粉体を成形する方法で、省力化・自動化が容易なため単純形状の少品種多量生産に適しています。

乾式法は圧力の作用する方向により、下図(左)に示す周・軸加圧法式と下図(右)に示す周加圧式との2種類に区別できます。

周・軸加圧方式では下図左に示すような帽子状の加圧ゴム型を用いて、成形ゴム型の外周面法線方向と上面軸方向とから加圧され、成形体にはほぼ等方的に圧力が作用します。

周加圧方式では下図(右)に示すような円筒状の加圧ゴム型が用いられるため、成形ゴム型の外周面法線方向のみの加圧となりますが、粉体の流体的な性質を利用することにより成形体に等方的な圧力を作用させることができます。

周・軸加圧方式

周・軸加圧方式

周・加圧方式

周・加圧方式

神戸製鋼 CIP装置ラインアップ

WET CIP装置

カーボン、耐火物、セラミックス業界など多くの業界で使用されている生産用CIP装置です。

大型WET CIP装置

設置条件、生産計画にあった装置を設計製作いたします。

ピストン式CIP装置

ピストンを圧力容器内に挿入し加圧成形するピストン式CIP装置です。

DRY CIP装置

省力化・自動化・作業環境改善が容易なため単純形状の少品種多量生産に適しています。

Dr.シリーズ

設置場所を選ばない小形研究用CIP装置です。

ゴム型等方圧加圧装置(RIP)

CIP法と同じ原理ですが液圧を用い ないので、より簡易的かつ安全性の高い装置です。

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