食品加工技術

高圧食品技術について

食品分野への高圧利用に関する研究開発は、商品化を目指して加速をつけて活発化しています。
ジャム、果汁飲料、不凍果実などに始まり、最近では米飯パックの製造に実用化されており、消費者の多様なニーズを背景に高圧食品は身近なものになっています。

高圧で何が出来るの?

殺菌、保存性の向上

高圧で処理をすると、熱を使わないために、食品の栄養や風合を損ねることなく殺菌をおこなうことができます。

酵母に対する圧力効果(処理前)
酵母に対する圧力効果(600MPa、20℃、10min)
  • アサヒビール(株)殿御

有機合成

常圧では出来ない新物質の合成や、無触媒での特定物質の合成が可能です。医薬、農薬、化粧品等、ファインケミカル分野での活用が期待されています。

解凍、凍結、不凍域保存

水の特異な性質を利用することにより高圧下での急速解凍、急速凍結や不凍域保存を行うことができます。

水の状態図
氷の解凍(5℃、3min)
氷の解凍(200MPa、5℃、3min)

変性

左:加圧卵、右:ゆで卵

タンパク質のゲル化、澱粉糊化、テクスチャーの改善。

現在、主な研究が行われている圧力、温度の領域を示します。

主な研究が行われている圧力、温度の領域

高圧食品技術にはどんなものがあるの?

ピストン直圧式/外部昇圧式昇圧システム

ピストン直圧式/外部昇圧式昇圧システムの図
(A)ピストン直圧式

高圧容器にピストンを押込み圧媒を直接圧縮加圧するもので、主に500MPa超の装置で採用されます。

(B)外部昇圧式

高圧容器に高圧ポンプで圧媒を送り込んで昇圧するもので、主に500MPa以下の装置で採用されます。

液状食品直接処理システム

液状処理品などを直接処理する場合、当社では、以下の2種類の処理方法を提供しています。

液状食品直接処理システムの図
(A)フリーピストン方式

処理室がフリーピストンで2室に分割されており、一方に処理物が、他方に圧媒が充填されます。圧媒側を高圧ポンプで加圧するとピストンが押され、ピストンを介して処理物が加圧されます。フリーピストン間の差圧がほとんど無いため、シール用パッキンの磨耗を大幅に低減できます。

(B)可撓隔壁方式

処理室が可撓性の隔壁で2室に分室されており、内部室に処理物が、外部室に圧媒が充填されます。圧媒側を高圧ポンプで加圧していくと可撓隔壁が内部に押され、可撓隔壁を介して処理物が加圧されます。この方式の場合には、摺動シール部がないため磨耗粉が混入する可能性はほとんどありません。

連続処理システム

連続処理システムの図

高圧処理工程はバッチ処理となるため、複数容器を用いてバッチ連続運転を行うこと対応しています。下図は1セットの昇圧装置に対して3個の高圧容器を並列に配置して、それぞれの容器の処理工程をずらすことでバッチ連続運転を実現する例です。

差圧回収システム

高圧処理工程のタイムチャート比較

一つの容器の減圧工程で排出される高圧の圧媒をもう一つの容器の加圧に使用することで、サイクルタイムの短縮、省エネルギー、さらには設備費の圧縮を実現すること出来ます。このシステムは、圧力400MPa、処理室容積130ℓの容器2個を1セットの昇圧装置と組合せた生産用設備で採用し、加圧に要する時間を通常システムの半分程度に短縮してサイクルタイム4分を実現しています。

乾式処理システム

乾式処理システムの図

包材にパックされた食品を処理する場合、生産性の高い処理方法として、乾式法も有効です。乾式法は、図示するように高圧容器内部に圧媒をシールするために組み込まれた加圧ゴム型を介して、加圧ゴム型内に収納された処理物を加圧する方法で、省力化・自動化が容易で連続処理に適しています。

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